(読み)ハカリゴト

デジタル大辞泉 「謀」の意味・読み・例文・類語

はかり‐ごと【謀】

《「計り事」の意。古くは「はかりこと」》物事がうまくゆくように、前もって考えた手段・方法・計画。また、計略。もくろみ。「をめぐらす」「を練る」「は密なるを良しとす」
[類語]策略計略作戦謀略陰謀企み画策策動術策権謀謀計奸策詭計深謀遠謀深慮悪だくみわな機略計画もくろみくわだ一計企図企画立案構想設計プランプロジェクト青写真筋書手の内予定もくろむたくらむ策するかくする

ぼう【謀】[漢字項目]

常用漢字] [音]ボウ(漢) (呉) [訓]はかる たばかる はかりごと
ボウ
あれこれと手段を講ずる。計画する。はかりごと。「謀将謀臣遠謀権謀参謀深謀知謀無謀
人知れず悪事をたくらむ。たばかる。よからぬたくらみ。「謀議謀計謀殺謀書謀略陰謀共謀詐謀策謀通謀密謀・首謀者」
〈ム〉たくらむ。「謀反むほん
[名のり]こと・のぶ

む【謀】[漢字項目]

ぼう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「謀」の意味・読み・例文・類語

はかり‐ごと【謀】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「計り事」の意。古くは「はかりこと」 )
  2. 物事がうまくいくように、また、他をだまそうとしてまえもって考えた手段、方法。計略。もくろみ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「『さやうなるはかりことをやせまし』などおもへど」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)
  3. 事を担当する能力。器量
    1. [初出の実例]「人君之量(きみたるハカリコト)(ま)す」(出典:釈日本紀(1274‐1301)一七)
  4. 懸念すること。気がかりなこと。
    1. [初出の実例]「一処に聚へ居(お)かば、恐るらくは、其の変(ハカリコト)を生さむ」(出典:日本書紀(720)敏達天皇一二年是歳(前田本訓))
  5. あれこれと工夫してみること。工面。創意。思いつき。
    1. [初出の実例]「古郷の恋しきままに、せめてのはかりことに、千本の卒都婆を作り」(出典:平家物語(13C前)二)
  6. 生活していくための仕事。
    1. [初出の実例]「かれ狂句を好こと久し。終に生涯のはかりごととなす」(出典:俳諧・笈の小文(1690‐91頃))
  7. 運命。めぐりあわせ。
    1. [初出の実例]「マコトニ フギナ facaricotode(ハカリコトデ)ゴザル」(出典:天草本平家(1592)一)

た‐ばかり【謀】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「た」は接頭語 )
  2. 思いめぐらすこと。工夫。計画。
    1. [初出の実例]「思(おもひ)(タハカリ)の智(さとり)有り」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
    2. 「かぎなければ開くべきたばかりをしつつ、蔵を開けさせ給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  3. はかり欺くこと。たぶらかすこと。はかりごと。計略。謀計。たばかりごと。
    1. [初出の実例]「此女のたばかりにや負けんとおぼしめして」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. はかりごとを相談しあうこと。謀議すること。

ぼう【謀】

  1. 〘 名詞 〙
  2. はかりごと。計略。策謀。
    1. [初出の実例]「白人と化して客の為に謀(ボウ)を説」(出典:浮世草子傾城禁短気(1711)三)
    2. [その他の文献]〔易経‐繋辞下〕
  3. 律で、二人以上の人が画策することをいう。
    1. [初出の実例]「謀、謂、計謀」(出典:律(718)八虐)
    2. [その他の文献]〔唐律‐名例・称衆〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「謀」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] ボウ・ム
[字訓] はかる・はかりごと

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 形声
声符は某(ぼう)。某は謀の初文。木の枝の先に祝詞の器(曰(えつ))を著けて祈り、神意に謀ることをいう。〔説文〕三上に「を慮(おもんぱか)るを謀と曰ふ」とあり、〔左伝、襄四年〕「を咨(はか)るを謀と爲す」の文による。〔国語、魯語下〕に「事を(はか)るを謀と爲す」とあり、もと神に諮謀することをいう。(諮)(し)は咨(し)に従い、咨は神になげき訴え申す意である。謀を策謀・謀略のように用いるのは、本来の字義ではない。

[訓義]
1. はかる、神にはかる、ことを問いはかる。
2. 相談する、相ともにはかる。
3. はかりごと、てだて、くわだて、たくらみ、計画、企画。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕謀 ハカリゴト・ハカル・アザムク・イマシム 〔立〕謀 イマシム・アザムク・ハカリゴト・タバカリ・イソヘニテ

[語系]
謀miumaと声近く、〔爾雅、釈詁〕に「は謀なり」という。は〔書、大禹〕〔書、皋陶(こうよう)〕のように、神話的祖神の教えを経典化したもので、禹は夏、皋陶は姜姓諸国の祖神である。

[熟語]
謀画・謀姦・謀議・謀逆・謀計・謀功・謀詐・謀才・謀殺・謀士・謀諮・謀事・謀首・謀主・謀書・謀将・謀食・謀臣・謀譖・謀人・謀生・謀泄・謀度・謀定・謀図・謀畔・謀反・謀・謀夫・謀・謀・謀略・謀慮
[下接語]
異謀・詒謀・貽謀・陰謀・隠謀・運謀・遠謀・嘉謀・寡謀・奇謀・鬼謀・規謀・義謀・議謀・共謀・軍謀・計謀・献謀・権謀・巧謀・好謀・詐謀・策謀・参謀・諮謀・主謀・首謀・諏謀・術謀・詢謀・深謀・人謀・拙謀・善謀・大謀・知謀・智謀・通謀・定謀・秘謀・謀・密謀・無謀・良謀

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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