批判(読み)ヒハン

デジタル大辞泉 「批判」の意味・読み・例文・類語

ひ‐はん【批判】

[名](スル)
物事検討を加えて、判定・評価すること。「事の適否批判する」「批判力を養う」
人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること。「周囲批判を受ける」「政府批判する」
哲学で、認識学説基盤を原理的に研究し、その成立する条件などを明らかにすること。
批評用法
[類語](1批評講評評価論評評論評語総評概評短評寸評合評時評時論高評酷評劇評書評選評月旦評コメント/(2論難弁難批難批正酷評冷評痛論否定駁論ばくろん反論反対・不賛成・不同意不承知異議異論異存抵抗造反対立辞退固辞遠慮難色(―する)難ずるあげつらばくする辞する否む難色を示す首を振る首を横に振るかぶりを振る非を打つを唱えるを立てる

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精選版 日本国語大辞典 「批判」の意味・読み・例文・類語

ひ‐はん【批判】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 批評して判断すること。物事を判定・評価すること。
    1. [初出の実例]「古今の真偽を批判すべきなり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)無情説法)
    2. 「御賢慮に叶ひしか。但し直実過りしか、御批判いかにと言上す」(出典:浄瑠璃・一谷嫩軍記(1751)三)
    3. [その他の文献]〔資治通鑑注‐唐紀・玄宗開元二四年〕
  3. 裁判で判定・裁定すること。判決。
    1. [初出の実例]「そのぬし出帯して、奉行所にてひはんをうけ」(出典:大内氏掟書‐六五条・文明一七年(1485)四月二〇日)
  4. 良し悪し、可否について論ずること。あげつらうこと。現在では、ふつう、否定的な意味で用いられる。
    1. [初出の実例]「女郎の㒵をほめ、衣装の有なしをかたり、くしかふがいのひはんをし」(出典:洒落本・魂胆惣勘定(1754)中)
  5. 民間の噂話。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  6. 哲学で、事物や学説の内容を根本的に研究して、その全体の連関、意味、基礎を明らかにすること。マルクス主義用語としては、イデオロギーを論理的に検討するだけではなく、それを生みだす物質的な条件や階級的な基礎を暴露すること。〔教育・心理・論理術語詳解(1885)〕

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普及版 字通 「批判」の読み・字形・画数・意味

【批判】ひはん

是非の論。〔揮麈後録、七〕(徐)師川、才を恃(たの)み、世に傲り、肯て人下に居らず。嘗(かつ)て中(陳(ちんせい))のするを取りて之れを攻む。~師川曰く、~の批(い)ふに足らずと雖も、然れどもの改抹する、未だ當らざるは奈何(いかん)と。

字通「批」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「批判」の意味・わかりやすい解説

批判
ひはん
criticism 英語
critique フランス語
Kritik ドイツ語

通常の用法においては、「批評」と同じく、人間の行為あるいは作品の価値を判定することをいう。西欧語では、「批判」も「批評」も、等しくギリシア語の「分割する」を意味する語クリネインkrineinに由来する語によって表されるが、日本語の場合には、「批判」は哲学ないし文献学上の、「批評」は主として文学・芸術上の用語として使い分けられるのが一般的である。「批判」の語に、哲学用語としての重要なまた明確な意味を与えたのはカントであった。彼は人間の作品の知的、美的また道徳的な価値を客観的に判定するというこの語の在来の一般的用法を受け継ぎながらも、同時にそれをいわば一段上のより普遍的なレベルにまであげて、この語に人間の理性能力そのものの批判という、新たな意味を与えた。これは近代文学解釈学において、批評が核心的位置を占めるようになることに対応するプロセスであった。

[坂部 恵]

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世界大百科事典(旧版)内の批判の言及

【我等】より

…丸山幹治,伊豆富人,大庭柯公らが参加した。《我等》は長谷川のユニークな社会,新聞論,大山の政治批判,また初期マルクスの翻訳紹介なども行い,20年代の日本の思想・文化に大きな足跡を残した。30年3月に一時終刊(通巻128号),嘉治隆一,新明正道らの《社会思想》(1922年4月~29年12月)と合併する形で,同年5月《批判》(月刊)と改題して再出発した。…

【朝鮮之光】より

…32年2月通巻100号で廃刊。《批判》(1931‐40)とともに,植民地下の左翼的な合法雑誌の代表とされる。【水野 直樹】。…

※「批判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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