(読み)シュウ

デジタル大辞泉 「習」の意味・読み・例文・類語

しゅう【習】[漢字項目]

[音]シュウ(シフ)(漢) ジュウ(ジフ)(呉) [訓]ならう ならわし
学習漢字]3年
繰り返して行って身につける。ならう。なれる。「習作習字習熟習得演習温習学習既習講習自習実習復習練習
繰り返し行ってきた事柄。ならわし。「習慣習性悪習因習慣習奇習常習俗習風習
[名のり]しげ
[難読]近習きんじゅ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「習」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)
11画

[字音] シュウ(シフ)
[字訓] ならう・かさねる

[説文解字]
[その他]

[字形] 会意
(羽)+曰(えつ)。〔説文〕四上に「數(しばしば)飛ぶなり」とし、白(はく)声とするが、声が合わない。金文字形は曰に従い、曰は祝を収めた器。これを羽で(す)ってくりかえし、その呪能を発することを促す行為をという。これは神意を弄ぶ行為であるから、あまりしばしばするとの意となり、狎習の意となる。羽は呪飾に用い、また呪儀に用いる。曰に対して呪儀的に行為することを示す字に(ゆう)(両手を加えて、侑(すす)め右(たす)ける)、(たい)(替。(しんけい)を加える)、(しん)(譖。(かんざし)を加えて譖する)などがあり、この種の呪儀のあったことが知られる。は祝に対して、の意をもつ行為である。

[訓義]
1. くりかえす、祝告を羽でなでることをくりかえす、ならう、なれる。
2. かさねる、つづける、つもる。
3. したしむ、かろんずる。
4. てなれる、よくできる。

[古辞書の訓]
名義抄 ナラフ・アツマル・シム・ヨル 〔字鏡集〕 ツラヌク・ナラフ・トフ・アツマル・シム・ヨル

[部首]
〔説文〕にをこの部に属し、〔玉〕に(ろう)の字を加える。は玩と同じく、呪的な意味をもって常時に弄ぶ意。も呪的な意をもつ字であろう。

[声系]
〔説文〕に声として・慴・など七字を収める。・慴・の呪儀と関係のある字で、その声義を承けるものとみてよい。

[語系]
(襲)zipは同声。ともにかさねる意がある。疊(畳)・dyapも声近く、の意がある。tsip、集dzip、雜(雑)dzpなども、くりかえして煩雑の意を含む語である。

[熟語]
習肄・習為・習学・習貫・習慣・習気・習吉・習業・習見・習故・習工習狎・習校・習士・習字・習辞習授・習習・習熟習誦・習常・習親・習水・習性・習静・習染・習善習俗・習知・習読・習馬・習武・習風・習復・習聞・習兵習弊・習癖・習用・習流・習礼習勒
[下接語]
悪習・因習・習・沿習・演習・温習・雅習・学習・貫習・閑習・慣習・気習・奇習・久習・旧習・翕習・教習・暁習・近習・狎習・校習・講習・自習・時習・宿習・誦習・常習・崇習・積習・専習・染習・俗習・耽習・通習・伝習・土習・独習・博習・風習・復習・弊習・便習・補習・予習・余習・吏習・練習・陋習・和習

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「習」の意味・わかりやすい解説

習 (ならい)

能楽用語。特別に伝授を受けなければ上演を許されない事項を指す。演目自体が習である場合と,演目中の一部の演技・演出が習である場合とがある。前者を〈習物(ならいもの)〉,後者を〈習事(ならいごと)〉と呼んで区別することもできるが,現実には,習事を含む演目が習物であるから,両者は混用される。なにをもって習とするかは,シテ方・ワキ方・狂言方囃子方の各役,および各流派,能・素謡・仕舞などの演奏形式によって違う。したがって,シテ方では習物でも,他の役では平物(ひらもの)であるとか,仕舞は平物でも謡は習物であるとかいう例も生ずる。しかし,一般に大曲,秘曲と目されている演目,たとえば能の《石橋(しやつきよう)》や《道成寺》,老女物の《姨捨(おばすて)》《関寺小町》《檜垣》《鸚鵡(おうむ)小町》《卒都婆小町》など,また狂言の《釣狐》《花子(はなご)》などは,各流派,各役種とも習に扱っている。また,通常の演じ方とは替えて演ずることが習に結びつく一つの要件で,小書(こがき)(特殊演出)の能は原則として習であり,同様の意味で,〈一調(いつちよう)〉という演奏形式はつねに習である。

 習には伝授の順序が定められており,演目ごとに初伝(しよでん)・中伝・奥伝,あるいは小習(こならい)・中習(ちゆうならい)・大習(おおならい)・重習(おもならい)・別習(べつならい)・一子相伝(いつしそうでん)などと名づけられた等級がある。この名称は流派や役種によって異なる。同じ等級の習物がきまりのよい数だけあるときには〈二十番謡〉〈九番習〉などと名づけられている。

 習には内容的な意味と制度的な意味とがある。内容的な意味としては,高度な技術,特殊な技術,精神的に深い表現力を必要とするために,譜本(謡本・型付(かたつけ),手付など)や記録や実演の見聞だけでは正確に習得することができず,稽古(けいこ)と口伝によって直接の伝授を受けるというのが,本来の習である。これに対し制度的な意味とは,伝授に際して免状を授けるようになり,規定の免状料納入に伴う免状の授受そのものが大きな意味合いをもつようになったことを指す。習の伝授が完了すれば,証拠に免状をもらい,その謝礼に金品を収めるのが古例だったが,現在は逆で,まず免状料を収めて家元から免状をもらい,それから稽古にかかるのが普通である。また譜本や記録類を与えたり写させたりするだけの場合もあり,それさえなく,習を許す旨の通告にとどめる場合もある。免状発行権は家元の専有だが,流内に大きな会派がある場合は事実上の伝授は会派の責任者に任せていることが多い。また,習は,もとはおもにくろうとを対象とし,それも家柄の低い者には容易に許さなかったが,いつしかしろうとをおもな対象とし,むしろくろうとに対しては免状を廃している流派もある。なお平物は習に対する語で,普通の演じ方や作品をさす。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【小書】より

…その場合,そのうちの一つを基本の奏演法とし,他を変形の奏演法(〈替エ(替)〉と総称する)と規定していることが多い。そうした替エの奏演法のうち,伝授を受けなければ奏演を許されない事項(これを〈習イ〉と総称する)が小書の主体となる。こうした特殊な奏演法には,《安宅》の弁慶が勧進帳を独唱することを示す〈勧進帳〉のようにその内容を示す特別な名称が付いており,その名称を番組に小さく付記することから〈小書〉と呼ばれるようになった。…

【音取】より

…再び能管の音とともにシテは動くともなく舞台に近づいてくる。その繰返しは独特の効果をあげるのであり,恋ノ音取は,笛方のもっとも重い習(ならい)になっている。 歌舞伎囃子にも能管に同名の旋律がある。…

【許物】より

…芸能や武道における相伝認可の種目をいう。相伝の種目は秘事,秘曲などの性格をもち,師匠の許しを得なければ習得できない。これらの秘事や秘曲を許物,あるいは許しと呼ぶが,茶道では伝授物(相伝物),平曲では秘事,能・狂言では習物()などという。…

※「習」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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