(読み)シン

デジタル大辞泉 「震」の意味・読み・例文・類語

しん【震】[漢字項目]

常用漢字] [音]シン(呉)(漢) [訓]ふるう ふるえる
小刻みに揺れ動く。ふるえる。ふるわす。「震撼しんかん震動震天動地地震
地震。「震央震源震災震度激震弱震耐震余震
ふるえおののく。「震駭しんがい震恐
はげしい。「震怒
[名のり]おと・なり・なる・のぶ

しん【震】

易の八卦はっけの一。算木での形に表す。雷にかたどり、陽気がようやく動き出そうとするかたちを示す。季節では春、方位では東に配する。

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精選版 日本国語大辞典 「震」の意味・読み・例文・類語

しん【震】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 易の八卦の一つ。算木でにかたどる。また六十四卦の一つ、。雷を表わし、万物が初めて動き出すさまを示す。方角では卯(う)、すなわち正東に当たる。
    1. [初出の実例]「震の卦を下にし、離の卦を上にす」(出典:浄瑠璃・関八州繋馬(1724)一)
    2. [その他の文献]〔易経‐説卦〕
  3. しんきゅう(震宮)」の略。
    1. [初出の実例]「乗時出震、双瞳八彩、揖譲相推」(出典:性霊集‐四(835頃)奉賀天長皇帝即位表)

ふるいふるひ【震】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふるう(震)」の連用形名詞化 )
  2. ふるえ(震)
    1. [初出の実例]「起の渡り越えければ、濡れ渡りたる萩原の、ふるひの立や一の宮」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)下)
    2. 「顫ひを帯びて怖々(おづおづ)した声で」(出典:病院の窓(1908)〈石川啄木〉)
  3. (おこり)胃痙攣(いけいれん)などのために発作的に起こる震えや痙攣。
    1. [初出の実例]「首引ぬいても今取といはれしを聞れましてから、亭主は震(フルヒ)つかれまして」(出典:浮世草子日本永代蔵(1688)五)

ふるえふるへ【震】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふるえる(震)」の連用形の名詞化 ) ふるえること。特に身体や声が寒さや恐怖、または感動などでふるえること。わななくこと。ふるい
    1. [初出の実例]「後を確(しか)と閉よと云ふ言葉に慄(フル)への気味あり」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴五八)

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普及版 字通 「震」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

[字音] シン
[字訓] かみなり・ふるえる・おどろく

[説文解字]

[字形] 形声
声符は辰(しん)。辰は振動の意がある。〔説文〕十一下に「劈(へきれき)、物を振はすなり」とあり、劈歴は霹靂、電光を発するときの音で、わが国でいう「はたたかみ」にあたる。重文として録する籀文(ちゆうぶん)の字形には、両火を加えており、〔春秋経、僖十五年〕「夷伯のに震す」とは、雷火にうたれることをいう。〔詩、大雅、常武〕に「雷の如く霆(てい)の如し 徐方、震す」と武威にたとえる。卜文に「(こ)の邑に(しん)すること(な)きか」「今夕、(し)(師)はすることきか」とは、軍の震驚することをいう。夜間に、故なく軍衆が震驚することがあったのであろう。辰は蜃。蜃肉を予兆に用いることがあった。

[訓義]
1. かみなり、かみなりがとどろく、電光がはためく。
2. ふるう、ふるえる、はげしくふるう。
3. おどろく、おののく。
4. 勢いがはげしい、いかる、おごる。
5. 地がふるう。
6. 娠と通じ、はらむ。
7. 易卦、東にあたる。

[古辞書の訓]
名義抄〕震 オゴク・ウゴク・オソロシ・フルフ・ヒムカシ・オトス/震動 フルヒウゴク/地震 ナヰ 〔字鏡集〕震 オソロシ・ヒムカシ・ウゴカス・ヲトス・フルフ・ヒガシ・オクル・ヲトメ・ノノシル・カシコマル・ウゴク・ヲカス

[語系]
震・振・娠tjinは同声。蜃を用いて卜し、また魂振りの儀礼をした。娠は身sjienと通じ、身は妊娠の象形字、娠はその形声字とみてよい。

[熟語]
震威震恚震畏・震隠・震震赫・震撼・震汗震悸・震宮・震恐震矜・震響・震驚震懼・震眩震惶・震慙・震・震夙・震粛・震悚・震竦・震懾・震・震慴・震・震震・震声・震怛・震旦・震澹・震霆・震天・震電・震怒・震・震騰・震悼・震盪・震動・震怖・震風・震服・震方・震曜・震雷・震慄・震栗・震裂
[下接語]
威震・畏震・遠震・震・強震・響震・驚震・懼震・軽震・劇震・激震・地震・弱震・声震・勢震・大震・耐震・中震・霆震・天震・怒震・微震・奮震・余震・雷震・烈震

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占い用語集 「震」の解説

八卦の一つ。一番下だけが陽爻のもの。自然界では「雷」、卦徳は「動」、人では「長男」、属性は「木」、身体では「足」、易数は「4」、方角では「東」をあらわす。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【易】より

…左の掌中にある筮竹を右手で8本ずつ除去していき,小指の分も入れて残りが8本以内になったらやめる。残りが1本なら☰乾(けん)(天),2本なら☱兌(だ)(沢),3本なら☲離(火),4本なら☳震(雷),5本なら☴巽(そん)(風),6本なら☵坎(かん)(水),7本なら☶艮(ごん)(山),8本なら☷坤(こん)(地)。これで内卦(六爻(こう)の下半分)が得られた。…

※「震」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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