コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

なべ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


なべ

食物などを煮炊きしたり,焼いたりする際に用いる器具。一般により浅く,口が大きく開き,多くは取手がついていて,火からおろしたり内容物を移動させたりするのに便利になっている。形は普通は円形で,底の平らなものと丸いものとがある。用途によって深さや形状が違い,煮物用鍋,フライパン,中華鍋など種類が多い。材料は金属が大部分で,鉄,ステンレススチール,銅,アルミニウム,アルマイト,ほうろう引きなどであるが,最近は硬質ガラス製も多く使われるようになった。陶製のものは土鍋と呼ばれ,古くから用いられたが,現在でも鍋料理に用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

な‐べ【鍋】

《肴(な)を煮る(へ)の意》
食物を煮る、揚げる、ゆでる、蒸すなどの加熱調理をする器。金属製・陶器製などで、ふた・つる・取っ手などが付き、用途別に多くの種類がある。
鍋料理のこと。鍋物。「をつつく」「牛
[下接語]胡坐(あぐら)鍋揚げ鍋圧力鍋石狩鍋煎(い)り鍋御(お)鍋親子鍋牡蠣(かき)鍋燗(かん)鍋牛(ぎゅう)鍋薬鍋小鍋桜鍋・猪(しし)鍋・慈善鍋社会鍋塩汁(しょっつる)鍋成吉思(ジンギス)汗鍋鋤(すき)鍋楽しみ鍋中華鍋ちり鍋・弦(つる)鍋・手鍋泥鰌(どじょう)鍋土手鍋土鍋・鳥鍋・生臭鍋肉鍋蛤(はま)鍋平鍋牡丹(ぼたん)鍋蒸し鍋焼き鍋柳川(やながわ)鍋・行平(ゆきひら)鍋・寄せ鍋割れ鍋

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

なべ【鍋】

〔「肴」を煮る「瓮」の意〕
食物を煮るのに用いる金属製または陶器製の器。釜かまより浅く、取っ手・つるなどをつける。
「鍋料理」の略。 「 -をつつく」
女中・下女をいう語。おなべ。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

食器・調理器具がわかる辞典の解説

なべ【鍋】

食物を煮る・ゆでる・蒸す・炒めるなどの加熱調理に用いる器。ステンレス・アルミニウム・鉄・銅などの金属製のほか、陶器製・ガラス製などもある。◇「肴(な)(副食物)に用いる瓮(へ)(容器)」の意。
➁「鍋物」「鍋料理」の略。

出典 講談社食器・調理器具がわかる辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


なべ

調理器の一つ。おもに金属製で円形、釜(かま)よりは浅く、把手(とって)・つるなどをつけることが多い。鍋の調理上の使用は、火にかけて直接使用したものから出たものではなく、おそらく、器あるいは石のくぼみに水を入れ、そこに材料を適当に入れたのち、たき火で焼いた小石をほうり込んで沸騰させたものではないかと考えられる。この形態は、いまでも海岸などで、とれたての魚を煮たりする地域料理として、その形をとどめている。この場合、加熱に耐えられるものであれば器はなんであってもよいわけで、かなり広範囲のものが材料として使用できたのではないだろうか。たとえば、木でつくった桶(おけ)のようなものでも、鍋として使用できるからである。
 現在、鍋とは、常識的には熱源にのせて煮たり焼いたり炒めたりする加熱用の器具を称している。しかし、電磁調理器の出現などにより、鍋そのものが発熱することにより、火にかけないで加熱することも調理上行われるようになった。この場合は、鉄を含む鉄鍋が中心となり、これにほうろう鍋などが加わる。また、電子レンジ加熱の場合は、耐熱性であり、金属でなければどんな容器でもよく、加熱が可能である。この場合も、いままでの鍋の概念とは大きく異なる。つまり、中の材料中の水が発熱するのであるから、料理そのものが熱源であることになる。
 一般に、火などの熱源にのせて使用するものを中心に考えれば、鍋は熱伝導率などを考慮する必要がある。また、調理するものの形態によっても、かなり鍋の形が制約される。たとえば、平均に底面全体が沸騰することが望ましい煮魚のようなものは、浅くて底が平らなものがよく、全体が熱に包まれて保温的な役目を果たすものとしては、丸い型のもののほうがよい。また、水を主として使用し加熱する鍋であるか、油のような高温を使用して加熱する鍋であるかによっても、その材質は自然と制約される。[河野友美・大滝 緑]

種類

鍋は各種の分類をすることができる。鍋は加熱中あるいは加熱後に手で持たねばならない。そのとき便利なように手がついている。片側だけのものが片手鍋、両方に持ち手のついているものが両手鍋である。ただし、片手鍋は、片手で持てる範囲の重量のものに限られるから、家庭用の小型のものや炒(いた)め鍋などに限定される。使用法による分類としては、煮るための鍋、蒸し鍋、高熱をかける圧力鍋、特殊な用途に使用するすき焼き鍋、土鍋、フォンデュ鍋、スープストックなど長時間煮るずんどう鍋などがある。また、長時間ことことと汁とともに煮るおでん鍋なども、特殊用途鍋に分類できる。いまは少なくなったが炊飯専用の羽釜(はがま)なども、以前はたいていの家庭にあった。現在では自動炊飯器がとってかわっている。[河野友美・大滝 緑]

