汲む(読み)クム

デジタル大辞泉 「汲む」の意味・読み・例文・類語

く・む【×汲む/酌む】

[動マ五(四)]
器物手のひらなどを使って、水などをすくい取る。また、ポンプなどの機械によって水などを容器に移し入れる。「井戸水を―・む」「釜から茶柄杓びしゃくで湯を―・む」
酒・茶などを器につぐ。また、ついで飲む。「お茶を―・む」
人の心の内を推し量る。立場・事情などを察してよく理解する。思いやる。酌量する。「苦しい心中を―・む」「相手の意向を―・む」
物事の趣を味わう。「―・めども尽きぬ思い」
「せめて弾く形の美しさに情趣を―・みたい」〈谷崎蓼喰ふ虫
精神・立場などを受け継ぐ。「アララギ派の流れを―・む」
[可能]くめる
[補説]2で、酒をつぐ場合は「酌む」と書く。
[類語](1すくうさらうしゃくうしゃくる掬い上げる掬い取る・掬い出す・掻い出す汲み取る汲み上げる汲み出す汲み干す汲み入れる汲み込む/(3斟酌推量推測推察推定察し推断推認了察明察賢察高察拝察酌量憫察びんさつ推考端倪たんげい邪推類推憶測配慮揣摩しま揣摩憶測しまおくそく心配り気配り心遣い気遣い推し量る酌み取る思い思い勘繰る思いやるおもんぱかる推し当てる心当て気を回す見越す察する感じ取る手加減容赦匙加減お手盛り手心手心を加えるお手柔らか手柔らかお情け忖度そんたく

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精選版 日本国語大辞典 「汲む」の意味・読み・例文・類語

く・む【汲・酌】

  1. 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
  2. 水などの液状のものを器ですくいとる。しゃくう。
    1. [初出の実例]「遂(つい)玉鋺(たままり)を以て来て当に水を汲(クム)」(出典:日本書紀(720)神代下(寛文版訓))
  3. 酒や茶を器につぎ入れる。また、それを飲む。
    1. [初出の実例]「沛公酔て抔(さかつき)を酌(クム)に堪ず、退出し給ひ候つるが」(出典:太平記(14C後)二八)
  4. 他人の心中や事情を推察する。酌量する。
    1. [初出の実例]「挹 因入反 酌水也 謂心測度於法也 酌音着 訓久牟」(出典:新訳華厳経音義私記(794))
    2. 「その取始末が出来ないかと、他(ひと)に汲(クマ)れるも残念だと」(出典:人情本・閑情末摘花(1839‐41)四)
    3. 「死ぬより辛いおもひをしてゐても、先では毫(すこ)しも汲んで呉れない」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  5. ある系統をうけつぐ。→ながれ(流)を汲(く)む
    1. [初出の実例]「是は聖護院二品親王の御付弟にておはせしかば、法水(ほっすい)を三井の流に汲(クミ)(きべつ)慈尊の暁に期(ご)し給ふ」(出典:太平記(14C後)一)
  6. 物の趣きを味わう。
    1. [初出の実例]「せめて弾く形の美しさに情趣を酌みたい」(出典:蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉九)

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