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詩雑誌。1926年(大正15)4月~28年(昭和3)5月。全12冊。編集兼発行人窪川鶴次郎(くぼかわつるじろう)、11号以後宮木喜久雄。室生犀星(むろうさいせい)のもとに集まっていた中野重治(しげはる)、堀辰雄(たつお)、窪川、西沢隆二、宮木、平木二六(ひらきじろう)らが創刊した同人雑誌。誌名は堀の提案により、表紙題字は芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の主治医で俳人の下島空谷(しもじまくうこく)の揮毫(きごう)。伝統文学の良質部分を受け継ぎつつも、やがて革命文学を担う中野と20世紀文学を担う堀との同居が、大正末から昭和初期への同人雑誌群のなかでも重要な史的位置を占めた。中野の詩「歌」、評論「詩に関する二三の断片」や、堀のコクトー、アポリネール、フランシス・ジャムなどの翻訳詩や詩論のほか、犀星を介して芥川、萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)、佐藤春夫ほかも寄稿。また準同人格で田島(佐多)いね子も詩を発表している。中野を筆頭に、堀を除く他の同人たちはのちに革命文学・運動に参加していった。復刻版(1960・日本近代文学研究所)がある。
[大塚 博]
『古林尚「驢馬」(『文学』1958年11月号所収・岩波書店)』
詩雑誌。1926年(大正15)4月~1928年5月。全12冊。編集発行人は窪川鶴次郎,第11号から宮木喜久雄。発行は驢馬発行所。室生犀星のもとに集まった中野重治,堀辰雄,窪川鶴次郎,西沢隆二,宮木喜久雄,平木二六(途中で脱退)らで出した同人誌。途中から太田辰夫(途中死去),渡辺亮介,葛巻義敏らが同人として,また田島(窪川)いね子が準同人格で加わった。詩雑誌として多くの詩,詩論,翻訳,小説などを載せたが,なかでも中野重治の詩〈夜明け前のさよなら〉ほかのプロレタリア詩や詩論,また堀辰雄のコクトー,アポリネールらの20世紀芸術作品の翻訳などが目だつ。そのほか犀星,芥川竜之介ら多数が寄稿し,昭和初期文学史上にユニークな足跡を残した。
執筆者:池内 輝雄
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