悪怯れる(読み)ワルビレル

デジタル大辞泉 「悪怯れる」の意味・読み・例文・類語

わる‐び・れる【悪×怯れる】

[動ラ下一][文]わるび・る[ラ下二]気おくれがして、恥ずかしがったり、卑屈な振る舞いをしたりする。「―・れないで答える」
[類語]恐れるおびえる怖がるびくつく臆するびくびくするおどおどするおじるおじける恐怖する恐れをなすおっかなびっくりはらはらひやひやどきどきあぶなあぶな恐る恐るこわごわおじおじおずおず不安考え事思案物思い心配気疲れ気苦労心痛心労懸念恐れ憂慮取り越し苦労杞憂悲観危惧きぐ危懼きく疑懼ぎく胸騒ぎ気がかり心がかり不安心心細い心許こころもとない憂い気遣いわずら怖い危なっかしいおぼつかない頼り無いおののく動揺心騒ぎ煩慮憂惧ゆうぐ憂懼ゆうく憂い事気遣わしい痛心鬼胎気が気でないそぞろ足が地につかない気が揉める居ても立ってもいられない矢も盾もたまらない居たたまれない生きた心地もしない気になる気に病む案ずる

わろ‐び・れる【×怯れる】

[動ラ下一][文]わろび・る[ラ下二]わるびれる」に同じ。
「彼は其の前に先ず―・れず会釈して」〈紅葉金色夜叉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「悪怯れる」の意味・読み・例文・類語

わる‐び・れる【悪怯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]わるび・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 こわい、つらい、恥ずかしい、といった感情をいだき、それを表情や態度・言葉に表わす。
  2. 強い者の前で、恐ろしさのために気後れする。臆病な態度をとる。臆する。わろびれる。
    1. [初出の実例]「東国の奴原に、わるひれて見ゆな」(出典:源平盛衰記(14C前)四三)
  3. 悪者として捕らえられた人が、おどおどしたり、恥ずかしそうにしたりする。卑屈な態度をとる。わるぶ。わろびれる。
    1. [初出の実例]「『有のままに申せ』とぞ宣ける。西光はちとも色も変ぜず、わるひれたる景気もなし」(出典:屋代本平家(13C前)二)
  4. 劣った者、身なりのみすぼらしい者、とされる人が、それを気にしてこそこそする。気後れする。わろびれる。
  5. 自分の苦痛などを表にあらわす。つらがる。苦しがる。
    1. [初出の実例]「左のみみを半分過そりおとしたり。〈略〉あいたや、あいたやと、わるびれたる声になりければ」(出典:咄本・戯言養気集(1615‐24頃)上)
  6. 別れなければならない人について未練がましくふるまう。
    1. [初出の実例]「ねんし原に女房・子共五人、はり付にかけておく処を、彌四郎を引とおして、やりすごして見せければ、殊之外にわるびれて見ゑけるが」(出典:三河物語(1626頃)三)
  7. 人前などで恥ずかしそうにする。
    1. [初出の実例]「令嬢は〈略〉、正面を向いてゐて、少しもわるびれた様子がない」(出典:ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉)
  8. 気後れがしておどおどする。恐縮する。
    1. [初出の実例]「平然として怜子との関係を認めたよ。恥かしがりも悪びれもしないんだ」(出典:手は汚れない(1961)〈久能啓二〉三)

わろ‐び・れる【悪怯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]わろび・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. わるびれる(悪怯)
    1. [初出の実例]「かやうに随分の勇士共も、わろびれてすすみえず」(出典:保元物語(1220頃か)下)
  3. わるびれる(悪怯)
    1. [初出の実例]「西光もとよりすぐれたる大剛の者なりければ、ちとも色も変ぜず、わろびれたるけいきもなし」(出典:平家物語(13C前)二)
  4. わるびれる(悪怯)
    1. [初出の実例]「古腹巻にさび長刀やうやうに横たへ、わろびれたるけしきもなく、参りて御前にかしこまる」(出典:車屋本謡曲・鉢木(1545頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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