(読み)ケツ

デジタル大辞泉 「欠」の意味・読み・例文・類語

けつ【欠〔缺〕】[漢字項目]

[音]ケツ(漢) ケン(漢) [訓]かける かく
学習漢字]4年
〈ケツ〉
物の一部がえぐれてかける。「欠唇けっしん欠損
足りない。あく。「欠員欠陥欠如欠点欠乏残欠不可欠
欠けている所。「補欠完全無欠
その場に出て来ない。「欠勤欠場欠席出欠病欠
(「けつ」の代用字)休む。やむ。「間欠
〈ケン〉あくび。「欠伸けんしん
[補説]「欠」は本来の意味。「缺」はの意味で、もと別字。
難読欠伸あくび

けつ【欠/×缺】

欠けていること。足りないこと。「説明の―を補う」「ガス―」
欠席。「―一名
[類語]漏れ落ち抜け欠如欠損欠落欠員遺漏脱漏脱落欠漏疎漏空き間引き不備尻抜け抜かり手抜かり手落ち仕落ち

かん【欠】

《「欠」の字音けん」の音変化》目方分量などが減っていること。また、その減った量。
「目を懸けしに、思ひの外に―のたつこと」〈浮・永代蔵・二〉

けん【欠】[漢字項目]

けつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「欠」の意味・読み・例文・類語

けつ【欠・缺】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「欠」は「缺」の代用字で、本来は音「けん」、あくびの意 )
  2. 足りないこと。かけていること。不足。闕(けつ)
    1. [初出の実例]「以て缺(ケツ)を補ひ」(出典花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二三)
  3. 会合などに出ないこと。欠席。

かん【欠】

  1. 〘 名詞 〙 数量や目方が、前に量ったときより減少すること。〔落葉集(1598)〕
    1. [初出の実例]「密夫のお定三匁かんなしにおこすか」(出典:歌舞伎・傾城天の羽衣(1753)四幕)

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普及版 字通 「欠」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

(旧字)缺
10画

[字音] ケツ・キ
[字訓] かける・かく

[説文解字]

[字形] 形声
正字は缺に作り、夬(けつ)声。夬は(けつ)(切れめのある佩玉)をもつ形。缶は瓦器。その器の欠けることをいう。〔説文〕五下に「破るるなり」とあり、すべてものの欠失・欠落し、不充足の状態にあることをいう。いま欠を缺の常用字とするが、欠(けん)は欠伸(あくび)。その象形の字で、あくびを本義とする字である。

[訓義]
1. かける、かく、うちかく、やぶれる。
2. 不足する、たらぬ、不十分。
3. きず、すきま、欠点。
4. 欠任、空位、空職。

[古辞書の訓]
名義抄〕缺 カク・ホル/欠 タラズ・ナシ・クボム・ヲカス・スクナシ・オトル・サトル・アクビ・アクビス 〔字鏡集〕缺 カク・カケタリ・ワル・ヤブル

[語系]
缺・闕khiuat、決kiuatは声義が近い。夬はをもつ形。は玉環の一部に切れめのある玉。これでものを切り断つ。ゆえに欠断・欠失の意がある。欠の正字缺は夬に従う。厥hiuatは剞(きけつ)、ものを刳(えぐ)り断つ刃器。闕は城門。城壁の一部を欠くところをいう。

[熟語]
欠項・欠位・欠遺・欠軼・欠壊・欠画・欠額・欠陥・欠虧・欠疑・欠欠・欠齧・欠月・欠限・欠口・欠歯・欠甃・欠如・欠少・欠傷・欠脣・欠折・欠絶・欠然・欠喪・欠短・欠典・欠点・欠廃・欠微・欠筆・欠文・欠乏・欠盆・欠本・欠落・欠籬・欠略・欠漏
[下接語]
瑕欠・罅欠・間欠・毀欠・虧欠・齧欠・残欠・守欠・出欠・長欠・破欠・微欠・補欠・無欠


4画

[字音] ケン・ケツ
[字訓] あくび・かける

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 象形
人が口を開いて立つ形。口気を発し、ことばをいい、歌い叫ぶときの形で、そのような行為を示す字に用いる。〔説文〕八下に「口を張りて气悟(もと)るなり。气、儿(じん)(人)上より出づるの形に象る」とするが、口を開いて欠伸(けんしん)する意で、あくびをいう。粤(えつ)俗には今も欠(けんきよ)という語があって、それはあくび・くさめをいう。欠は常用字では缺(けつ)の字に用いる。

[訓義]
1. あくび、くさめ。
2. かける、少ない。
3. かり、滞納。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕欠 タラズ・ナシ・クボム・ヲカス・スクナシ・オトル・アクビス/欠伸 アクビノビス

[部首]
〔説文〕に吹・歟・歇・欲・歌・など六十四字を属し、〔玉〕には百四十七字を属する。みな口気や飲食に関する字である。

[声系]
〔説文〕に欠声として坎など二字を収める。坎は陥の意。坎はまた坎坎という擬声語に用い、鼓の音や伐木の音をいう。

[熟語]
欠負・欠安・欠掛・欠額・欠・欠缺・欠債・欠字・欠事・欠須・欠少・欠伸・欠申・欠身・欠籍・欠折・欠銭・欠爽・欠単・欠通・欠点・欠乏・欠抑
[下接語]
欠・違欠・遺欠・積欠

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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