(読み)ブ

デジタル大辞泉 「武」の意味・読み・例文・類語

ぶ【武】[漢字項目]

[音](漢) (呉) [訓]たけし
学習漢字]5年
〈ブ〉
強く勇ましい。たけだけしい。「武勇威武勇武
軍事戦力。「武運武官武器武功武士武術武装武力偃武えんぶ演武尚武文武練武
一歩踏み出すこと。足どり。「歩武
武蔵むさし国。「武州/総武線」
〈ム〉たけだけしい。軍事。「武者
[名のり]いさ・いさむ・たけ・たける・たつ
難読武士もののふ

ぶ【武】

戦いに関するわざ・力。武芸兵法。戦力。兵力。「たっとぶ」⇔
勇ましいこと。武勇。
「―を高く振るひ」〈浮・伝来記・七〉

む【武】[漢字項目]

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精選版 日本国語大辞典 「武」の意味・読み・例文・類語

ぶ【武】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 勇ましいこと。たけだけしいこと。勇敢な行為。武勇。
    1. [初出の実例]「文にも非ず、武にもあらぬ四宮に、位を越られて」(出典:保元物語(1220頃か)上)
    2. [その他の文献]〔詩経‐鄭風〕
  3. 軍事に関する威力。武威。武力。兵力。また、いくさ。戦争。
    1. [初出の実例]「武は万機に振ひ」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐哀公二三年〕
  4. いくさの方法や戦闘の術。兵法。武術。武芸。
    1. [初出の実例]「武を好む人多かり」(出典:徒然草(1331頃)八〇)
    2. [その他の文献]〔礼記‐月令〕
  5. 武官。武人
    1. [初出の実例]「五衛府。軍団及諸帯仗者。為武」(出典:令義解(718)公式)
    2. [その他の文献]〔淮南子‐覧冥訓〕
  6. 長さの単位。一歩(六尺)の半分。三尺(約九〇・九センチメートル)。〔国語‐周語下〕

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普及版 字通 「武」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] ブ・ム
[字訓] たけし・もののふ・あしあと

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
止(し)+戈(か)。止は趾の形で、(歩)の略形。戈(ほこ)を執って前進することを歩武という。〔説文〕十二下に〔左伝、宣十二年〕「楚の王曰く、夫(そ)れ武は功を定め、兵を(をさ)む。故に止戈を武と爲す」の文を引いて、武を止戈の義とするが、歩武の堂々たることをいう字である。〔詩、大雅、生民〕「の武(あしあと)の(おやゆび)を履(ふ)みて(う)く」の〔毛伝〕に「武は迹なり」とあり、〔国語、周語下〕に「武尺寸の」という語がある。また〔礼記、曲礼上〕に「堂上には武を接し、堂下には武を布(し)く」のように、その歩きかたをいう。武徳を称する語として古くから文武を対称し、殷・周の王に文・武を称するものがある。列国期の〔羌鐘(ひゆうきようしよう)〕に「武咸(ことごと)く剌(れつ)(烈)なり」の語がみえる。

[訓義]
1. たけし、つよい、いさましい、いさましいあるきかた、あしあと。
2. もののふ、武士。
3. 武の徳、文の徳に対していう。武威。
4. 兵法、兵術、兵器。
5. 一歩の間、三尺、あし、あとをつぐ。
6. 冠のまきひも、委武。
7. 舞、万舞。

[古辞書の訓]
名義抄〕武 ツハモノ・シノグ・タケシ・ツグ・ツト・フム・アト・ホト・トラ 〔字鏡集〕武 タケシ・シノグ・ツハモノ・ツク・アト・ナシ・ム・トラ・アヤ・フム・ホト

[語系]
〔説文〕に武声として賦を収める。武miua、賦piuaは声が近く、通用することがある。

[熟語]
武帷・武威・武運・武衛・武偃・武科・武学・武楽・武冠・武毅・武戯・武伎・武議・武挙・武・武具・武訓・武勲・武軍・武芸・武健・武庫・武功・武才・武士・武師・武守・武術・武将・武臣・武人・武生・武節・武装・武卒・武断・武怒・武道・武徳・武備・武尾・武敏・武夫・武舞・武弁・武歩・武・武猛・武勇・武略・武旅・武力・武烈
[下接語]
威武・允武・英武・睿武・閲武・偃武・演武・驍武・玄武・校武・講武・剛武・豪武・材武・習武・武・尚武・象武・踵武・神武・振武・崇武・聖武・接武・壮武・騁武・怒武・黷武・伐武・不武・布武・奮武・文武・兵武・歩武・右武・勇武・雄武・用武・耀武・霊武・烈武・練武

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「武」の意味・わかりやすい解説


古代中国南朝の史書にみえる、5人の倭王(わおう)(讃(さん)、珍(ちん)、済(せい)、興(こう)、武)の1人。雄略(ゆうりゃく)天皇に擬せられる。

[編集部]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「武」の解説


「宋書」倭国伝に記される倭の五王の1人。5世紀後半頃の王。済(せい)の子,また興(こう)の弟。興の死後に王となった。478年中国南朝に遣使して上表し,みずからの国土平定の事績をのべるとともに,高句麗の非道を訴え,それに対抗する決意を示した。宋の順帝はこれに対し,安東大将軍の号を与えた。宋の滅亡後も南朝の斉・梁に遣使し,鎮東大将軍(479年),征東大将軍(502年)の号を与えられた。雄略天皇の名の幼武(わかたける)の「タケル」を漢訳したとする説が有力。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「武」の解説

たけ

?-? 江戸時代中期の紀行文作者。
7代尾張(おわり)名古屋藩主徳川宗春につかえ,春の一字をあたえられて春日野あるいは阿春とも称した。名古屋から江戸にもどるさい紀行「庚子道の記」をかく。一説には4代藩主徳川吉通の正室九条輔子の侍女とも。天明2年(1782)80歳余で死去したという。通称は白拍子武女。

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朝日日本歴史人物事典 「武」の解説

生年:生没年不詳
江戸中期,紀行文『庚子道の記』の著者。白拍子武女ともいう。尾張(名古屋)藩7代藩主徳川宗春に仕え天明2(1782)年に没したともいうが,横井也有の写本添書から,仕えたのは4代藩主徳川吉通と夫人九条氏で,夫人が江戸から尾張へ行くのに従った際の紀行文とわかる。

(板坂耀子)

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旺文社日本史事典 三訂版 「武」の解説


倭王武

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武」の意味・わかりやすい解説


倭の五王」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【倭の五王】より

の五王と中国南朝との交渉は,421年,倭讃がに使者を派遣したことから始まった。宋の武帝は倭讃の朝貢を喜び,これを任官した。任官内容は不明であるが,のちの例から見ると,倭讃はこのとき,安東将軍・倭国王という官爵号を授けられたものと思う。…

※「武」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」