理念(読み)リネン

デジタル大辞泉 「理念」の意味・読み・例文・類語

り‐ねん【理念】

ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。「憲法理念を尊重する」
哲学で、純粋に理性によって立てられる超経験的な最高の理想的概念プラトンイデア由来イデー
[類語]概念観念思想精神主義信条信念哲学人生観世界観思潮イズムイデオロギーメンタル心的内的精神的内面的観念的心理的知能心理精神力メンタリティースピリチュアルこころ知情意心神内心心情心魂内面マインドハートスピリットエスプリ精魂気迫神気気概気力意力意志神経気構え気持ち気風気性きしょう心性さが

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精選版 日本国語大辞典 「理念」の意味・読み・例文・類語

り‐ねん【理念】

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Idee の訳語 ) 理性によって得られる最高の概念。ある物事があるべき最高のすがた。その事がどうあるべきかという根本的な考え。カント哲学では経験を超越する概念、すなわち神・自由および不死をいう。イデア。イデー。
    1. [初出の実例]「この理念は当然に将来の生活を指導する理想として吾々を動かして行かずにはゐられない」(出典:人格主義(1922)〈阿部次郎〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「理念」の意味・わかりやすい解説

理念
りねん
Idee ドイツ語

イデーともいう。理性によって得られる最高の概念をさす。事物の永遠の原型としての超感覚的な真実在を意味するプラトンのイデアideaが語源である。中世神学ではイデアが神の知性のうちにあるとされた。近世初頭にデカルトとロックが心理的な意識内容をさすために用いてからは、“idea” “Idee”は「観念」(アイデア、イデー)をも意味するようになり、今日ではこの語法が優勢を占めている。しかしカントは、形而上(けいじじょう)学の本来の対象である魂・世界・神の三つの純粋理性概念を理念(イデー)とよんで原義を回復し、超越的、価値的な意味を与えた。理念は、意識内容一般をさす表象と、主観に本来備わって経験的対象の構成に用いられる純粋悟性概念(範疇(はんちゅう))とから区別され、悟性認識に最高の統一を与える理性認識の形式とされた。ただし経験においては、対象構成のために用いられてはならず、認識を規制する原理にとどまる。ヘーゲルでは、理念はその対象と統一され、論理・自然・精神として自己展開する実在的な理性概念であるとされる。

[藤澤賢一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「理念」の意味・わかりやすい解説

理念
りねん
Idee

古代ギリシアの哲学者プラトンの根本概念「イデア」の訳語の一つ。プラトンのイデアは,哲学の歴史を通じてその根本的意義を保ちながらも多様に解釈され,デカルト,ロックにいたってすべて経験に由来する人間精神の内容,意識内容をさし,超越性は失われるようになった。このようなイデアは英語の ideaを介して「観念」と訳される場合が多い。これに対してカントをはじめドイツ哲学内では,デカルト的な「観念」を批判し,イデアの超越性が再び強調され,経験に由来する素材を統一する理性的形式,さらに絶対者としてのイデアが考えられた。このような系譜においてドイツ語の Ideeを介して訳されたものが「純粋理性概念」すなわち「理念」である。

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百科事典マイペディア 「理念」の意味・わかりやすい解説

理念【りねん】

イデア観念

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世界大百科事典(旧版)内の理念の言及

【イデー】より

…感覚されうる個物の原型・範型としての形相,主観的な表象ないし観念の両義のほか,カント以降のドイツ哲学では理性概念として独特の意義づけをこうむる。20世紀初頭,桑木厳翼は理性観念すなわちイデーを〈理念〉と訳した。カントは理性が現象界を超越する傾向は認めるが,理論的認識を感性の直観形式(時間,空間)と悟性概念(カテゴリー)との及びうる現象界に制限し,理性の構想する概念すなわち理念は,〈あたかも〉実在する〈かのように〉全現象界に最高の統一を与えこれを統制する仮説であるとし,旧来の形而上学の主題の神・不死・自由をこのような理念とみなした。…

※「理念」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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