心許無い(読み)ココロモトナイ

デジタル大辞泉 「心許無い」の意味・読み・例文・類語

こころ‐もとな・い【心許無い】

[形][文]こころもとな・し[ク]
頼りなく不安で、心が落ち着かないさま。気がかりだ。「子供たちだけでは―・い」「古い木橋で―・い」
待ち遠しくていらいらするさま。じれったい。
「宵過ぐるまで待たるる月の―・きに」〈末摘花
はっきりしない。ぼんやりしている。
花びらはしに、をかしき匂ひこそ、―・うつきためれ」〈三七
[類語]考え事思案物思い考え心配気疲れ気苦労心痛心労懸念恐れ憂慮取り越し苦労杞憂悲観恐れる不安危惧きぐ危懼きく疑懼ぎく胸騒ぎ気がかり心がかり不安心心細い憂い気遣いわずら怖い危なっかしいおぼつかないおののく動揺心騒ぎ煩慮憂惧ゆうぐ憂懼ゆうく憂い事気遣わしい痛心鬼胎ひやひやはらはらどきどきおどおどあぶなあぶな恐る恐るこわごわおっかなびっくりおじおじおずおずびくびくこわがる臆するおびえるびくつくおじるおじける恐怖恐れをなす悪びれる案ずる気が気でないそぞろ足が地につかない気が揉める居ても立ってもいられない矢も楯もたまらない居たたまれない生きた心地もしない気になる気に病む頼り無い

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精選版 日本国語大辞典 「心許無い」の意味・読み・例文・類語

こころ‐もとな・い【心許無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]こころもとな・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 思うことをかなえることができないで心が落ち着かない。待ち遠しい。じれったい。気持があせって落ち着かない。
    1. [初出の実例]「此枝を折りてしかば、さらに心もとなくて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「八月廿余日、宵過ぐるまで待たるる月の心もとなきに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
  3. 確信がもてないで不安である。気がかりである。頼りにならない。
    1. [初出の実例]「すべて心もとなき事なく、しつくさんと思ひ給へり」(出典:落窪物語(10C後)三)
    2. 「日々の御容体を、叡聞に達せしに、尚御心元(ココロモト)なくや思召されけん、周防守を召て、近日行啓あるべきの由を仰下さる」(出典随筆槐記‐享保一七年(1732)九月一二日)
    3. 「私は少し心もとない気がしたが」(出典:曠野(1964)〈庄野潤三〉七)
  4. はっきりそれときめかねるような状態である。はっきりしない。おぼつかない。ぼんやりしている。
    1. [初出の実例]「梨の花〈略〉せめて見れば、花びらのはしに、をかしき匂ひこそ、心もとなうつきためれ」(出典:枕草子(10C終)三七)

心許無いの補助注記

「もとな」は、「むやみに…してどうしようもない」という意味副詞で、気持だけが先行して制御できない、落ち着かないというのが原義か。

心許無いの派生語

こころもとな‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙

心許無いの派生語

こころもとな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

心許無いの派生語

こころもとな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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