デジタル大辞泉
「謀」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
はかり‐ごと【謀】
〘名〙 (「計り事」の意。古くは「はかりこと」)
① 物事がうまくいくように、また、他をだまそうとしてまえもって考えた手段、方法。計略。もくろみ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「『さやうなるはかりことをやせまし』などおもへど」
※
釈日本紀(1274‐1301)一七「人君之量
(きみたるハカリコト)有
(ま)す」
③ 懸念すること。気がかりなこと。
※
書紀(720)敏達天皇一二年是歳(前田本訓)「一処に聚へ居
(お)かば、恐るらくは、其の変
(ハカリコト)を生さむ」
④ あれこれと
工夫してみること。
工面。創意。思いつき。
※
平家(13C前)二「古郷の恋しきままに、せめてのはかりことに、千本の
卒都婆を作り」
⑤ 生活していくための仕事。
※俳諧・笈の小文(1690‐91頃)「かれ
狂句を好こと久し。終に
生涯のはかりごととなす」
⑥ 運命。めぐりあわせ。
※天草本平家(1592)一「マコトニ フギナ facaricotode(ハカリコトデ)ゴザル」
た‐ばか・る【謀】
① あれこれとじっくり考える。手段・方法などをいろいろと思いめぐらす。工夫して処理する。
※書紀(720)皇極四年六月(岩崎本平安中期訓)「
俳優(わさひと)に教へて、
方便(タハカリ)て解
(ぬ)か令む」
② 相談する。謀議する。かたらう。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇「兄弟共に籌(タバカ)り議りて、復深山の処に往き」
③
相手に誘いかけて自分の思うようにさせる。また、だまし欺く。ごまかす。
※宇津保(970‐999頃)忠こそ「事なければ、北の方しわづらひて、又たばかるやう」
た‐ばかり【謀】
〘名〙 (「た」は接頭語)
① 思いめぐらすこと。工夫。計画。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「思(おもひ)慮(タハカリ)の智(さとり)有り」
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「かぎなければ開くべきたばかりをしつつ、蔵を開けさせ給ふ」
② はかり欺くこと。たぶらかすこと。はかりごと。計略。謀計。たばかりごと。
※竹取(9C末‐10C初)「此女のたばかりにや負けんとおぼしめして」
③ はかりごとを相談しあうこと。謀議すること。
はかり‐ご・つ【謀】
① はかりごとをめぐらす。計画する。
※大日経義釈延久承保点(1074)一三「群臣遂に謀(ハカリコ)て、之を害せむと欲す」
※
源氏(1001‐14頃)
手習「人におはれ、人にはかりこたれても、これよこざまのしにをすべき者にこそあんめれ」
ぼう【謀】
〘名〙
① はかりごと。計略。策謀。
② 律で、二人以上の人が画策することをいう。
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