精選版 日本国語大辞典「輪」の解説
りん【輪】
[1] 〘名〙
① 車のわ。車輪(しゃりん)。
② 車輪の形をしている物。まるい物。輪状の物。わ。
※名語記(1275)三「りむは輪也、〈略〉日輪・月輪・車輪等これ也」
③ 一つの花の花びらの全体。また、大きく花が咲いている様子。また、その花。
※四季物語(14C中頃か)五月「からうして花のりん三つ四つ奉りすて行ぬ」
④ (「輪」は、かわるがわるの意) 「りん(輪)の手」の略。
⑤ (「輪」は、外のまわりの意) 衣服の襟(えり)・袖(そで)・裾(すそ)などに別の布でへりをとったもの。袖べり、そぎえり、半襟(はんえり)、覆輪(ふくりん)など。
※平家(13C前)四「八尺ばかりありけるくちなはが、おとどのさしぬきの左のりんをはひまはりけるを」
⑥ 仏具の一つ。輪宝のこと。伝法灌頂には受者が両足の間にはさむ。
※参天台五台山記(1072‐73)四「羯磨四枚・輪一枚・橛八枚」
⑦ 仏教で、法を広めることを車輪が回ることにたとえたもの。法輪。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)三「もろもろの菩薩おほく、みなことごとく利根にして、不退の輪(リン)(〈注〉ノリ)を転せん」
[2] 〘接尾〙
① 咲いている花冠・花の数をかぞえるのに用いる。
※宗長手記(1522‐27)下「冬の梅は、一りん二りんかすかに咲て匂ふこそ、あはれふかからめ」
② 車に付いている車輪の数をかぞえるのに用いる。「一輪車」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報