(読み)ケイ

デジタル大辞泉 「敬」の意味・読み・例文・類語

けい【敬】[漢字項目]

[音]ケイ(漢) キョウ(キャウ)(呉) [訓]うやまう つつしむ
学習漢字]6年
ケイ〉身を引き締めてうやうやしくする。うやまう。「敬意敬遠敬虔けいけん敬語敬服敬礼敬老畏敬失敬崇敬尊敬表敬不敬
〈キョウ〉
うやまう。「敬礼きょうらい
かわいい。「愛敬あいきょう・あいぎょう
[名のり]あき・あつ・いつ・うや・かた・さとし・たか・たかし・とし・のり・はや・ひろ・ひろし・ゆき・よし

けい【敬】

他人をうやまうこと。謹んで物事を行うこと。「は礼の本なり」

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精選版 日本国語大辞典 「敬」の意味・読み・例文・類語

うや‐まい‥まひ【敬】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「うやまう(敬)」の連用形名詞化 ) うやまうこと。尊敬。
    1. [初出の実例]「地蔵白地に敬ひの心をせる人そら不弃給ざる事既如此し」(出典今昔物語集(1120頃か)一七)

けい【敬】

  1. 〘 名詞 〙 物事をおろそかにしないで、つつしんで行なうこと。人をうやまって、行動をつつしむこと。→敬する
    1. [初出の実例]「敬を主宰してかた脇に座すれば、はや御経も終りて」(出典:浮世草子・近代艷隠者(1686)五)
    2. [その他の文献]〔書経‐伊訓〕

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普及版 字通 「敬」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)
13画

[字音] ケイ・キョウ(キャウ)
[字訓] つつしむ・うやまう・いましめる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
(けい)+攴(ぼく)。卜文の字形は、羊頭の人の前に祝の器((さい))をおく形。羌人を犠牲として祈る意であろう。はそれに攴を加えて、これを責め(いまし)める意を示す。の初文。(警)もその意に従う。〔説文〕九上に「肅(つつし)むなり」、また肅(粛)字条三下に「事を持すること振なるなり」とするが、敬はもと神事に関する字である。それで神につかえるときの心意を敬といい、金文に「夙夜(つつし)む」とは先祖を祀る意、また〔詩、大雅、雲漢〕「恭す」、〔詩、大雅、板〕「天の怒りをむ」のように、神明に対して用いる。

[訓義]
1. つつしむ、神事をつつしむ。
2. うやまう、うやうやしい、神事につかえる。
3. いましめる。の初文。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 ツツシム・カシコマル 〔名義抄 ウヤマフ・ツツシム・オガム・ツトム・ハヂ・タカシ・ウヤ 〔字鏡集〕 ツトム・ウヤ・ウヤマフ・ツツシム・タフトシ・ナラフ・タカシ・ヲガム・ハヂ

[声系]
〔説文〕に声として(驚)など五字を収める。は〔説文〕にともに「戒むるなり」とあって、の派生字。は馬の走することをいい、そのことを神異として怪しむ意がある。

[語系]
kiengは同声。みなの声義を承ける。はもと神を驚かせ戒める呪儀をいう。のち神につかえ、神意をおそれることをいう。

[熟語]
敬愛・敬意・敬畏・敬異・敬謁・敬遠・敬荷・敬戒・敬恪・敬忌・敬鬼・敬義・敬恭・敬共・敬享・敬業・敬謹・敬懼・敬遇・敬虔・敬厚・敬止・敬事・敬執・敬謝・敬終・敬従・敬順・敬尚・敬承・敬称・敬上・敬譲・敬信・敬慎・敬心・敬神・敬進・敬人・敬斉・敬羨・敬祖・敬尊・敬待・敬諾・敬憚・敬忠・敬弔・敬長・敬重・敬・敬聴・敬天・敬典・敬田・敬独・敬佩・敬避・敬服・敬復・敬文・敬慕・敬奉・敬命・敬友・敬養・敬覧・敬礼・敬労・敬老
[下接語]
哀敬・愛敬・威敬・畏敬・加敬・起敬・恭敬・欽敬・謹敬・虔敬・謙敬・厳敬・孝敬・至敬・祗敬・失敬・粛敬・尚敬・崇敬・斉敬・荘敬・尊敬・致敬・忠敬・篤敬・拝敬・表敬・不敬・友敬・隆敬・和敬

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改訂新版 世界大百科事典 「敬」の意味・わかりやすい解説

敬 (けい)
jìng

中国,朱子学の修養法。居敬,持敬,主敬などともいう。敬とは本来,天,神々,君,父母などに対する敬虔でうやうやしい気持,ないしは態度をいうが,朱熹(子)はこれを自己の自己に対する心のあり方に転化させ,自己変革の修養法として確立した。このような敬は,朱熹以前にすでに北宋の道学者によって提唱され,次のような定義が与えられている。程頤(ていい)(伊川)の〈主一無適〉(心を一点に集中させどこへも逸(そ)れてゆかぬようにさせること)。同じく程頤の〈整斉厳粛〉(外貌をきちんと整えることによって心を専一にさせる)。謝良佐(上蔡)の〈常惺惺〉(心をたえず目ざめさせておく)。尹和靖(いんなせい)の〈収斂しゆうれん)〉(心の高度な集中)。朱熹はこれらを踏まえ,心の静なるとき(未発(みはつ))も動くとき(已発(いはつ))も敬を持すことによって心の主体性を確立しようとしたのであった。しかし敬だけでは現実世界の筋道が見えてこないので,居敬と窮理道理の追求)の双修を強調した。
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