と【斗】
(「と」は「斗」の慣用音)
[1] 〘名〙
①
尺貫法で
容積の
単位。一斗は一升の一〇倍。一石の一〇分の一。一八・〇三九リットルにあたる。一斗は一升の一〇倍であるから、一斗の容積は一升の容積が歴史的に大きな変遷を経てきたのと同様に大きく変化をしている。また、平安末期から近世までの、量制の基準の失われた中世では、必ずしも十進法によらず、九升一斗・四升一斗・六升一斗などの累進法も行なわれた。→
升(しょう)。
※令義解(718)雑「量。十合為レ升。十升為レ斗。十斗為レ斛」 〔礼記‐投壺〕
② ます。穀類などの計量器。一斗枡・一升枡の総称とみるが、一斗枡の意に用いることが多い。枡の制定者や性質を表わす文字を冠して、本斗・国斗・主殿寮斗・宣旨斗などと称される。
※延喜式(927)一二「女孺厨 〈略〉年料庸布五段。〈略〉笥一百合。斗一口。升二口」 〔史記‐田敬沖・完世家〕
③
柄杓(ひしゃく)。主に酒をくむのに用いる柄のついた器。〔詩経‐大雅・行葦〕
④ 十三弦の箏の第十一弦をいう。七弦琴の場合は第五弦。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
⑤ 楽琵琶の柱(じゅう)の名。第一弦の第四柱のこと。
[2] 二十八宿の
北方七宿の第一宿。射手座
(いてざ)の東北部にあたる星宿。形が斗(柄杓)に似るところからいう。
斗宿。ひつき
ぼし。〔詩経‐小雅・大東〕
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斗
と
尺貫法の体積の単位。10升をいう。古代中国に始まる。現在の日本の1斗は約18.039リットルに相当する。斗の文字は柄のついた柄杓(ひしゃく)を表したものである。古代中国の漢代の1斗は、残存する標準枡(ます)「新嘉量(しんかりょう)」によると、いまの1升1合程度で、江戸時代までに約10倍にもなった。枡は徴税の道具でもあったので、時の権力者によって徴収量を増やす意図があったとみられる。
[小泉袈裟勝]
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と【斗】
1 尺貫法の容積の単位。1升の10倍、すなわち約18.039リットル。→升
2 ます。特に、一斗枡。
3 建築で、斗形。
4 二十八宿の一。北方の第一宿。射手座中の北西部の六星、南斗六星をさす。ひつきぼし。ひきつぼし。斗宿。
と‐ます【▽斗】
漢字の旁の一。「料」「斟」などの「斗」の称。
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と【斗】
体積の単位。1斗は1升の10倍。約18.04ℓ。中国では古代から、日本では8世紀初めから使われた。
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斗【と】
尺貫法の体積の単位。1斗=10升(しょう)=100合(ごう)≒18.04l。
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と【斗】
尺貫法における容量の単位。古代中国に始まり,日本の現代まで使われた単位である。10升に等しく,1891年制定の度量衡法によれば,約18.039dm3である。尺貫法の廃止に伴い,1959年1月以降法定単位ではない。日本酒の〈四斗樽(しとだる)〉は清酒を4斗入れたことによる。【三宅 史】
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世界大百科事典内の斗の言及
【度量衡】より
… なお度量衡に対応する西欧語は,英語weights and measures,フランス語poids et mesures,ドイツ語Mass und Gewichtなどであって,質量(weights,poids,Gewicht)と長さ・体積(measures,mesures,Mass)との並列という表現になっている。
【史上の度量衡】
中国の《書経》の後につけられた注疏(ちゆうそ)を見ると,〈度はこれ丈尺,量はこれ斛斗,衡はこれ斤両〉とあり,国の法制度としてこれらを等しくしておくのだといった説明がなされている。ここにいう丈,尺,斛(石とも書く)などは,ものごとを数量的に表現するための〈単位〉の呼名である。…
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