しゃに‐むに【遮二無二】
〘副〙 (「しゃりむり」の変化した語か)
① なにごとも気にかけないでがむしゃらにやるさまを表わす語。むやみに。めったやたらに。
※
談義本・地獄楽日記(1755)二「ならぬ事をしゃにむにせんとすれば、其望のかなはぬのみにあらず」
② ある
感情が激しくつのってくるさまを表わす語。やたらと。むしょうに。
※この子(1896)〈
樋口一葉〉「遮二無二
(シャニムニ)旦那さまを恨みました」
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デジタル大辞泉
「遮二無二」の意味・読み・例文・類語
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遮二無二
後先を考えず、何も気にせずに物事に向かう様子。むやみに。めったやたらに。
[使用例] 実際角力に勝ちたいというより、私の気持では自分の強さを父に感服させたい方だった。私は突返されるたびに遮二無二ぶつかって行った[志賀直哉*暗夜行路|1921~37]
[使用例] クラバックはこの河童たちを遮二無二左右へ押しのけるが早いか、ひらりと自動車へ飛び乗りました[芥川龍之介*河童|1927]
[使用例] 満足に駆けることもできない頃だった。勇の食べていたせんべいを年上の男の子が奪った。勇はしゃにむにむしゃぶりついたが、強い力で振り払われていた[高橋三千綱*九月の空|1978]
[解説] 「しゃにむに」が現れるよりも少し前、江戸前期から「しゃりむり」ということばがあります。これが「しゃにむに」の元の形と考えられます。「遮二無二」は当て字です。
「しゃりむり」の語源ははっきりしませんが、「むり」は「無理」でしょう。それに調子を整える「しゃり」をつけたと考えられます。「しゃりむり」は、現代でも東北方言に残っています。
現代語では、東北方言から一般化した「無理くり」(=無理やり)ということばもあります。この「くり」も調子を整えることばと考えられます。
「しゃりむり」が「しゃにむに」と変化した結果、最後の「に」が形容動詞の語尾と解釈されて、「しゃにむな」という形も現れました。「勝つためのしゃにむな練習」といった例が書籍に現れ、誤りと批判されたりしています。
もっとも、現在、インターネット上の例を見るかぎり、「しゃにむな」の使用例は多くはありません。新語として広まるまでには至っていないようです。
出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報