どうか(読み)ドウカ

デジタル大辞泉 「どうか」の意味・読み・例文・類語

どう‐か

[副]
心から丁重に頼み込む気持ちを表す。どうぞ。なにとぞ。「頼むからどうか見逃してくれ」
具体的な方法はともかくとして、ある問題の解決を望む気持ちを表す。なんとか。どうにか。「小遣いぐらいは自分でどうかする」
物事が普通とは異なる状態を表す。多く、変だ、あまり感心しない、などの気持ちを表す。どうにか。「今日のお前はどうかしたんじゃないか」「暑くてどうかなってしまいそうだ」
判断自信がない、迷っているといった気持ちを表す。「本当かどうかわからない」「どうかな、難しいところだ」
確かな根拠はなくても、たぶんそうであろう、という気持ちを表す。どうも。どうやら。
「あなたがたは、―、年来のお交際つきあいらしく思われますが」〈里見弴・今年竹〉
[用法]どうか・どうぞ――「どうか(どうぞ)お願いします」「どうか(どうぞ)奥の方にお入りください」など、依頼の表現では相通じて用いられる。◇「どうか」は無理承知で頼む意が強い。「どうかご承諾ください」◇「どうぞ」は勧誘の気持ちが強く、そのことをするかどうかは相手しだいになる。「どうぞお出かけください」また、「どうぞ」のあとを省略して、「どうぞ」だけで使うことができる。「どうぞ(お召し上がりください)」◇「どうかしたのか」「うまくできるかどうか」のように、異常な状態、不確かなようすを表す用法は「どうぞ」にはない。◇「なにとぞ」は、やや古風ないい方だが、丁寧な気持ちは「どうか」「どうぞ」より強い。手紙文などに多く使われる。「時節がら、なにとぞご自愛ください」
[類語](1どうぞ強いて敢えてむりやり努めてできるだけ極力なるたけなるべく可及的必ずきっと絶対是非何としてもどうしても何が何でも是が非でも押してたってくれぐれも願わくはなにとぞなんとかまげてひとつ必ずや必然必定必死不可避誓っててっきり違いないはず決まってすなわち否が応でも否でも応でもいやでもいやとも是非ともなにぶん平にしんからこころから衷心返す返す無理無理算段無理無体無理押し無理強い強制的強引強気強行独断独断的理不尽強硬頑強問答無用強要力尽く力任せ腕尽くごり押し断固一刀両断横柄威圧的否応無し頑として横紙破り横紙を破る有無を言わせず腕力に訴える横車を押す押し付けがましいねじ伏せる首に縄を付ける遠慮会釈もない遠慮高圧的高飛車頭ごなし押し通す押し付ける一方的豪腕

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「どうか」の意味・読み・例文・類語

どう‐か

  1. 〘 副詞 〙 ( 副詞「どう」に助詞「か」の付いてできたもの )
  2. 一つの判断が必ずしも明確な根拠に基づかないでも、ほぼ成立しそうだ、という気持を表わす。どうやら。何だか。
    1. [初出の実例]「どうかぬしゃア見た様だ。今迄はどこにゐなさった」(出典:咄本・聞上手(1773)岡場所)
    2. 「今夜はどうか降りさうだから」(出典:歌舞伎・霜夜鐘十字辻筮(1880)序幕)
  3. 一つの事柄が理想的な姿でないながらも、まがりなりに成立する、という気持を表わす。何とか。どうにか。
    1. [初出の実例]「爰は北へ向ても南へ向ても賑な土地にて、どうか商ひも有さうなりしが」(出典:滑稽本・古朽木(1780)一)
  4. 無理かも知れないけれども、こちらの願いをきいてほしい、という依頼・嘆願を表わす。何とぞ。たって。
    1. [初出の実例]「どうか工面の仕やうで、七夕(しっせき)前に取やりも済して、盆祭一通りにして貰たし」(出典談義本・教訓雑長持(1752)四)
    2. 「どうか置いて下さいと何遍も繰り返して頼んだ」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一)
  5. 人や物事の状態が正常でないことについて、気がかりである場合、非難したい気持であるさまを表わす。
    1. [初出の実例]「本当にどうか遊ばしていらっしゃる」(出典:ゆく雲(1895)〈樋口一葉〉中)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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