起請(読み)キショウ

デジタル大辞泉の解説

き‐しょう〔‐シヤウ〕【起請】

[名](スル)3が原義》
自分の言動に偽りのないことや約束に違背しないことを、神仏に誓って書き記すこと。また、その文書。
起請文2」に同じ。
「花川といへる女に―を書かせ」〈浮・一代男・三〉
物事を発起し、その実行や順守を主君などに誓願すること。上申して、上級官司の裁可を請うこと。また、その文書。
「大宰大弐従四位上藤原朝臣衛、四条の―を上奏す」〈続後紀・承和九年八月一五日〉

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世界大百科事典 第2版の解説

きしょう【起請】

ある事を企画・発起して,その事案実行を上位者に願い出,許可を請う文書をいう。もともとは起請文とは区別して用うべき文書名であるが,後にはこの両者は混同して用いられるようになり,起請が単に起請文の省略として用いられたり,誓約の行為そのものを指して使われている場合も多い。古文書学でいう起請の古い例としては《続日本後紀》や《三代実録》などに見え,9世紀ごろ大宰府などから中央政策等の実行を申請した内容のものが多く,また,《本朝文粋》には兼明親王小倉山に作ろうとした山荘について,そこでの生活の抱負をのべた10世紀後半の文章が〈山亭起請〉として収められている。

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大辞林 第三版の解説

きしょう【起請】

スル
物事を企て、上申してその実行を上級官司に対して請うこと。また、その文書。 藤原朝臣冬緒-四事を進ず/三代実録 貞観一二
神仏に誓いを立て、それにそむかぬことを宣言すること。また、その旨を記した文書。 全く不忠なきよし、一日に十枚づつの-を昼はかき/平家 12
(男女が)互いにとりかわす、固い約束。また、それを記した文書。 花川といへる女に-を書せ/浮世草子・一代男 3

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精選版 日本国語大辞典の解説

き‐しょう ‥シャウ【起請】

〘名〙
① (━する) 事を発議して政府にその実行を請うこと。また、その文書(もんじょ)
※三代格‐七・大同四年(809)九月二七日「合裁下観察使起請事十六条〈略〉以前被右大臣宣偁、奉勅使所起請事条、宜前件
② (━する) 事を発起し、それが現在未来にわたって長く順守されることを願うこと。また、その文書。意志を強烈に表明するため、手に朱を塗り、文面に押すことも行なわれた。→置文(おきぶみ)
※中右記‐長治二年(1105)三月四日「故宇治殿十二ケ条起請初条云」
※宇治拾遺(1221頃)一一「かくさいなめば、今よりながく起請す。もしかくきしゃうして後、『青常の君』とよびたらん者をば〈略〉あがひせん」
※吾妻鏡‐文暦元年(1234)七月六日「仰家司等、召起請
※太平記(14C後)三三「一紙の起請(キシャウ)を書て宝殿の柱に押して候しが」
※俳諧・談林十百韻(1675)下「挙屋の手水かけまくもおし〈在色〉 心ざし起請の面にたった今〈正友〉」

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世界大百科事典内の起請の言及

【本所法】より

…寺社は宗教的領主であるから,宗教教団護持の法と所領支配の法とが混在する。一寺一社の規模では,宗祖や所領支配開始者の設定する起請・規式などが成文法の中心となる。970年(天禄1)の天台座主良源の起請,1185年(文治1)の神護寺文覚の起請などがその例である。…

※「起請」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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