デジタル大辞泉 「又」の意味・読み・例文・類語

また【又/×亦/復】

[副]
前にあったことがもう一度繰り返されるさま。ふたたび。「あした―来ます」「いつか―お話を聞かせてください」「―失敗した」
ほかのものと同じ状態にあるさま。ひとしく。同じく。「息子も―父親と同様、学者だ」
そのものと別であるさま。「忙しいから―にしてくれ」「―の機会
さらに別の事柄がつけ加わるさま。その上に。「秋は―収穫の季節でもある」
驚きや疑問気持ちを表す。まったく。それにしても。「―えらい失敗をしたものだ」「―なんときれいな花だ」
[接]
事柄を並列・列挙するときに用いる。ならびに。「彼は、英語ドイツ語も、―フランス語も話せる」
さらに別の事柄をつけ加えるときに用いる。その上。「おもしろいだけでなく、―役に立つ」「医者であり、―文学者でもある」
並列・列挙した事柄のうち、どれを選択してもいいときに用いる。あるいは。または。「行ってもいいし、―行かなくてもいい」
[接頭]名詞に付いて、間接である意を表す。「―聞き」「―貸し」
[類語]あまたたびたびたび何度もよくしばしばちょくちょく往往ちょいちょいしきりしょっちゅう幾度頻繁頻頻しげしげ足繁く再び重ねて再度再三再三再四再再又又又もまたもや二度と二度と再び更に且つそれにその上この上しかもあまつさえかつまたなおかつおまけに加うるにのみならずしかのみならずそればかりかそれどころかてて加えて同時にましてなおさらいわんや余計一層もっとますますいよいよよりも少しもう少しずっとなお一段いやが上に数段段違い層一層しのぐもそっと今少しぐんとぐっとうんとだいぶ余程遥かひとしおうたた尚尚なおなおなお以て更なるひときわいや増すさてはさなきだに

まった【又】

[接]また」を強めていう語。そのうえ。さらに。
「―あのさぶが身の上を言うて聞かさう」〈虎寛狂・夷毘沙門

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精選版 日本国語大辞典 「又」の意味・読み・例文・類語

また【又・亦・復】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙
    1. 同じ行為、状態がもう一度出現するさまを表わす語。再び。もう一度。
      1. [初出の実例]「本毎(もとごと)に 花は咲けども 何とかも 愛(うつく)し妹が 磨陁(マタ)咲き出来ぬ」(出典日本書紀(720)大化五年三月・歌謡)
    2. 一つの状態が他の状態と類似、あるいは一致すると認める気持を表わす語。同様に。同じく。
      1. [初出の実例]「たてばたつゐればまたゐるふく風と波とは思ふどちにやあるらん」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月一五日)
    3. 一つの状態の他に、もう一つ別の、類似、あるいは対立する状態のあり得ることを認める気持を表わす語。ほかに。さらに。他方。
      1. [初出の実例]「思ひめぐらせば、なほ、家路と思はん方は、又なかりけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    4. 「…また…」の形で同じ名詞を受けて、どこまで行っても、いつまでたってもその物がずっと続くさまを表わす。
      1. [初出の実例]「山また山 何れの工か青巖の形を削り成せる〈大江澄明〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)下)
    5. 疑問文に用いて、事態をいぶかしがる気持を強調する語。一体全体。
      1. [初出の実例]「更(マタ)滅罪方便有りや否や」(出典:三国伝記(1407‐46頃か)一一)
    6. 一つの評価・判断を強調して示す語。まったく。特に。
      1. [初出の実例]「理外の奇縁なれば、その気を感じて子を産こと亦(マタ)なしと誣(しひ)がたし」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)残)
  2. [ 2 ] 〘 接続詞 〙
    1. 並列的な、または選択的な関係にある事柄を列挙することを示す。ならびに。あるいは。または。
      1. [初出の実例]「萩の花尾花葛花瞿麦(なでしこ)が花女郎花(をみなへし)(また)藤袴朝貌が花」(出典:万葉集(8C後)八・一五三八)
      2. 「御送り迎への人の衣の裾堪へがたくまさなきこともあり。又、ある時は、えさらぬ馬道の戸をさしこめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
    2. 前の事柄に後の事柄が添加されることを示す。その上。さらに。そればかりでなく。
      1. [初出の実例]「霜のいとしろきも、またさらでもいと寒きに」(出典:枕草子(10C終)一)
    3. さてまた

又の補助注記

接続詞「また」の成立は、漢文訓読において、「且」「又」「亦」「復」を「マタ」と訓読したことによると考えられている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「又」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 2画

(旧字)
2画

[字音] ユウ(イウ)
[字訓] また・ふたたび・たすける

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
右の手の形で、右の初文。〔説文〕三下に「手なり。象形。三指なるは、手の列多きも、略して三にぎざるのみ」とある。左向の字は、左の初文。右は後起の字で、祝の器である口((さい))をもつ形。左も後起の字で、呪具である工をもつ形。はのち副詞のまた、動詞の佑助の意に用い、左右の字には用いない。金文ではを左右の右、有無の有、保有・敷有の有、また佑助の佑、侑薦の侑に用いる。〔詩、小雅、小宛〕「天命(ふたた)びせず」、〔儀礼、燕礼〕「之れに命ず」は復の意、〔礼記、王制〕「王三たびす」は宥(ゆる)す意である。

[訓義]
1. て、みぎのて、みぎ。
2. たもつ、やすんずる、ゆるす。
3. また、さらに、ふたたび。
4. たすける、やしなう。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 マタ・サラニ・テ・アヤマル・スクル・ヲサム

[部首]
〔説文〕に右・(父)・・曼・尹・(及)・・友など二十八字と重文十六字を属する。(史)・(支)・攴(ぼく)などの各部も、に従う。右は祝は斧、(そう)は中の火、曼(まん)は頭布を掲げる。尹(いん)は呪杖をもつ、は後ろより人の裾をもつ、(せい)は呪獣の祟(すい)(たたり)をもって祓う、友は兄弟相佑助することをいう。

[声系]
〔説文〕に(有)・・尤を声とするが、は肉をもつ形で会意、尤は呪獣の伏する形で象形字である。

[語系]
・右・佑・(祐)・hiuは同声。卜文・金文において、をまたそれぞれの字義に用いており、みなより分化した同系の語である。

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