(読み)アト

  • ▽跡
  • せき
  • 漢字項目
  • 跡/痕/×迹/×址

デジタル大辞泉の解説

《「足(あ)所(と)」の意》
何かが通っていったしるし。「靴の―」「船の通った―」「頰(ほお)を伝う涙の―」「犯人の―を追う」
(傷には多く「痕」と書く)以前に何かが行われたしるし。痕跡。形跡。「消しゴムで消した―」「手術の―」「苦心の―が見受けられる」「水茎(みずくき)の―」
(建築物には多く「址」と書く)以前に何かが存在したしるし。「太古の海の―」「寺院の―」
家の跡目。家督。「父の―を継ぐ」
先人の手本。先例。「古人の―にならう」
足のあたり。足もと。
「太神宮の御方を、御―にせさせ給ふこと、いかが」〈徒然・一三三〉
[下接語]足跡雨跡家跡窯(かま)跡・刈り跡・傷痕靴跡城跡剃(そ)り跡爪痕(つめあと)鳥の跡波跡食(は)み跡人跡筆の跡船(ふな)跡水茎の跡焼け跡
常用漢字] [音]セキ(漢) シャク(呉) [訓]あと
〈セキ〉
足あと。「人跡足跡追跡
物事の行われたあとかた。「遺跡奇跡軌跡旧跡行跡形跡痕跡(こんせき)史跡事跡手跡証跡戦跡筆跡墨跡
あとめ。「名跡(みょうせき)門跡(もんぜき)
[補説]「」「」と通用。
〈あと〉「跡形跡地足跡疵跡
あと。足あと。「跡絶(とだ)える」「跡見(とみ)」など、複合語で用いられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

あと。「跡絶とだえる」「跡見とみ」など複合した形でみられる。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 足。また、足もと。足のあたり。⇔
※書紀(720)継体七年九月・歌謡「阿都(アト)取り 端(つま)取りして 〈略〉 妹(いも)が手を 我に枕(ま)かしめ」
※万葉(8C後)五・八九二「父母(ちちはは)は 枕の方に 妻子(めこ)どもは 足(あと)の方に」
② 特に、獣のうしろ足。
※大友記(17C前)豊州勢高城を責事「馬は足のとどかざる処にては竿立に立ってあとばかりにて渡る」
③ 足を下ろした所に残る形。足跡(そくせき)
(イ) あしがた。あしあと。
※仏足石歌(753頃)「丈夫の進み先立ち踏める阿止(アト)を見つつ偲はむ直に逢ふまでに正に逢ふまでに」
(ロ) 人が行き来した足あと。歩いた形跡。往来。
※源氏(1001‐14頃)手習「黒谷とかいふ方よりありく法師のあとのみ、まれまれは見ゆるを」
④ 去って行った道や方向。行方。
※古今(905‐914)離別・三九一「きみがゆくこしのしら山しらねども雪のまにまにあとはたづねん〈藤原兼輔〉」
⑤ 過ぎてしまった現象や、事件、事物のことがうかがわれるしるし。痕跡(こんせき)。遺跡。
※万葉(8C後)三・三五一「世の中を河に譬へむ朝びらき漕ぎいにし舟の跡(あと)なきごとし」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)平泉「夏草や兵(つはもの)どもが夢の跡」
⑥ 手本とすべき過去の事柄。先例。故実。ためし。しきたり。
※書紀(720)雄略二三年四月(前田本訓)「是歳、百済の調賦(みつきもの)、常の例(アト)に益れり」
⑦ 筆跡。筆のあと。
※源氏(1001‐14頃)絵合「今の浅はかなるも、昔のあとに恥なく賑ははしく」
⑧ 家の名跡。また、家の名跡をつぐ者。家督。遺産。遺領。遺産相続人。跡式(あとしき)
※書紀(720)欽明二年七月(寛文版訓)「人の後(つき)を為す者は、能く先(おや)の軌(アト)を負荷(にな)ひ」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「此親仁〈略〉頓死の枕に残る男子一人して、此の跡(アト)を丸どりにして」
⑨ 取引所で売買取引の終わったあと。引け跡。
[補注]ア(足)ト(処)が原義。上代には、足の方、足を踏んだ所、広がって、過ぎ去ったものの痕跡をいう。
〘名〙
① 正投影法で、直線と画面との交点、また平面と画面との交線。水平跡・直立跡・側跡の三つがある。
② 数学で、正方行列における主対角線上の要素の和。

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世界大百科事典内のの言及

【義太夫節】より

…なお,初段の口は大序と称し,18世紀半ばまでは紋下の役場であったが,以後は初心者の修業の場と変じた。また,切場のあとに短い独立場面の落合(おちあい)(跡(あと))がつくこともある。以上の各場は作曲,演奏の上でやはり区別される。…

※「跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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