勝山(読み)かつやま

精選版 日本国語大辞典 「勝山」の意味・読み・例文・類語

かつやま【勝山】

[1]
[一] 福井県北東部の地名。九頭龍(くずりゅう)川に沿う。小笠原氏二万七千石の旧城下町で、藩政時代は勝山煙草の栽培で知られた。昭和二九年(一九五四)市制。
[二] 岡山県北部、真庭市の地名。旭川上流に沿い、もと高田と称した。三浦氏二万三千石の旧城下町。
[三] 千葉県南西部、鋸南(きょなん)町の地名。海水浴場、沿岸漁業基地として知られる。加知山(かちやま)
[四] 承応・明暦(一六五二‐五八)頃の遊女の名。同名の遊女は数人いたが、中でも江戸吉原新町、山本芳潤抱えの勝山が最も有名。初め神田の紀伊国屋風呂の湯女(ゆな)であったが、承応二年(一六五三)吉原に移り、山本芳潤の抱えの太夫となった。だてな異風を好み、丹前風(たんぜんふう)勝山髷(かつやままげ)外八文字(そとはちもんじ)などを流行させた。また、小歌、三味線にもすぐれていた。
※評判記・色道大鏡(1678)一七「武州八王子之人也。正保三年丙戌、出世紀伊国風呂、而号勝山
[2] 〘名〙
※随筆・独寝(1724頃)上「江戸の洗ひ髪は、いかにしてもしゃれてよし。かつやまも面白し」

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デジタル大辞泉 「勝山」の意味・読み・例文・類語

かつやま【勝山】

江戸時代の婦人の髪形の一。末を細めにして束ねた髪を前へ輪のように巻き上げ、先をこうがいで留めたもの。丸髷まるまげの前の形。承応(1652~1655)のころ、江戸吉原の遊女勝山が始めたという。勝山髷。

かつやま【勝山】[岡山県の地名]

岡山県真庭市の地名。もと三浦氏の城下町。高田硯たかだすずりを特産する。

かつやま【勝山】[福井県の市]

福井県北東部の市。もと小笠原氏の城下町で、タバコ絹織物集散地として発展した。今も繊維・縫製業が盛ん。北谷地区の手取層群から多数の恐竜化石が発掘されている。人口2.5万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「勝山」の意味・わかりやすい解説

勝山[市] (かつやま)

福井県北東部の商工都市。1954年勝山町と荒土(あらど),野向(のむき),村岡(むろこ),遅羽(おそわ),北谷,北郷,平泉寺,鹿谷の8村が合体,市制。人口2万5466(2010)。市街は大野盆地北部の九頭竜川東岸の河岸段丘上にあり,かつては手取川上流を後背地にして谷峠越え(現,国道157号線)に生糸,牛首紬(うしくびつむぎ)などを集散した。藩政期には刻みタバコでも知られ,明治後期に専売制になってからは機業に転じたが,廃業補償を資本にしたため規模が比較的大きく,県下機業の一中心である。1574年(天正2)平泉寺を焼き滅ぼした一向一揆が自らの拠点村岡山を勝山と改めたのが地名の起りとされ,80年柴田勝家の一族柴田勝安が南の袋田に勝山城を築き,1691年(元禄4)以降小笠原氏の城下町として明治に至った。北谷,野向など過疎山村を抱えて市の人口は減少したが,市街地は流出人口の受け入れと機業場の外部移転で拡大した。京福電鉄(現,えちぜん鉄道勝山永平寺線)が通じる。遅羽町嵭崎(ほうき)に縄文時代の三室遺跡があり,平泉寺には白山平泉寺城跡と中世の面影を残す国の名勝旧玄成院庭園がある。
執筆者:

越前国の城下町で,福井,大野,加賀を結ぶ交通の要地。1600年(慶長5)越前を領した結城秀康が勝山城を支城とし9840石で林定正を配置した。24年(寛永1)秀康の五男松平直基により勝山藩3万石が成立,91年小笠原貞信が2万2777石で入封して定着した。勝山は初め袋田・郡(こおり)・後(うしろ)町の勝山三町といわれ,新田とも2367石余。小笠原氏が城南に侍屋敷を設定し町域も広がり,19世紀初めに15町がみられる。町役人に町年寄,町庄屋,年行司があった。1698年3町各6人の町火消組がつくられ,幕末には5組になった。戸口は1738年(元文3)615戸・3144人,同じころ酒屋25軒,室屋22軒,桶屋19軒,大工と紺屋各14軒,鍛冶屋12軒などがあった。86年(天明6)と1811年(文化8)に大規模な打毀が起こった。幕末以降藩の奨励もあってタバコ,製糸,織物業が栄え,1872年(明治5)1484戸・6430人,1910年1687戸・7152人となる。
執筆者:

勝山(山梨) (かつやま)

勝山(福岡) (かつやま)

勝山(岡山) (かつやま)

