デジタル大辞泉 「健康」の意味・読み・例文・類語
けん‐こう〔‐カウ〕【健康】
1 異状があるかないかという面からみた、からだの状態。「
2 からだに悪いところがなく、丈夫なこと。また、そのさま。「
3 精神の働きやものの考え方が正常なこと。また、そのさま。健全。「
[派生]けんこうさ[名]
[類語](1)体調・
個人においては、日常生活を送るために必要な最低限度の身体と精神の両面の条件が十分に満たされている状態をさす概念である。身体面においては、重い疾病にかかっている場合は明らかに健康とはいえないし、日常生活において、疾病の治療等のためになんらかの配慮が必要の場合は健康とはいいがたい。しかし反面、明らかに疾患があっても、生活を変えなければならない状態でなければ健康といえるし、身体に障害がある場合でも、恒常性の維持がその状態で保たれていれば健康といえる。精神面においても、身体面と同様に、日常生活を送るうえで特別な配慮を必要とする場合は健康であるとはいえない。しかし、個人がある社会において社会生活を営むうえで、その社会にうまく適応していける場合は健康といえるわけである。
1948年、世界保健機関(WHO)で、「健康とは、肉体的、精神的、そして社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病や虚弱さがないというだけではない」と定義されている。肉体、精神、社会という3要素を、それぞれ個別に切り離して論ずることは事実上困難なことではあるが、肉体、精神、社会というそれぞれの面から健康状態を論議する場合には、世界保健機関の定義にも認められるように、けっして消極的ではなく、積極的な考え方でとらえられなければならない。したがって、病気ではないことがすなわち健康であるという考え方は否定される。さらに、肉体的に異常があったとしても、それを克服していこうとする前向きの心構えがあれば、精神の健康は保たれるといえるわけである。
日本国憲法においても、第25条で、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」がうたわれており、これに沿って、健康維持のために最低限必要な生活水準を保とうとする社会福祉制度も整備されつつあるが、十分とはいいきれないのが現状である。健康に関しての国民の関心は高く、国民所得中に占める医療費の割合は、2004年度(平成16)で8.89%であり、1960年度の3.03%と比べると3倍弱となっている。また、国民全体の健康状態などは、平均寿命(0歳の平均余命)や死亡率などによって推測されることが多い。これらの統計によれば、世界的にみても、日本だけに限ってみても、年々、平均寿命の伸び、死亡率の低下が認められ、健康状態はよくなっているといえるが、集団の健康をとらえる場合の決定的な指標は、まだみいだされていないのが現状である。
[小野三嗣]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…略称はWHO。すべての人々が可能な最高の健康水準に到達することを目的として設置され,国際連合の事業のうち保健衛生の分野を受け持つ。1946年,国際連合経済社会理事会が招集した国際保健会議で〈世界保健機関憲章〉が調印され,48年4月7日の同憲章発効とともに発足した。…
…身体の痛み,不快感,機能の低下や不調和などで日常生活が妨げられる,個人の肉体的異変や行動の異変をいい,そのような状態の不在を健康という。
【病気と健康】
個人の肉体の機能や行動は自然的および社会的環境と密接に結びついているため,肉体や行動の異変についての解釈や,それへの対応は文化によって異なる。…
※「健康」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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