精選版 日本国語大辞典 「将・当」の意味・読み・例文・類語
はた【将・当】
① 事の成否を危惧しながら推量するときに用いる。
(イ) ひょっとして。もしかして。→はたや。
※万葉(8C後)六・九五三「さ男鹿の鳴くなる山を越え行かむ日だにや君が当(はた)逢はざらむ」
(ロ) (下に否定語を伴って) まさか。よもや。
※伊勢物語(10C前)六九「女もはたいと逢はじとも思へらず」
② 当然のこととして肯定する気持を表わす。やはり。さすがに。思ったとおり。はたして。
③ 他に考えてもやはり、と肯定する気持を感動的に表わす。
(イ) 打消表現と呼応して、それもだめだという気持を表わす。そうはいうものの。しかしながら。
(ロ) 二つの事柄のどちらを選ぶか迷う気持を表わす。はたまた。それともまた。あるいは。
⑤ 先行の事柄と類似の事柄を列挙するときに用いる。
(イ) それもまた同様であるという気持を表わす。また。同様に。
※平中(965頃)一「この男はた宮仕へをば苦しき事にして、ただ逍遙をのみして」
(ロ) さらに類似のことが加わることを表わす。その上にまた。さらにまた。いっそう。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「例の遊び、はたまして、心に入れてし居たり」
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