大体(読み)ダイタイ

デジタル大辞泉 「大体」の意味・読み・例文・類語

だい‐たい【大体】

[名]細かい点を除いた主要な部分。また、全体を大づかみにしたところ。あらまし。おおよそ。「事件の大体を語る」「大体の人が出席する」
[副]
物事の要点、また数量などを、大づかみにとらえるさま。あらかた。おおよそ。「話は大体わかった」「駅まで大体五分だ」
もとはと言えば。そもそも。「大体言い出したのは君だよ」
[用法]大体・おおよそ――「大体(おおよそ)の見当はついている」「事情は大体(おおよそ)わかった」「大体(おおよそ)一〇〇万円かかる」など、大部分・あらましの意では、相通じて用いられる。◇「大体」は、細部を除いた主な部分、また漏れているものもあるが、あらかたの意で、「漱石の小説は大体は読んだ」では、まだ読んでない作品も少しあることを言外に含んでいる。◇「夜は大体家に居る」の「大体」は「おおよそ」に置き換えることはできない。◇「おおよそ」は細部を問題にしないで全体を大まかにとらえていう語であるから、「おおよその説明」では、細部についての説明は省かれていることになる。
[類語](1ほぼ九分九厘およそ大抵普通ほとんど大部分大方大半大多数絶対多数九分通り十中八九多く総じておおむね大概全般百般万般多数数多無数あまたあまねく通じてあらかたおおよそ総体大略押しなべて/(2元来もともともとより根っから本来どだい自体そもそも何等なんら全然全く一向さっぱりまるきりまるで今まで従来年来旧来これまで在来従前古来かねがねかねて常常つねづね間断かんだん延延連綿長長ながなが脈脈綿綿縷縷るる前前まえまえずっと生まれつき生来

だ‐たい【大体】

[副]《「だいたい」の音変化》もともと。どだい。
「おいらは―職人だから」〈洒・南閨雑話

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精選版 日本国語大辞典 「大体」の意味・読み・例文・類語

たい‐てい【大体・大抵・大底】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. その事柄の根本を形成する要素や部分。思想、考え方などの本質。大宗。おおもと。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
      1. [初出の実例]「若し夫れ圧制を論ずるあらば大体(タイテイ)を抱ひて終に大害を醸すあらん」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四八)
    2. 事柄のあらまし。大略。おおよそ。また、多くを数えあげる中での大部分。おおかた。だいたい。
      1. [初出の実例]「自余雑物大底如左」(出典:九暦‐九条殿記・殿上菊合・天暦七年(953)一〇月二八日)
      2. 「是で大抵は見尽したのだらう」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉二)
    3. ある事柄に該当するもののうちの大多数。特異なものに対して、普通一般をいう。なみ。おおよそ。
      1. [初出の実例]「そうじておのれはあはうじゃ程に、大体のじぎをいふたらば、むさとしたる事をいひをるな」(出典:虎明本狂言・二人袴(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 事物、事態の数量や度数が、全部ではないにしてもほとんどすべてに及ぶさまを表わす。ほとんど全部。おおよそすべて。あらかた。だいたい。
      1. [初出の実例]「而無奏聞、又不代官、外記暗所行也者、大底如泥云々」(出典:小右記‐長和二年(1013)正月九日)
      2. 「まあたいてい哥のしなの六いろに分れうことは、どうもさうはわけられぬことでござる」(出典:古今集遠鏡(1793)一)
      3. [その他の文献]〔史記‐酷吏伝〕
    2. ( 否定表現を伴って、状態が普通の程度にとどまらないさまを強調する用法 ) 並一通りのさま。ありきたりに。
      1. [初出の実例]「皆寐てから、わしが部屋へそっと来て、大ていしつこい事じゃなかったわいのふ」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)二)
      2. 「自慢じゃないが髪は大てい上手じゃござらぬ」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)野崎村)
      3. 「皆顛倒の衆生というて、逆様になってあるいてゐる。大体(タイテイ)くるしいものぢゃない。〈略〉難儀なものぢゃ」(出典:松翁道話(1814‐46)一)
    3. ( 否定表現を伴うことなしに ) 状態が普通の程度にとどまらないさまを表わす。ずいぶん。たいそう。とても。
      1. [初出の実例]「コレ両国の水茶屋へめったに行くな。たいてい銭を出さねばならねえ」(出典:咄本・詞葉の花(1797)水茶屋)
    4. 一つの判断が、絶対確実とはいえないまでも、ほぼ間違いなく成り立つという気持を表わす。多分。まず…だろう。
      1. [初出の実例]「いやと云はたいていどうよく者と言(い)はれふず。心得(へ)たといふてから迷惑(めいわく)するは我ひとり」(出典:浄瑠璃・傾城反魂香(1708頃)中)
      2. 「もう大抵お帰になる頃だとは存じましたが」(出典:金毘羅(1909)〈森鴎外〉)
  3. [ 3 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ある事柄に該当するものの中で、特別でない一般の部類に属するさまをいう。
    1. 普通であるさま。あたりまえで通りいっぺんなさま。並大抵。下に打消の表現を伴って、逆に特別であることを強調する場合に用いることが多い。
      1. [初出の実例]「よい所へ御出、大ていの女夫(めうと)いさかいにあらずと」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂)
      2. 「当節のやうに世が悪くっては、芸者もたいていではないので、落籍(ひっこ)んだとしたら容易に出ません」(出典:油地獄(1891)〈斎藤緑雨〉六)
    2. ( 「たいていでない」の意を込めていう ) たいそう。
      1. [初出の実例]「たのしみといふは大底(タイテイ)の事、罪もむくひも、女房子の事もわすれはてて、おもしろがる中に」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂)
    3. 多くを数えあげる中での大部分を占めるさま。十中八九。おおかた。
      1. [初出の実例]「何か知らぬが猶(ま)だ猶だ金ピカピカの本が西洋書棚に一杯あるさうで、大抵な者は見たばかりで烟に巻かれるさうだ」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉犬物語)

