デジタル大辞泉
「起請」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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き‐しょう‥シャウ【起請】
- 〘 名詞 〙
- ① ( ━する ) 事を発議して政府にその実行を請うこと。また、その文書(もんじょ)。
- [初出の実例]「合裁二下観察使起請一事十六条〈略〉以前被二右大臣宣一偁、奉レ勅使所二起請一事条、宜レ依二前件一」(出典:類聚三代格‐七・大同四年(809)九月二七日)
- ② ( ━する ) 事を発起し、それが現在未来にわたって長く順守されることを願うこと。また、その文書。意志を強烈に表明するため、手に朱を塗り、文面に押すことも行なわれた。→置文(おきぶみ)。
- [初出の実例]「故宇治殿十二ケ条起請初条云」(出典:中右記‐長治二年(1105)三月四日)
- 「かくさいなめば、今よりながく起請す。もしかくきしゃうして後、『青常の君』とよびたらん者をば〈略〉あがひせん」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一一)
- ③ =きしょうもん(起請文)①
- [初出の実例]「仰二家司等一、召二起請一」(出典:吾妻鏡‐文暦元年(1234)七月六日)
- 「一紙の起請(キシャウ)を書て宝殿の柱に押して候しが」(出典:太平記(14C後)三三)
- ④ =きしょうもん(起請文)②
- [初出の実例]「挙屋の手水かけまくもおし〈在色〉 心ざし起請の面にたった今〈正友〉」(出典:俳諧・談林十百韻(1675)下)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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起請 (きしょう)
ある事を企画・発起して,その事案の実行を上位者に願い出,許可を請う文書をいう。もともとは起請文とは区別して用うべき文書名であるが,後にはこの両者は混同して用いられるようになり,起請が単に起請文の省略として用いられたり,誓約の行為そのものを指して使われている場合も多い。古文書学でいう起請の古い例としては《続日本後紀》や《三代実録》などに見え,9世紀ごろ大宰府などから中央に政策等の実行を申請した内容のものが多く,また,《本朝文粋》には兼明親王が小倉山に作ろうとした山荘について,そこでの生活の抱負をのべた10世紀後半の文章が〈山亭起請〉として収められている。しかし,これらより新しい,実物が現存する起請は,ほぼすべてが寺院の制式・規範等を定めたもので,上位者の許可を求めるという性格の文書ではない。しいていえば,仏・神・祖師の証明にもとづいて,制式を作成したという点に,従来の起請との関係を求めることができようが,むしろこうした性格の起請は,後代の置文や寺僧等の連署起請文の先駆形態であると考えた方がよいであろう。有名な,元暦2年(1185)正月に文覚が神護寺興隆のためにたてた〈四十五箇条起請〉がその例である。なお,この文覚の起請もその一例だが,ほかにも起請には手印を押した例が多く,これは作成者の強い意志の表白と理解されている。
→起請文
執筆者:千々和 到
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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起請【きしょう】
元来は官司が上表して新法令の公布を請うこと。またそれを請う文書(もんじょ)で,起請文とは区別されるべきもの。10世紀ころからは禁制(きんぜい)の意をもち,さらに転じて神仏に申して誓約する例がみられる。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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普及版 字通
「起請」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の起請の言及
【本所法】より
…寺社は宗教的領主であるから,宗教教団護持の法と所領支配の法とが混在する。一寺一社の規模では,宗祖や所領支配開始者の設定する起請・規式などが成文法の中心となる。970年(天禄1)の天台座主良源の起請,1185年(文治1)の神護寺文覚の起請などがその例である。…
※「起請」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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