(読み)ニン

デジタル大辞泉 「任」の意味・読み・例文・類語

にん【任】[漢字項目]

[音]ニン(呉) ジン(漢) [訓]まかせる まかす
学習漢字]5年
引き受けた役目。「任務解任在任辞任就任責任退任大任担任着任適任赴任留任歴任
ある役目に当てる。「任官任期任命任免後任再任主任常任親任選任
自由にさせる。まかせる。「任意委任一任信任放任
気力をたのみにする。「任侠にんきょう・じんきょう
[名のり]たえ・たか・たかし・ただ・たね・たもつ・と・とう・ひで
難読任那みまな

にん【任】

まかせられた役目。任務。「を解く」「に堪えない」
任務を行う期間。任期。「が満ちる」「を終える」
[類語]勤め任務義務責任責務本務使命役目やく役儀ぶん本分職分職責責め課業日課

まけ【任】

《動詞「ま(任)く」の連用形から》任命すること。任命して差し遣わすこと。
「もののふのおみ壮士をとこ大君の―のまにまに聞くといふものそ」〈・三六九〉

まき【任】

まけ(任)」に同じ。
「大君の―のまにまに取り持ちて仕ふる国の」〈・四一一六〉

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精選版 日本国語大辞典 「任」の意味・読み・例文・類語

にん【任】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 自分にまかせられた役目。また、みずから負った責任。
    1. [初出の実例]「朕顧念之、任重事密、充員難満」(出典:続日本紀‐慶雲二年(705)四月丙寅)
    2. 「則ち大将の任(ニン)をぞ授けられける」(出典:太平記(14C後)三七)
    3. [その他の文献]〔論語‐泰伯〕
  3. ある任務についている期間。任期。
    1. [初出の実例]「任はててのち」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)雑三・一二四一・詞書)
  4. 職務を行なうため、おもむく土地。任地。
    1. [初出の実例]「従五位下石川朝臣永年為隠岐員外介。到任数年自縊而死」(出典:続日本紀‐天平神護元年(765)八月庚申)
    2. [その他の文献]〔潘岳‐楊荊州誄〕
  5. ある任務に適していること。
    1. [初出の実例]「塩梅(えんばい)の臣の任にあらず」(出典:読本・春雨物語(1808)海賊)

まかせ【任】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 動詞「まかせる(任)」の連用形の名詞化から ) 名詞に付けて、そのものにまかせきりであることを表わす。「風まかせ」「力まかせ」など。
    1. [初出の実例]「何ごとも天下は呂不韋まかせで有た程に」(出典:古文真宝彦龍抄(1490頃))
    2. 「ともかくもあなた任せのとしの暮」(出典:俳諧・おらが春(1819))

まっかせ【任】

  1. 〘 感動詞 〙 ( 「まかせ」の変化した語 ) まかせておけの意で、何かを請け合って発する掛け声。よしきた。心得た。
    1. [初出の実例]「かってから呼もせぬに、『まっかせ』といひ立にはいって後は出ず」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)京)

まけ【任】

  1. 〘 名詞 〙 ( 下二段動詞「まく(任)」の連用形の名詞化 ) 任務を命じること。任命して差し遣わすこと。まき。→まけ(任)のまにまに

まき【任】

  1. 〘 名詞 〙 ( 四段活用動詞「まく(任)」の連用形の名詞化 ) =まけ(任)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「任」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] ニン・ジン
[字訓] あたる・になう・つとめ・まかす

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は壬(じん)。壬は工具。工形のもので、金文の字形は縦の線に中肥のところを加えており、鍛冶(たんや)するときの台の形であろう。〔説文〕八上に「保つなり」とするが、鍛冶に堪える意。また任載の意に用い、〔礼記、王制〕「輕き任は(あは)せ、重き任はつ」は荷物の意、〔詩、大雅、生民〕「是れを任(にな)ひ是れをふ」は負担・負任の意。そのことに堪える意より、任務・責任の意となり、人に任せることを委任という。

[訓義]
1. あたる、たえる、よくする。
2. になう、もつ、いだく、おう、のせる。
3. にもつ、はこぶもの。
4. つとめ、しごと、任務、責任。
5. まかす、まかされる、任気、ほしいまま。
6. 妊と通じ、はらむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕任 タフ・タヘタリ・オホキナリ・マカス・ママ・ホシイママ・タモツ・ハラム・アタル・タツ・ヒテ・オフ・アサ・モチヒテ・イダク・アツ

[声系]
〔説文〕に任声として・賃・恁・凭など六字を収める。ものを負戴するほか、任大・柔弱などの意がある。

[語系]
任・妊njim、(忍)njinは声近く、耐・能nもまた声義に通ずるところがある。任に懐抱の意があり、妊は懐胎することをいう。任声の字のnjimは戎と通ずることがあり、叔をまた戎叔といい、胡豆をいう。戎・胡にも大の意がある。

[熟語]
任教・任他・任意・任委・任運・任憶・任官・任幹・任気・任寄・任器・任挙・任・任賢・任子・任使・任事・任実・任所・任従・任縦・任情・任職・任心・任身・任信・任真・任娠・任人・任性・任勢・任制・任政・任達・任地・任智・任聴・任天・任能・任憑・任負・任保・任放・任務・任免・任養
[下接語]
委任・一任・解任・外任・帰任・肩任・兼任・後任・自任・辞任・主任・就任・重任・叙任・昇任・常任・信任・新任・責任・専任・選任・前任・大任・退任・代任・担任・停任・適任・転任・背任・負任・赴任・復任・保任・補任・放任・礼任・歴任

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