遮二無二(読み)シャニムニ

デジタル大辞泉 「遮二無二」の意味・読み・例文・類語

しゃに‐むに【遮二無二】

[副]ほかの事を考えないで、ただひたすらに。がむしゃらに。「目標へ遮二無二突進する」
[類語]ひたすらいちずひたむき一筋ただただただ専一ひとえに一心一念一路一散一目散一直線一本槍一点張り一辺倒一意専心営営せっせ無二無三がむしゃら一心不乱脇目も振らず直線的まっしぐら直情径行まっすぐ猪突猛進ストレートしゃかりき無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中専心専念没入没頭没我傾注傾倒我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ奮って積極的自発的能動的意識的主体的意図的意欲的精力的自主的活動的好んで進取前向きわざわざわざと強いてたってことさら乗り気求めて進んで我勝ち我先我も我も喜んで喜ぶどしどしアクティブアグレッシブポジティブ自ら手ずから直直じきじき直接直接的じか身を以てダイレクト故意作為作為的未必の故意あえてえいやっと我劣らじとわざとらしいむにまれぬ及ばずながら献身的強気強引押して努めて曲げて断固断然思い切ってるか反るか思う様思う存分存分思いのまま力一杯精一杯率先果敢惜しみない意気込む本腰本腰を入れる入れ込む

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精選版 日本国語大辞典 「遮二無二」の意味・読み・例文・類語

しゃに‐むに【遮二無二】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「しゃりむり」の変化した語か )
  2. なにごとも気にかけないでがむしゃらにやるさまを表わす語。むやみに。めったやたらに。
    1. [初出の実例]「ならぬ事をしゃにむにせんとすれば、其望のかなはぬのみにあらず」(出典:談義本・地獄楽日記(1755)二)
  3. ある感情が激しくつのってくるさまを表わす語。やたらと。むしょうに。
    1. [初出の実例]「遮二無二(シャニムニ)旦那さまを恨みました」(出典:この子(1896)〈樋口一葉〉)

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四字熟語を知る辞典 「遮二無二」の解説

遮二無二

後先を考えず、何も気にせずに物事に向かう様子。むやみに。めったやたらに。

[使用例] 実際角力すもうに勝ちたいというより、私の気持では自分の強さを父に感服させたい方だった。私は突返されるたびに遮二無二ぶつかって行った[志賀直哉暗夜行路|1921~37]

[使用例] クラバックはこの河童たちを遮二無二左右へ押しのけるが早いか、ひらりと自動車へ飛び乗りました[芥川龍之介*河童|1927]

[使用例] 満足に駆けることもできない頃だった。勇の食べていたせんべい年上男の子が奪った。勇はしゃにむにむしゃぶりついたが、強い力で振り払われていた[高橋三千綱*九月の空|1978]

[解説] 「しゃにむに」が現れるよりも少し前、江戸前期から「しゃりむり」ということばがあります。これが「しゃにむに」の元の形と考えられます。「遮二無二」は当て字です。
 「しゃりむり」の語源ははっきりしませんが、「むり」は「無理」でしょう。それに調子を整える「しゃり」をつけたと考えられます。「しゃりむり」は、現代でも東北方言に残っています。
 現代語では、東北方言から一般化した「無理くり」(=無理やり)ということばもあります。この「くり」も調子を整えることばと考えられます。
 「しゃりむり」が「しゃにむに」と変化した結果、最後の「に」が形容動詞語尾と解釈されて、「しゃにむな」という形も現れました。「勝つためのしゃにむな練習」といった例が書籍に現れ、誤りと批判されたりしています。
 もっとも、現在、インターネット上の例を見るかぎり、「しゃにむな」の使用例は多くはありません。新語として広まるまでには至っていないようです。

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