いまわし・い いまはしい【忌】
〘形口〙 いまは

し 〘形
シク〙 (動詞「いまう(忌)」の
形容詞化)
① よくない事が起こる
前兆のようで、
縁起が悪い。不吉である。
※
平家(13C前)三「あの御浄衣のよにいまは
しきやうに見えさせおはしまし候」
② いやな
感じである。好ましくない。不愉快である。
いまわし‐が・る
〘他ラ四〙
いまわし‐げ
〘形動〙
いまわし‐さ
〘名〙
いまし・い【忌】
〘形口〙 いま

し 〘形シク〙 いまいましい。忌み嫌うべきことである。腹立たしい。残念である。
※
仮名草子・見ぬ京物語(1659)下「いましひ所業をすてて、浄土専念の
宗旨をひろめ給へり」
いま‐・う ‥ふ【忌】
〘他ハ四〙 (動詞「いむ(忌)」の
未然形に、接尾語「ふ」の付いたもの) 嫌って避ける。
※平家(13C前)一一「三位をこそし給ふべかりしかども、平家のし給ひたりしをいまうてなり」
いまわ
し いまはし【忌】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「忌」の意味・読み・例文・類語
いみ【忌(み)/▽斎】
《動詞「い(忌)む」の連用形から》
1 (斎)心身を清浄に保ち、けがれを避けて慎むこと。
2 (忌み)死・不浄など、はばかりのあること。
3 (忌み)人の死後、近親者が、しばらくの間家に慎みこもること。喪。喪中。忌。「―が明ける」
4 (忌み)陰陽道などで、ある方角・日取りなどをはばかって避けること。物忌み。かたたがえ。
「―もたがへがてら、しばしほかにと思ひて」〈かげろふ・中〉
5 他の語の上に付いて複合語をつくり、汚れを清めた、神聖な、の意を表す。「―火」「―殿」
[類語](2)喪・忌服・服喪・忌み明け
き【忌】
1 死者の喪に服して慎む一定の日数。忌中。喪中。いみ。「忌にこもる」
2 死者の命日。「一周忌」「芭蕉忌」→忌日[補説]
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忌
いみ
日本における禁忌の意。忌は日本人の精神生活において重要な意義をもち,通常,相異なる清浄の忌と穢れの忌とがある。前者は主として神事の儀礼に関する忌で,穢れを取去り,身を清めることをいい,後者は死や出産,婦人の月事などにみられる。この2つの忌の区別は外国にもあるが,一般にタブーといわれているものが日本の忌と同一のものであるかどうかについては疑問視されている。清浄の忌にせよ,穢れの忌にせよ,忌に服する者は普通の人と接触しないという禁制があるため,別居別火の生活をすることがあった。たとえば祭りの忌に服する人のこもる精進屋や,出産,月事の忌を避ける産屋 (うぶや) ,月小屋などである。忌の種類によってそれぞれ服する期間が決っており,それから出るときには忌明けの儀礼を行なった。また個人や家族だけでなく,特に神事や凶事については村民全体が服するという村忌の習俗もある。このほかの忌としては,一定の日を忌む忌日,方角の忌の方違 (かたたがえ) ,ある種の動植物を口にしない食栽禁忌,特定の言葉や数を避ける忌言葉,忌数などがあり,特に凶事の作法を日常は行うことを避けるという傾向は一般的にみられる。
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忌
き
忌(い)むべき状態。とくに人の死によって、近親者などが受ける穢(けが)れた状態をいう。忌には神聖であるために近づきにくいものと、穢れているために遠ざかるべきものとがあり、正反対であるのに一括して受け止めている。後者の最大のものは死と出血だと考えられてきた。血の忌は、出産、月経、傷の出血などを忌むものであるが、なかでも死の忌は、死者に対する哀惜や追悼の気持ちに結び付き、文明社会にも根強く残っている。忌はこのように、死者との関係によって自動的に入る状態をいい、その忌に対して慎みの気持ちを表す儀礼や方式を「喪(も)」という。ただし両者はしばしば混同され、また忌の期間や命日(めいにち)の意味にも使われる。
[井之口章次]
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忌
いみ
汚れたもの,あるいは神聖なものに近づくことを避ける古代の宗教的風習
「斎」とも書く。陰陽 (おんみよう) 道・仏教・易などに基づき特定の日時・所・方角・行為・対象物などを汚れたもの,あるいは神聖なものとし,これに接近・接触を禁じる風習。
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
世界大百科事典内の忌の言及
【忌服】より
…服忌ともいい,死が発生してのち一定期間,喪服(凶服)を着て家に忌みこもること。〈忌〉は死のけがれにより家に謹慎することであり,〈服〉とはもと素服(そぶく)を着ることである。…
【葬制】より
… 現在の人類社会において葬制の意味するところは単なる死体の処理を超えてはるかに広い。それは,たとえば人間は霊魂をもつという観念のなかに端的に見られるように,個人の人格は肉体の存在とは別の文化的表象をもっており,それによって死および死者にかかわる儀礼は死の直後だけでなく,服喪の順守や年忌・法事の執行に現れているように長期間にわたって継続される可能性があるからである。さらに重要なことは,このようにして表象された死者は社会的な存在であるということである。…
※「忌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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