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日本歴史地名大系 「勝山」の解説

勝山
かちやま

金生きんしよう山の南方、中山道赤坂あかさか宿の南に位置する標高五一・四メートルの丘陵性の里山。古くはおか山と称し、中山道分間延絵図などには御勝おかち山とも記される。「大垣藩地方雑記」に「往昔清見原天皇大友皇子不破関に於て御合戦あるに、天皇御勝利を得させられ、勝山へ帰陣したまひ」とあり、壬申の乱に際し、大海人皇子は当地で軍を整えたという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「勝山」の意味・わかりやすい解説

勝山
かつやま

岡山県北部,真庭市中部の旧町域。旭川中流域,吉備高原久世盆地からなる。 1896年町制。 1955年月田村,富原村の2村と合体。 2005年北房町,落合町,湯原町,久世町,美甘村,川上村,八束村,中和村の8町村と合体して真庭市となった。中心地区の勝山はかつては真庭郡の行政中心地。旭川水運と出雲街道の交点にあたる交通の要地で宿駅が置かれた。三浦氏2万 3000石の陣屋町で,「旦」と呼ばれる河岸段丘上に武家屋敷が残っている。南西部の月田は旭川の支流新庄川,月田川に沿う木材の集散地で,製材工場が多い。高田硯と竹細工を特産。北部の星山 (1030m) 中腹には後醍醐天皇ゆかりの星山の集落があり,牧牛が行なわれる。付近に中国地方一といわれる神庭の滝 (国指定名勝) がある。北部は湯原奥津県立自然公園に属する。

勝山
かつやま

福岡県東部,みやこ町北部の旧町域。貫山地の南東斜面に位置する。 1955年諫山村,久保村,黒田村が合体して町制施行。 2006年犀川町,豊津町と合体して,みやこ町となった。山地や丘陵が多いが,東部の沖積低地での米作が中心。北九州市などへの通勤者も多い。綾塚古墳橘塚古墳 (ともに国の史跡) など古墳が多く,南部には国指定史跡の御所ヶ谷神籠石 (→神籠石 ) がある。一部は筑豊県立自然公園に属する。

勝山
かつやま

山梨県南部,富士山の北斜面にある地域。旧村名。 2003年 11月河口湖町,足和田村と合併し富士河口湖町となった。河口湖南岸の一部を含む。米作と野菜の栽培が行なわれるが,民宿を兼業する農家が多い。また富士吉田市方面への通勤者が増えている。国道 139号線が通る。

勝山
かつやま

千葉県南西部,浦賀水道にのぞむ鋸南町の中心地区。内房の海水浴場として知られる。田子台に弥生遺跡,沖合いに景行天皇の伝説が残る浮島がある。南房総国定公園に属する。

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朝日日本歴史人物事典 「勝山」の解説

勝山

生年:生没年不詳
江戸中期の遊女。初め江戸神田の堀丹後守屋敷前の風呂屋(丹前風呂)の紀伊国屋抱えの湯女で,外出の際に男風の黒仕立に編笠を被り,木刀を帯びたと伝えられる名物湯女であった。承応2(1653)年8月,吉原新町の山本芳順抱えの太夫となり,明暦3(1657)年8月に廓を去ったと伝えられている。吉原に移籍後も丹前の勝山の名で評判を取り,その案出にかかる勝山髷や草履の勝山鼻緒は,広く一般にも流行した。また吉原廓内では,従来の道中の歩み振りを京都島原風から,いわゆる六法風に改め,外八文字の趣向に新味を発揮した。

(宇田敏彦)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「勝山」の解説

かつやま【勝山】

宮城の日本酒。酒名は、「勝ち星を山のようにとる」のことばから「勝」と「山」をとったという説と、女性の髪形「勝山髷」に由来するという説がある。「暁」は遠心分離によって搾る純米大吟醸酒。ほかに純米大吟醸酒「伝」、純米吟醸酒「献」などがある。平成3~5、11~15年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は山田錦など。仕込み水は泉ヶ岳山麓の伏流水。蔵元の「仙台伊澤家 勝山酒造」は元禄年間(1688~1704)創業。2代目のときに仙台藩御用酒屋となる。所在地は仙台市泉区福岡字二又。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「勝山」の解説

勝山 かつやま

?-? 江戸時代前期の遊女。
もと江戸神田の丹前風呂紀伊国屋(きのくにや)の湯女(ゆな)。紀伊国屋廃業後の承応(じょうおう)2年(1653)吉原の太夫となり,丹前勝山の名で人気をよぶ。勝山髷(まげ)を流行させ,勝山歩(あゆみ),勝山鼻緒などを創案。和歌や書にすぐれ,笛,琴などもたくみであったという。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「勝山」の解説

勝山
(通称)
かつやま

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
敵討誉勝山
初演
享和1.7(大坂・角芝居)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「勝山」の解説

勝山(かつやま)

宮城県、仙台伊澤家勝山酒造株式会社の製造する日本酒。純米大吟醸酒、特別純米酒などがある。

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