形態

深鍋、浅鍋、丸鍋、角鍋、揚げ物鍋などがあり、深鍋ではシチュー鍋、ずんどう鍋、浅鍋では魚を煮る煮魚鍋、鍋焼きうどんの専用型の鍋もあげることができる。[河野友美・大滝 緑]

材質

金属鍋、土鍋、ガラス鍋、石鍋などに分けることができ、もっとも多く使用されているのが金属鍋である。そのうちでもアルミ鍋がもっとも多く、厚みを調理の目的にあわせたものがあり、さらに焦げつき防止上、内側に樹脂加工したものもある。金属では、そのほか電磁調理器の普及で鉄鍋が多くなってきているが、ほうろう鍋は装飾的な要素もあるので、これもよく使用される。このほか銅鍋、ステンレス鍋もよく使用される。土鍋も保温性がよいので、装飾的な要素とともに使用されている。一方、電子レンジに使用するためには、金属では電波を反射し、効率がよくないので、耐熱プラスチック鍋、ガラス鍋なども利用される。ガラスも耐熱のものができ、鍋として使用できるものが多くなった。なお、鍋の熱効率のよしあしよりも、調理の目的にあわせたものを選ぶほうがよいといった考え方が、近年は強くなっている。[河野友美・大滝 緑]

文化史

語源には数説があるが、「な(魚、野菜など副食物)」を調理する「へ(瓶(かめ)の類)」に起源をもつというのが、もっとも普及する説である。平安時代初期の分類体字典『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』には、「堝」の字に「なべ」の訓が与えられ、「鍋」には「かななべ」という訓がつく。さらに「堝」は「瓦(かわら)(土器の意)」であり、「鍋」は鉄製であるという解説がつく。つまり、当時は土器製のなべが一般的であり、金属製(おもに鉄製)のものは、区別するために「かな(鉄)なべ」と称したのである。しかし、しだいに金属製が一般に普及し、現在ではついに土器製をとくに「土鍋(どなべ)」とよぶようになっている。
 江戸時代中期の語源の字典『東雅(とうが)』(新井白石(あらいはくせき)著)には、当時すでに前記のような使い分けが普通になっていることを記す。形状について、江戸時代中期の図説百科事典『和漢三才図会』(寺島良安(りょうあん)編)には、鍋の類は種々あるが、どれも3本の脚をもつ点が共通すると記す。室町時代末の『七十一番職人歌合(うたあわせ)』に収める鍋売りの絵にも、小さな脚をもち、つるをつけた鍋を売る姿が描かれる。
 鍋の産地は、河内(かわち)(大阪)、大和(やまと)(奈良)、薩摩(さつま)(鹿児島)の各国が著名で、『延喜式(えんぎしき)』には、大和・河内の両国から調進することを記す。『庭訓(ていきん)往来』にも、河内国の名産に鍋をあげる。また江戸時代初期の俳書『毛吹草(けふきぐさ)』には、大和国の早鍋(さわなべ)と播磨(はりま)国(兵庫)の野里(のざと)鍋を特産にあげる。[森谷尅久]

民俗

鍋は、古い生活においては、釜とともに炊飯具として重要な道具とされ、種々の民俗を伴っていた。たとえば、いろりの主婦の座は、ナベザ・ナベジロ・ナベドッコなどとよばれ、以前は、夫婦世帯をナベジリヤキといった。また、いまも花嫁の入家式に鍋蓋(なべぶた)を頭にかぶせる地方があり、結婚後初めての正月に、若夫婦が里の親たちと会食することをナベカリという。このほか、出産祝いに近親が会食することをナベワリといい、鍋の湯で産湯(うぶゆ)を使わせ、その鍋をかぶせると、生児がじょうぶに育つと言い伝える地方もある。また、滋賀県筑摩神社の筑摩祭は、女たちが鍋をかぶって、神輿(みこし)の渡御に供奉(ぐぶ)するため、古くから鍋祭として有名である。一方、集落中が葬家で働くとき、各戸のナベドメをする俗信や、鍋鉉(なべつる)は一般に静かに下ろせといわれ、鍋鉉を鳴らすのは貧乏神を招くとされた。また、鍋を掛けたまま、鍋鉉越しに飯や汁を盛ることも忌み嫌われた。[宮本瑞夫]
『朝岡康二著『鍋・釜』(1993・法政大学出版局) ▽日本民具学会編『食生活と民具』(1993・雄山閣出版) ▽かみつけの里博物館編・刊『鍋について考える――土なべの生産・地域性・民俗からさぐる室町・戦国という時代』(2000) ▽鈴鹿市考古博物館編・刊『鍋の一万年――煮炊きの歴史』(2001)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

鍋の関連キーワード兵庫県豊岡市日高町栗栖野神鍋高原スキー場ダッチオーブンホルモン鍋タイしゃぶパエリア鍋鍋を返す保温調理だまこ餅秋味鍋みそ煮圧力釜筑摩祭卓上鍋取っ手タジン牡蠣鍋卵焼き火鍋子鍋返し

今日のキーワード

天網恢恢疎にして漏らさず

《「老子」73章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

鍋の関連情報