捨石(読み)ステイシ

デジタル大辞泉 「捨石」の意味・読み・例文・類語

すて‐いし【捨(て)石/▽棄て石】

1 道ばたや野原などにころがっている石。
2 日本庭園で、風趣を添えるために所々に配した石。景石けいせき。
3 橋脚などを造るとき、水勢を弱めるために水中に投入する石。
4 囲碁で、自分の形勢を有利に導くため、相手に取らせるように打つ石。
5 鉱山や炭鉱で捨てられる、価値のない石。ずり。ぼた。
6 将来、または大きな目的のために、その場では無用とも見える物事を行うこと。また、その人。「民族独立のための捨て石となる」
7 大きな目的を達成するために見捨ててしまう事柄。犠牲。「本土防衛の捨て石として長く忍耐を強いられる」
[補説]6、7は囲碁の捨て石から。
[類語](6)ボランタリー・自発的・公共心・公徳心・犠牲・犠牲的・サービス・献身・献身的・捧ささげる・挺身ていしん・利他・利他心・志願・慈善・篤志・有志・殉ずる・ボランティア・奉仕・奉公・寄与・貢献・裨益ひえき・尽力・尽くす・骨身を惜しまず・粉骨砕身・身を粉こにする・身を削る・骨身を削る・命を捧ささげる・ケア・アフターケア・篤志家/(7)犠牲・いけにえ・償い・代償・えじき・好餌・身代わり・人身御供・スケープゴート

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精選版 日本国語大辞典 「捨石」の意味・読み・例文・類語

すて‐いし【捨石】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 道ばたや、野や山にころがっている、誰も顧みない岩石。また、平生直接の用には立たないが、おかれている石。
    1. [初出の実例]「市の七日に手帋七度〈柳苔〉 馬繋ぐ捨石ひとつ軒の下〈蓼太〉」(出典:俳諧・七柏集(1781)雲中庵興行)
  3. ② 築庭で、風致を添えるために程よい場所にすえておく石。
    1. [初出の実例]「扨こそ清水の流れ各別〈禾刀〉 落滝津山石捨石物数奇に〈如見〉」(出典:俳諧・宗因七百韵(1677))
  4. ③ 堤防、橋脚などの工事で、水底に基礎を造り、堤防の崩壊を防ぎ、また水勢をそぐために水中に投入する石。
    1. [初出の実例]「川浪たたく出しの捨石〈一朝〉 人柱妙の一字にとどまりて〈志計〉」(出典:俳諧・談林十百韻(1675)下)
  5. ④ 歌舞伎の大道具の一つ。戸外の場の舞台に置いておく石の作り物。
    1. [初出の実例]「武太夫捨石へ腰をかけ」(出典:歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)五立)
  6. ⑤ 囲碁で、より以上の効果を得るために、わざと相手に取らせる石。シボリ、シメツケ、目欠きの筋などでよく用いられる。
    1. [初出の実例]「碁で言へば、まあ捨石だ。俺が身内を助けるのは、捨石を打ってるんだ」(出典:家(1910‐11)〈島崎藤村〉下)
  7. ⑥ 今すぐには効果はなく、むだなように見えるが、将来役に立つことを予想してする投資や予備的行為など。
    1. [初出の実例]「大身も事に臨で命を捨石(ステイシ)」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)一)
    2. 「残した足跡は小さかったにしても、彼も地固めのための捨石になったとは言ひ得るだらう」(出典:故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉一〇)
  8. ⑦ 鉱山で、採掘、掘進などの際に捨てられる無価値の岩石。ぼた。廃石。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「捨石」の意味・わかりやすい解説

捨石
すていし
refuse; waste; debris; tailings

鉱山,炭鉱などにおいて坑道掘進,採鉱 (採炭) ,選鉱 (選炭) などの過程で選別されて出てくる不要の岩塊,岩片,スライム (岩石などの微細粒子) などの総称。廃石,廃滓 (特に微細なもの) ともいい,鉱山では主として「ずり」,炭鉱では「ぼた」または「ずり」と呼ばれている。捨石は露天採掘跡,谷間,平地などに堆積して廃棄されるほか,充填採鉱法を採用している鉱山では充填材として用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の捨石の言及

【庭園】より

… 17世紀も中期になると町人の文化が栄え,華やかな風潮が支配する時期を迎えたが,庭園も広い芝生をとった明るいものになった。中世のように池泉にも石組みを多く使わず,石を使うときも,捨石といって要所に1個だけを捨てたかのように配することが行われた。まるみのある石が好んで使われたのはこのころである。…

※「捨石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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