数多(読み)アマタ

  • さまね・し
  • すうた
  • すた
  • 数=多

デジタル大辞泉の解説

[副]
数量の多いさま。たくさん。多く。名詞的にも用いる。「数多の判例を集積する」「引く手数多
程度のはなはだしいさま。非常に。はなはだしく。
「たぶてにも投げ越しつべき天の川隔てればかも―すべなき」〈・一五二二〉
数の多いこと。たくさん。あまた。多数。「数多の経験」
すうた(数多)」に同じ。
「―ノ人」〈日葡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

古くはすた
数の多いこと。あまた。多数。 -の人々が集まる
多数。すうた。 ある木の下に猿ども-並み居て/仮名草子・伊曽保物語

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘副〙 (名詞的に用いられる場合もある)
① (主として形容詞にかかる) 程度のはなはだしいさま。非常に。大変。
※万葉(8C後)一二・三一八四「草枕旅行く君を人目多み袖振らずして安万田(アマた)悔しも」
② 数量の多いさま。数多く。たくさん。
(イ) 単独で連用修飾語となる。
※書紀(720)允恭八年二月・歌謡「ささらがた 錦の紐を 解きさけて、阿麻哆(アマタ)は寝ずに ただ一夜のみ」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「女御更衣あまたさぶらひ給ひける中に」
(ロ) 直接または「の」を介して、下の体言を修飾する。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「あまたの人のよろこびをなさむに」
※天草本伊曾保(1593)ネテナボ帝王イソポに御不審の条々「Greçia ノ クニカラ amatano(アマタノ) ザウヤクヲ ヒキヨセタガ」
(ハ) 多くのもの、人などの意で、格助詞「が」「に」等を伴う、名詞的用法。
※古今(905‐914)夏・一三六「あはれてふことをあまたにやらじとや春におくれてひとり咲くらん〈紀利貞〉」
※史記抄(1477)八「諸呂とて、あまたが一同なれども、其中で呂産が首(かしら)ぢゃほどに」
[語誌](1)「あまる」「あます」などの語幹と同じ語源をもつ「あま」に接尾語「た」の付いたものという。原義は、数量、程度などが普通の状態以上であるさまを表わすものと考えられる。奈良時代(特に「万葉集」)では、数量、程度ともに表わしていたが、平安朝以降はほとんど数量を表わす例に限られてくる。「あまた」の表わす数量はきまらないが、「源氏」「平家」「徒然草」などの例は、多くは人数で、一、二に止まらないという程度の複数を意味し、「今昔‐一」の「数(あまた)の倉に多くの財を積めり」、同じく「今昔‐一」の「衆多(あまた)の軍(いくさ)雲の如く集まりぬ」などの例では大きな数を表わしている。
(2)「観智院本名義抄」では、「衆・数」を「あまた」と訓むが、漢語として、「衆」はかなりの数の多さを、「数」は若干の意味を持つ。現代における慣用的表記の「数多」は古く奈良時代からある。「多」は「数」に添えて、「た」の音を表わしたもので、「あまた」の「た」の部分に「多い」という意味があるわけではない。近世の読本類には「許多」、近代の作品には「夥」「夥多」を当てた例が多い。
〘形ク〙 (「さ」は接頭語) 数が多い。度数が多い。あまねし。まねし。
※万葉(8C後)一・八二「うらさぶる情佐麻禰之(サマネシ)ひさかたの天のしぐれの流れあふ見れば」
〘名〙 (形動) 数の多いこと。また、そのさま。多数。あまた。たくさん。古くは「すた」。〔音訓新聞字引(1876)〕
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉四月暦「数多(スウタ)の衆僧を率ゐての上殿の行列で有って」
※高野本平家(13C前)二「近江国三ケの庄に下向して、数多(スタ)の勢を率し」

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