(読み)シ

デジタル大辞泉 「司」の意味・読み・例文・類語

し【司】[漢字項目]

[音](呉)(漢) ス(唐) [訓]つかさどる つかさ
学習漢字]4年
役目を受け持ちとりしきる。つかさどる。「司会司書司令
役目を受け持つ人。「行司ぎょうじ宮司ぐうじ国司上司保護司
役所。「写経司
[名のり]おさむ・かず・つとむ・もと・もり
[難読]下司げす公司コンス殿司でんす

し【司】

律令制で、に属し、の次に位した役所。主膳司しゅぜんし主水司しゅすいしなど。
明治初年、官省に属し、局・寮の次に位した役所。用度司・出納司など。

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精選版 日本国語大辞典 「司」の意味・読み・例文・類語

し【司】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制で、八省に属し寮につぐ規模の役所。主水司(しゅすいし)諸陵司(しょりょうし)の類。正(かみ)、佑(じょう)、令史(さかん)などの職員を置く。
    1. [初出の実例]「太政官処分、造宮官准職、造大安薬師二寺官准寮、造塔丈六二官准司焉」(出典:続日本紀‐大宝元年(701)七月戊戌)
  3. 明治の初め、官省に属し、局・寮の下にあった役所。

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普及版 字通 「司」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

(異体字)
17画

[字音]
[字訓] つかさどる・つぐ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
(し)+口。口は祝を収める器の形で(さい)。はこれを啓(ひら)くもの。そこに示される神意を伺いみることを示す。神の啓示を受けることを司ることから、司の意となる。〔説文〕九上に字を后の反文(反対の左向きの形)とし、「臣にして事を外に司るなり」とするが、卜文では后の初文は(いく)の形にしるされている。司はおそらくもと祭祀に関する字で、卜辞に「王の廿祀」を、また「王の廿司」としるしているものがあり、祀と声義の近い字であろう。金文に、長官として政を司ることを「死(しし)」といい、死は尸(し)で尸主、また司る意があり、は治める意。(らん)は亂(乱)の初文で、架にかけた糸のもつれ。それをの形のもので紛(もつ)れを解く形である。司にまた「司(つ)ぐ」意があり、嗣の初文とみてよい。

[訓義]
1. まつる、祠(まつ)って神意をうかがう。
2. つかさどる、神事をつかさどる、つかさ。
3. 伺・覗と通じ、うかがう、察する、ようすをみる。
4. 嗣と通じ、つぐ。

[古辞書の訓]
名義抄〕司 ツカサ・ツカサドル 〔立〕司 ツカサ・カミ・ツカサドル・サトル

[部首]
〔説文〕に詞をこの部に属し、〔玉〕に伺・の二字を加え、を詞の籀文とする。は金文に死寇のように用い、司の籀文と考えられる。

[声系]
〔説文〕に司声として祠・嗣・笥の三字を収める。祠・嗣は古く司にもその用義があり、司から出た字である。

[熟語]
司医・司域・司員・司院司圜・司稼・司駕・司寒・司宮・司馭・司業・司虞・司勲・司憲・司戸・司寇・司功・司行・司獄・司・司載・司察・司至・司刺・司戎・司掌・司常・司嗇・司辰・司箴・司水・司籍・司膳・司存・司鐸・司直・司天・司典司徒・司・司道・司農・司馬・司敗・司搏司頒・司分・司文・司聞・司方・司・司法・司牧・司僕・司命司盟・司門・司理・司律司廩・司礼・司司隷・司暦司驢・司禄
[下接語]
官司・宮司・群司・下司・京司・憲司・公司・国司・宰司・祭司・主司・衆司・諸司・上司・職司・曹司・総司・台司・朝司・典司・督司・百司・分司・牧司・明司・有司

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「司」の意味・わかりやすい解説


律令(りつりょう)官制において、寮の下に格づけされる官司。令制の司としては中務省(なかつかさしょう)管下の画工司、内薬司、内礼司をはじめ、治部(じぶ)、兵部(ひょうぶ)、刑部(ぎょうぶ)、大蔵(おおくら)、宮内(くない)各省管下の諸司、衛門府(えもんふ)管下の隼人(はやと)司、左・右京職管下の東・西市司、大宰府(だざいふ)管下の防人(さきもり)司がある。いずれも長官(かみ)を正、判官(じょう)を佑、主典(さかん)を大・少令史または令史とし、次官(すけ)を欠く。官位令によると、これらの司の正の官位相当は、正(しょう)六位上(正親(おおきみ)司など)、正六位下(土工司など)、従(じゅ)六位上(主水(もひとり)司など)、従六位下(主鷹(しゅよう)司)、正七位上(防人司)に分けられるが、主典を大・少令史とする正親司などと令史とする内膳(ないぜん)司などを分ければ、令制の司は6等級に分類される。このほか後宮に内侍(ないじ)司以下の十二司があり、たとえば内侍司には尚侍(しょうじ)2人、典侍(てんじ)4人、掌侍(しょうじ)4人の女官が所属するが、これら女官には官位相当がない。令外(りょうげ)の官としての司には、造平城京司、造難波(なにわ)宮司、造薬師寺司、造大安寺司、造東大寺司鋳銭司(じゅせんし)、斎院司などがあるが、これらの司の四等官は長官、次官、判官、主典と称し、官位相当も高いので、令制の司とは異質である。

[柳雄太郎]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「司」の解説


大宝・養老令制の官司のうち,職(しき)・寮につぐ最も下の格付けの官司。八省の被管に内礼司・諸陵(しょりょう)司・造兵司・織部(おりべ)司・内膳司などがあり,その他にも隼人司などがある。四等官のうち次官が存在せず,長官は正(かみ),判官は佑(じょう),主典は令史(さかん)と称されるが,判官のない司もある。これらの官員の官位相当の高さにより,4等級に分類できる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「司」の意味・わかりやすい解説


律令制で,寮,職とともに省に属した役所。織部司,造酒司などで,寮より小規模であった。明治の太政官制でも,海軍省に造兵司,武庫司がおかれた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「司」の解説


律令官制の一つ
省の下で,事務を分掌した。➡ 職 (しき) ・寮 (りよう)

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デジタル大辞泉プラス 「司」の解説

株式会社土佐料理 司が展開する和食店のチェーン。

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