貴船神社(京都市)(読み)きぶねじんじゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「貴船神社(京都市)」の意味・わかりやすい解説

貴船神社(京都市)
きぶねじんじゃ

京都市左京区鞍馬(くらま)貴船町に鎮座。貴布禰、木船とも書き、全国貴船神社約260の総本社とされる。祭神は高龗神(たかおかみのかみ)で、奥宮の主祭神は闇龗神(くらおかみのかみ)。洛北(らくほく)賀茂川(かもがわ)上流域に位置し、水をつかさどる神として祈雨(きう)、止雨(しう)の霊験(れいげん)があるといわれ、奈良県の丹生川上(にうかわかみ)神社とともに丹貴(にき)二社と併称された。平安遷都後とくに重視され、祈雨に黒馬、止雨に白馬(あおうま)を奉った。818年(弘仁9)大社とされ、1140年(保延6)正一位に昇叙。延喜式(えんぎしき)内名神(みょうじん)大社で、二十二社の一つ。平安末期以降、賀茂別雷(かもわけいかずち)神社の支配に入り、近世に支配離脱運動が頻発する。1871年(明治4)官幣中社に列し独立した。元来は舌氏の奉祀(ほうし)、のち賀茂県主(あがたぬし)一族より禰宜(ねぎ)、祝(はふり)が補任。例祭は6月1日。ほかに3月9日の雨乞(あまごい)神事、7月7日の水まつり、11月7日の御火焚祭(おひたきさい)などがある。社宝に伝狩野探幽(かのうたんゆう)画「三十六歌仙絵額」がある。嵯峨(さが)天皇の代に宇治橋姫が丑(うし)の刻参りをしたと伝える能の鉄輪(かんなわ)の舞台和泉式部(いずみしきぶ)の詠歌蛍石」、船形石、連理の杉などが有名である。

[櫻井治男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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