精選版 日本国語大辞典 「尊・命」の意味・読み・例文・類語
み‐こと【尊・命】
(「み」は接頭語。「御事」の意)
[1] 〘名〙
① 神や天皇などの高貴な人に対し、尊敬の意を表わして添える語。「…のみこと」の形で用いる。
(イ) 普通名詞に添える場合。
※古事記(712)上・歌謡「八千矛の 神の美許登(ミコト)は」
(ロ) 固有名詞に添えて接尾語的に用いる場合。
※書紀(720)神代上「状葦牙の如し。便ち神と化為る。国常立尊(くにのとこたちのみこと)と号す。至って貴きを尊と曰ふ。自余(これよりあまり)を命と曰ふ。並に美挙等(ミコト)と訓(い)ふ也」
※建多胡郡辨官符碑(上野多野郡吉井村字池所在)‐和銅四年(711)三月九日「左太臣正二位石上尊右太臣正二位藤原尊」
③ 親愛の情をこめて相手をさす語。
※古事記(712)上・歌謡「若草の 妻の美許登(ミコト) 事の語り言も こをば」
[2] 〘代名〙 (平安後期には、人を軽く見たり、からかったりした気持で用いる)
① 対称。おまえさん。貴様。あんた。
② 他称。お方。ひと。おひと。
※今昔(1120頃か)二八「この尊は本より此く艷(えもいは)ぬ物狂とは知たれども」
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