大体の補助注記

( 1 )「大体」と「大抵」とは同じように用いられたが、現代では「大抵」の方が優勢である。
( 2 )「大体」は、漢音「たいてい」、呉音「だいたい」で両様の慣用があるが、確証のない例はこの項に収めた。→だいたい(大体)
( 3 )[ 二 ]の挙例「詞葉の花」の「出さねばならねえ」は、否定表現ではなくて二重否定である。


だい‐たい【大体】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 事柄のあらまし、また、該当するもののうちの大多数。たいてい。
      1. [初出の実例]「大躰 ダいタイ タイテイ」(出典:易林本節用集(1597))
      2. 「物の大体(ダイタイ)を見る事に於ては及ばぬ所があって」(出典:阿部一族(1913)〈森鴎外〉)
      3. [その他の文献]〔礼記‐喪服四制〕
    2. 大きいからだや構え。〔日誌字解(1869)〕
      1. [初出の実例]「兜山綾瀬川ほどの大体にこそ成り得ずとも」(出典:明治の光(1875)〈石井富太郎編〉二)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. ほとんど全部。あらかた。また、完全とはいえなくても、ほとんど達成されるという気持を表わす。たいてい。
      1. [初出の実例]「何しろ十年一日の如くリードル専門の教師をして居るのでも大体御分りになりませう」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉四)
    2. 断定的に物事を決めつけたり、相手を非難したりする気持で用いる。土台。一体全体。
      1. [初出の実例]「僕は、大体始めっから何にも云はないつもりだったのです」(出典:華々しき一族(1935)〈森本薫〉二)
  3. [ 3 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 通りいっぺんであるさま。たいてい。
    1. [初出の実例]「自分は仕方なしに〈略〉極めて大体(ダイタイ)な答へをするのを例のやうにしてゐた」(出典:行人(1912‐13)〈夏目漱石〉帰ってから)

大体の補助注記

→「たいてい(大体)」の補注


だ‐たい【大体】

  1. ( 「だいたい(大体)」の変化した語 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 )
    1. 事柄のあらまし。おおよそのこと。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「ただその所の公事の総のだたいを心えて」(出典:玉塵抄(1563)二二)
    2. 規模や量などの大きいこと。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「Dataina(ダタイナ) テイ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. [ 2 ] 〘 副詞 〙 「もとはといえば…」という気持で、断定的な表現に用いる。もともと。どだい。
    1. [初出の実例]「だたい、そちがむりじゃ」(出典:評判記・美夜古物語(1656頃))

大体の補助注記

中世・近世では「だいたい」より「だたい」の方が一般的である。


てえ‐てえ【大体・大抵】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「たいてい(大体)」の変化した語。「てえでえ」とも )
  2. たいてい(大体)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「如雷様(じょらいさん)とか云て、てヱてヱやかましのじゃ、ござりゃせん」(出典:洒落本辰巳之園(1770))
  3. たいてい(大体)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「一言のことでも気にかけやアなさるめへかと、太義(テヘデヘ)気兼をして居るのに」(出典:人情本春色梅児誉美(1832‐33)三)

おお‐ていおほ‥【大体】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 物事を大げさに言ったり、また、派手にしたりするさま。大仰(おおぎょう)。豪勢。
    1. [初出の実例]「小人はをうていな事を云ぞ。大言を発して人を和するぞ」(出典:両足院本山谷抄(1500頃)一四)
    2. 「只大躰(オホテイ)に遣さへすれは、大尽とこころへ」(出典:談義本・教訓不弁舌(1754)二)

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普及版 字通 「大体」の読み・字形・画数・意味

【大体】だいたい

要領。あらまし。〔夢渓筆談書画〕大體、()源然の畫筆は、皆宜しくるべし。其の用筆、甚だ(簡略)なり。く之れをるときは(ほとん)ど物象にせず。るときは、則ち景物粲然(さんぜん)として、幽思、異を覩(み)るが如し。

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