(読み)チョウ

デジタル大辞泉 「庁」の意味・読み・例文・類語

ちょう〔チヤウ〕【庁】

役人が事務を行う所。また、その建物。役所。官庁。「消防」「警視
国の行政機関の一。府または省の外局として設置される。国税庁文化庁金融庁など。長は長官。
検非違使けびいし」の略。
[類語]セクション

ちょう【庁〔廳〕】[漢字項目]

[音]チョウチャウ)(呉)
学習漢字]6年
役所。「庁舎官庁県庁省庁政庁退庁登庁本庁

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「庁」の意味・読み・例文・類語

ちょうチャウ【庁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 役所など、執務するところ。また、その建物。
    1. [初出の実例]「所々の饗、院の下部、ちゃうの召次所(めしつぎどころ)、なにかの隈(くま)まで、いかめしくせさせ給へり」(出典源氏物語(1001‐14頃)柏木)
  3. けびいしちょう(検非違使庁)」の略称
    1. [初出の実例]「其の延正を召して、庁に被下(くだされ)にけり」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
  4. 国の行政機関の一つ。府、または省の外局として設置される。防衛庁・文化庁・国税庁・特許庁など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「庁」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

(旧字)廳
人名用漢字 25画

[字音] チョウ(チャウ)
[字訓] やくしょ

[字形] 形声
旧字は廳に作り聽(聴)(ちよう)声。庁は丁(ちよう)声。古く廷・庭といったところで、そこで事を聴き、裁判を行った。官府の政務を執る役所をいう。〔玉〕に「客廚(きやくちゆう)なり」とあり、客間の意とする。

[訓義]
1. やくしょ、治官・聴事のところ。
2. 客間、応接間
3. 家、宮中。
4. 役所のある行政区。
5. 古くは聽に作り、六朝以後、廳に作る。

[古辞書の訓]
和名抄〕廳 く屋なり。日本紀私記に云ふ、万利(まつり)、古度々乃(ことどの)〔名義抄〕廳 マツリゴト・マツリゴトドノ 〔立〕廳 マツリゴト・マツリゴトノヤドリ 〔字鏡集〕廳 マツリゴトノヤ・マツリ・マラウドノクリヤ

[語系]
廳・聽thyengは同声。(庭)・(廷)dyengと声近く、は儀礼の場、廳・聽は聴治のところで役所をいう。

[熟語]
庁宇・庁屋・庁額・庁事・庁舎・庁尊・庁頭・庁堂・庁壁・庁房
[下接語]
槐庁・外庁・官庁・寒庁・閑庁・郡庁・県庁・公庁・後庁・斎庁・正庁・政庁・大庁・退庁・都庁・登庁・内庁・廃庁・府庁・便庁・簿庁・邑庁

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「庁」の意味・わかりやすい解説


ちょう

内閣府設置法,国家行政組織法に基づき,内閣府外局として置かれる国の行政機関。一般に委員会が合議制の外局であるのに対し,庁は独任制の外局である。金融庁消防庁公安調査庁国税庁文化庁林野庁水産庁資源エネルギー庁特許庁中小企業庁観光庁気象庁海上保安庁などがある。庁の長は長官とし,内部部局として官房および部などのほか,付属機関として審議会および施設等機関特別の機関地方支分部局を置くことができる。なお,警察庁宮内庁は内閣府設置法,国家行政組織法に定める外局としての「庁」ではなく,警察庁は内閣府の外局にあたる国家公安委員会(→公安委員会)の特別の機関に,宮内庁は内閣総理大臣の管理に属する内閣府の機関にそれぞれ位置づけられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「庁」の意味・わかりやすい解説

庁 (ちょう)

国の行政機関である府,省に独任制の外局として設置される機関。第2次大戦前は院,庁,局など名称が統一されていなかったが,戦後は庁の名称のみを用いることとなった。長は長官と呼ばれ,職員の任命権,命令制定権などをもち,府,省からやや独立的な地位にある。しかし,庁は内部部局(内局)の局と機能的にとくに異なるところはなく,事務量が膨大であることなどを理由として,外局とし,やや独立的な地位が与えられているといってよい。総理府に宮内庁,行政管理庁,北海道開発庁,防衛庁,経済企画庁,科学技術庁,環境庁,沖縄開発庁,国土庁,防衛施設庁,法務省に公安調査庁,大蔵省に国税庁,文部省に文化庁,厚生省に社会保険庁,農林水産省食糧庁,林野庁,水産庁,通商産業省に資源エネルギー庁,特許庁,中小企業庁,運輸省に海上保安庁,海難審判庁,気象庁,自治省に消防庁がそれぞれ設置されている。これらのうち,総理府に設置されているものの多くはその長に国務大臣をあてることとされるなど省に近い性格をもつ。また,検察庁,警察庁はそれぞれ法務省,国家公安委員会から強い独立性をもっており,庁という名称をとっているが,外局というより特別の機関というべきであろう。なお2001年に中央省庁の再編統合が行われ,大きな変化があった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【外局】より

…現行法上,総理府または各省に置かれる委員会およびの名称をもつ2種の行政機関を指す(国家行政組織法条3項)。ただし,外局は,例外的に,法律で国務大臣をもってその長にあてることとされている委員会(例,国家公安委員会)または庁(例,北海道開発庁,防衛庁,経済企画庁)に置かれることもあり(3条3項但書),それは〈外局の外局〉ともいうべき地位をもつ。…

※「庁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android