法輪寺(奈良県)(読み)ほうりんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「法輪寺(奈良県)」の意味・わかりやすい解説

法輪寺(奈良県)
ほうりんじ

奈良県生駒(いこま)郡斑鳩(いかるが)町三井(みい)にある寺。明治時代は真言(しんごん)宗東寺末であったが、現在は聖徳(しょうとく)宗に属する。妙見山(みょうけんざん)と号し、法琳寺、法林寺とも書き、三井寺(みいでら)、御井寺とも称する。本尊薬師如来(やくしにょらい)。622年(推古天皇30)聖徳太子の病気平癒祈願のため山背大兄王(やましろのおおえのおう)などが建立を発願し、天武(てんむ)朝にかけて徐々に伽藍(がらん)を整えたと伝えるが、他説では670年(天智天皇9)法隆寺の焼亡後に造立されたともいう。法隆寺式伽藍配置で、規模は法隆寺の3分の2にあたるといわれる。1645年(正保2)台風により諸堂宇が倒壊、江戸中期に復興され、現在、金堂講堂(収蔵庫を兼ねる)、三重塔、妙見堂、鐘楼などが建つ。三重塔は、法隆寺五重塔、法起(ほっき)寺三重塔とともに斑鳩の3名塔の一つに数えられたが、1944年(昭和19)雷火で焼失、75年(昭和50)に再興された。寺宝には、飛鳥(あすか)時代の木造薬師如来坐像(ざぞう)(もと金堂本尊)、木造虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)立像(もと金堂安置)、平安前期の木造十一面観音(かんのん)立像(もと講堂本尊)、平安後期の木造聖(しょう)観音立像、多宝塔文磬(もんけい)などが国重要文化財に指定されている。

[里道徳雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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