デジタル大辞泉
「どうも」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
どう‐も
〘副〙 (
副詞「どう」に
助詞「も」が付いてできたもの)
① (打消表現を伴って) いろいろと行為をしてみても、またあり得る状態を考えた上でも否定される気持を表わす語。なんとしても。どんなふうにも。どう考えても。
※虎寛本狂言・真奪(室町末‐近世初)「『ハテ、今から縄をなふて間に合ふ物か』『どうも外には御ざらぬ』」
※安愚楽鍋(1871‐72)〈
仮名垣魯文〉初「堀じャア見かけねへかほだがどうもわからねへ」
② いろいろしたり考えたりして結局認める気持を表わす語。感動を伴うことが多い。何とも。いやはや。
(イ) 否定的態度あるいは抵抗感のある場合。
※
咄本・くだ巻(1777)月蝕「出やれ出やれ、
アイアイ。どうもねむい。翌
(あした)みませう」
※滑稽本・
浮世床(1813‐23)初「どうも足下たちは度しがたい。モウモウなんともいへねへから思召次第」
(ロ) 肯定的な場合。
※雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一四「どうもよくすると
隠居の大はまり」
※花間鶯(1887‐88)〈
末広鉄腸〉中「
ドウモ熟練なものジャ」
③ 判断の根拠や物事の原因が不確かであったりして、現実のあり方に
疑念をもつ気持を表わす語。どうやら。なんだか。どういうものか。
※
人情本・
春色梅児誉美(1832‐33)初「どふもはなしの様子が、おまはんの噂のようだから」
※二百十日(1906)〈
夏目漱石〉一「どうも寺丈にしては、ちと、時代が長過ぎると思った」
④ (どう申し上げようもないほど、の意から) 感謝したり詫びたりする気持を含む
挨拶に用いる。内容を省略し、「どうもどうも」と重ねて用いることも多い。
⑤ あいまいな、または安易な挨拶のことばとして用いる。
※
多情多恨(1896)〈
尾崎紅葉〉後「貴方、先日は如何
(ドウ)も。熱いのね。姉さん」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報