精選版 日本国語大辞典 「葵」の意味・読み・例文・類語
あおい あふひ【葵】
[1] 〘名〙
※後撰(951‐953頃)夏・一六一「ゆきかへるやそうぢ人の玉かづらかけてぞたのむ葵てふ名を〈よみ人しらず〉」
⑤ 植物「かんあおい(寒葵)」の俗称。
⑥ 植物「てんじくあおい(天竺葵)」の俗称。
⑦ 襲(かさね)の色目の名。表は薄青、裏は薄紫。陰暦四月に着用する。〔桃花蘂葉(1480)〕
⑧ 葵の葉を図案化した模様。
※能因本枕(10C終)三〇二「もんは、あふひ、かたばみ」
⑨ (「青いもの」の略か) 蕎麦(そば)をいう女房詞。
※大上臈御名之事(16C前か)「そば、あをい」
⑩ 紋所の名。
(イ) フタバアオイの葉を図案化したもの。賀茂神社の神紋に由来し、種々変形がある。
※武徳大成記(1686)二四(古事類苑・姓名七)「家伝の葵の紋を用て、某に相応也と奏せらる」
(ロ) 徳川家の紋所の葵巴(あおいどもえ)。転じて江戸幕府。
⑪ 「あおいまつり(葵祭)」の略。
⑫ 金銭をいう、遊女のことば。
※随筆・武野俗談(1757)六「葵とは、ぜにの事」
[2]
[一] 「源氏物語」の第九帖の名。光源氏二二歳から二三歳まで。源氏の正妻葵上(あおいのうえ)は、嫉妬に狂う源氏の愛人六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の生霊(いきりょう)にとりつかれて、夕霧を産んだのち命を落とす。謡曲、浄瑠璃の題材とされる。
[二] 静岡市の行政区の一つ。静岡城・県庁のある中心市街地から大井川の源流域までを占める。平成一七年(二〇〇五)成立。
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