デジタル大辞泉 「昔」の意味・読み・例文・類語 むかし【昔】 1 時間的にさかのぼった過去の一時期・一時点。時間の隔たりの多少は問わずに用いるが、多く、遠い過去をいう。「昔の話」「昔のままの姿」「とっくの昔」2 過去の10年を1期としてよぶ表し方。「十年ひと昔」「ひと昔前の事」3 故人。「五月二日は、―の母の忌日なり」〈右京大夫集・詞書〉4 前世。「さすが―の行ひの力に、関白の御子にてもおはするなるべし」〈今鏡・四〉[類語](1)過去・以前・曽かつて・在りし日・往年・往時・往日・旧時・昔日せきじつ・昔時せきじ・昔年せきねん・往昔おうせき・往古・古昔こせき・古いにしえ・古く・その上かみ・当時・前前・かねて・かねがね・何時か・既往・これまで・従来・従前・来こし方・先年・当年・一時・一頃・その節・先に・当時・古来・あらかじめ・前以て・年来・旧来・在来・その昔・太古・千古・大昔/(2)一昔 せき【昔】[漢字項目] [音]セキ(漢) シャク(呉) [訓]むかし[学習漢字]3年〈セキ〉過ぎ去った時。久しい以前。むかし。「昔時・昔日・昔年/往昔・古昔・在昔」〈シャク〉に同じ。「今昔こんじゃく」〈むかし〉「昔話/大昔」[名のり]つね・とき・ひさ・ふる 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「昔」の意味・読み・例文・類語 むかし【昔】 〘 名詞 〙① 時間的に、現在からさかのぼっての過去の一時期、一時点。時間の隔たりの多少にかかわらず用いる。以前。かつて。[初出の実例]「牟可之(ムカシ)より云ひけることの韓国の辛(から)くもここに別れするかも」(出典:万葉集(8C後)一五・三六九五)「むかし、をとこ、うひかうぶりして、平城の京、春日の里にしるよしして、狩に往にけり」(出典:伊勢物語(10C前)一)② ( 「ひとむかし」「ふたむかし」などの形で ) 一〇年、または、一二年を単位として数えた過去をいう。③ 特に、ある人が生きていた時点。生前。在世中。[初出の実例]「この世にはいかがさだめむおのづからむかしをとはん人にとへかし」(出典:和泉式部集(11C中)下)「死失(しにうせ)しとは知ながら、むかしの形におそれて、かるめなしに掛て済(すま)しける」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)四)④ 転じて、かつて生きていた人。今は亡き人。古人。故人。[初出の実例]「かのみこすみける帳のかたびらのひもに、ふみをゆひつけたりけるをとりてみれば、むかしのてにてこのうたをなんかきつけたりける」(出典:古今和歌集(905‐914)哀傷・八五七・詞書)⑤ 特に、この世に生まれて来る前の世。前世。[初出の実例]「さすが昔の行ひの力に、関白の子にてもおはするなるべし」(出典:今鏡(1170)四) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
普及版 字通 「昔」の読み・字形・画数・意味 昔常用漢字 8画 [字音] セキ・ジャク[字訓] ほじし・むかし・ひさしい・きのう[説文解字] [甲骨文] [金文] [字形] 仮借本義は肉で、うす切りの肉片と日に従い、の初文。旧昔の意に用いるのは仮借。〔説文〕七上に「乾なり。殘に從ふ。日以て之れを晞(かわ)かす。俎(そ)と同なり」とあって、の意とする。のち旧昔の字に用い、乾肉には形声字のが作られた。時を示す今・曾・嘗・未などは、もとみな別にその初義があり、副詞とするのは仮借の用法である。[訓義]1. ほしにく、ほじし。2. 夕・夜に仮借して、ゆうべ、むかし、よる、きのう、さきごろ、はじめ、ひさしいの意に用いる。3. と通じ、まじわる。[古辞書の訓]〔名義抄〕昔 ムカシ・イニシヘ・ヨル・サカル・トキ・ツネ・ヒサシ・ヨル/昔曾 ムカシ[声系]〔説文〕に昔声として・借・・錯など十八字を収める。昔声の字に浅薄なもの、交錯するものなどの意を含むものが多いのは、昔がほし肉の形で、うすく乱れかさなる意をもつからであろう。卜文の耕の字にも昔声を加えており、土を細かく起こす意を含む。[語系]昔syak、夕zyak、夜jyakは声が近く、それで肉の象である昔を疇夕の意に用いて、疇昔のようにいう。[熟語]昔園▶・昔賢▶・昔言▶・昔彦▶・昔歳▶・昔在▶・昔時▶・昔日▶・昔者▶・昔酒▶・昔樹▶・昔愁▶・昔人▶・昔昔▶・昔談▶・昔年▶・昔夢▶・昔来▶[下接語]往昔・憶昔・懐昔・感昔・古昔・今昔・在昔・自昔・夙昔・宿昔・如昔・誰昔・乃昔・疇昔・通昔・曩昔・遥昔 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報 Sponserd by