賢しら(読み)サカシラ

デジタル大辞泉 「賢しら」の意味・読み・例文・類語

さかし‐ら【賢しら】

[名・形動]《「ら」は接尾語
利口そうに振る舞うこと。物知りぶること。また、そのさま。かしこだて。「賢しらをする」「賢しらに口を出す」
自ら進んですること。また、そのさま。
大君のつかはさなくに―に行きし荒雄あらをら沖に袖ふる」〈・三八六〇〉
よけいな世話を焼くこと。出しゃばること。おせっかい。
「―する親ありて…この女をほかへ追ひやらむとす」〈伊勢・四〇〉
さし出口をきくこと。讒言ざんげん
「この御堂の北南に移り住めば、ある―する者出で来て」〈栄花・玉の台〉
[類語]ずるいこすいこすっからいあくどい狡猾ずる賢い小賢しい賢しい悪賢い老獪海千山千抜け目が無い要領がいい悪い悪辣奸悪邪悪奸佞陰険性悪悪性俗悪凶悪極悪罪悪悪徳背徳悪行悪事悪逆巨悪諸悪暴悪卑劣陋劣ろうれつよこしまさがない腹黒い腹汚い悪賢い人悪い人が悪い人悪口さがない悪たれ悪たれる意地悪い意地悪邪慳突っ慳貪けんけんつんけんとげとげしいつんつん素気無すげなそっけないつれないよそよそしいにべないけんもほろろ冷たい気がないぎすぎすぶっきらぼう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「賢しら」の意味・読み・例文・類語

さかし‐ら【賢ら】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ら」は接尾語 )
  2. [ 一 ] ( 形動 ) 賢人らしくふるまうこと。利口そうにふるまうさま。気丈がるさま。もの知りぶるさま。
    1. [初出の実例]「あなみにく賢良(さかしラ)をすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似る」(出典万葉集(8C後)三・三四四)
    2. 「さかしらにかきまぎらはしつつおぼつかなきこともおほかりけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)朝顔)
  3. [ 二 ] さし出ること。また、そのさま。
    1. ( 形動 ) 自ら進んですること。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「大君の遣(つかは)さなくに情進爾(さかしらニ)行きし荒雄ら沖に袖振る」(出典:万葉集(8C後)一六・三八六〇)
    2. ( 形動 ) でしゃばること。また、そのさま。お節介。
      1. [初出の実例]「さかしらする親ありて」(出典:伊勢物語(10C前)四〇)
      2. 「翁どもにさかしらせさせてしのびやかにとかへすがへすのたまひて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅梅)
    3. ( ━する ) さし出口をきくこと。讒言すること。
      1. [初出の実例]「ちかき隣にこころばへ知れる人、いづるにあはせてかく言へり。藻塩やくけぶりの空にたちぬるはふすべやしつるくゆるおもひに など、隣さかしらするまでふすべかはして」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
      2. 「さかしらする人をば、かくぞする。やすきことは、ひとへに罪重くいひなして、悲しきめを見せしかば、其答に、あぶりころさんずるぞ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一二)

賢しらの派生語

さかしら‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙

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