(読み)アオイ

デジタル大辞泉 「葵」の意味・読み・例文・類語

あおい〔あふひ〕【×葵】



アオイ科フヨウ属・トロロアオイ属などに含まれる植物総称タチアオイモミジアオイトロロアオイゼニアオイフユアオイなど。 夏》
アオイ科の双子葉植物の総称。温帯から熱帯にかけて分布し、230属4300種ほどある。フヨウムクゲなど。
フユアオイ別名
ウマノスズクサ科フタバアオイのこと。
紋所の名。フタバアオイを図案化したもので、種類が多い。
《徳川氏の紋が「葵巴あおいどもえ」であったところから》江戸幕府の象徴。
かさねの色目の名。表は薄青、裏は薄紫。陰暦4月に用いた。
蕎麦そばをいう女房詞
源氏物語第9巻の巻名。光源氏21歳から22歳。葵の上六条御息所みやすどころとの車争い夕霧の誕生、御息所の生き霊にとりつかれた葵の上の急逝源氏紫の上との結婚を描く。

き【葵】[漢字項目]

人名用漢字] [音]キ(漢) [訓]あおい
〈キ〉植物の名。アオイ。「紅蜀葵こうしょっき
〈あおい〉「立葵天竺葵てんじくあおい二葉葵ふたばあおい
[名のり]まもる
[難読]向日葵ひまわり蒲葵びろう山葵わさび

あおい〔あふひ〕【葵】

静岡市の区名。駿府公園(駿府城周辺の官公庁街から、南アルプス大井川源流部まで、同市の大半を占める。

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精選版 日本国語大辞典 「葵」の意味・読み・例文・類語

あおいあふひ【葵】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. アオイ科の植物、タチアオイ、フユアオイ、ゼニアオイ、トロロアオイ、モミジアオイなどの俗称。
    2. ふゆあおい(冬葵)」の古名。平安初期に、種子を食用、薬用とするために栽培した。
      1. [初出の実例]「梨棗(なしなつめ)(きみ)に粟嗣ぎ延(は)ふ田葛(くず)の後も逢はむと葵(あふひ)花咲く」(出典:万葉集(8C後)一六・三八三四)
    3. 植物「ふたばあおい(二葉葵)」の俗称。平安時代から賀茂神社の葵祭の神事に用いられ、また、徳川家の家紋ともなっている。
      1. [初出の実例]「ゆきかへるやそうぢ人の玉かづらかけてぞたのむ葵てふ名を〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)夏・一六一)
    4. 植物「たちあおい(立葵)」の俗称。近世から盛んに栽培され、現在「あおい」といえば、観賞用のこの植物をさす。《 季語・夏 》〔文明本節用集(室町中)〕
    5. 植物「かんあおい(寒葵)」の俗称。
    6. 植物「てんじくあおい(天竺葵)」の俗称。
    7. (かさね)の色目の名。表は薄青、裏は薄紫。陰暦四月に着用する。〔桃花蘂葉(1480)〕
    8. 葵の葉を図案化した模様。
      1. [初出の実例]「もんは、あふひ、かたばみ」(出典:能因本枕(10C終)三〇二)
    9. ( 「青いもの」の略か ) 蕎麦(そば)をいう女房詞。
      1. [初出の実例]「そば、あをい」(出典:大上臈御名之事(16C前か))
    10. 紋所の名。
      1. (イ) フタバアオイの葉を図案化したもの。賀茂神社の神紋に由来し、種々変形がある。
        1. 葵巴@葵花桐@立葵菱@本多立葵
          葵巴@葵花桐@立葵菱@本多立葵
        2. [初出の実例]「家伝の葵の紋を用て、某に相応也と奏せらる」(出典:武徳大成記(1686)二四(古事類苑・姓名七))
      2. (ロ) 徳川家の紋所の葵巴(あおいどもえ)。転じて江戸幕府。
    11. あおいまつり(葵祭)」の略。
      1. [初出の実例]「春の御儀式、節会等の事すめば、早葵の御神事の事に付て、人の尋来らんほどの事は、例を引て返答せんと思て」(出典:随筆・槐記‐享保九年(1724)九月七日)
    12. 金銭をいう、遊女のことば。
      1. [初出の実例]「葵とは、ぜにの事」(出典:随筆・武野俗談(1757)六)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 「源氏物語」の第九帖の名。光源氏二二歳から二三歳まで。源氏の正妻葵上(あおいのうえ)は、嫉妬に狂う源氏の愛人六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の生霊(いきりょう)にとりつかれて、夕霧を産んだのち命を落とす。謡曲、浄瑠璃の題材とされる。
    2. [ 二 ] 静岡市の行政区の一つ。静岡城・県庁のある中心市街地から大井川の源流域までを占める。平成一七年(二〇〇五)成立。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「葵」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 12画

(旧字)
13画

[字音]
[字訓] あおい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は癸(き)。〔説文〕一下に「なり」とあり、〔詩、風、七月〕に「七(まめ)とを亨(に)る」とみえ、食用に供した。〔詩、小雅、采〕に「樂しき君子 天子之れを(はか)る」とあって、揆と通用する。

[訓義]
1. あおい。
2. 揆と通じ、はかる。

[古辞書の訓]
和名抄 阿布比(あふひ) 〔名義抄葵 アフヒ・ワサヒ/山 ワサビ イヘニレ/ コナスビ/地 ニハクサ・アキクサ/防 ヤマナスビ

[熟語]
葵芋・葵花・葵・葵菫・葵傾・葵菜・葵・葵・葵心・葵扇・葵笠
[下接語]
園葵・葵・葵・傾葵・山葵・紫葵・終葵・蜀葵・水葵・銭葵・沢葵・天葵・冬葵・鳧葵・碧葵・葵・竜葵・緑葵・霊葵

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

百科事典マイペディア 「葵」の意味・わかりやすい解説

葵[区]【あおい】

静岡県静岡市北部の区。JR静岡駅北口から,大井川上流部の南アルプス白根三山に至る。2005年4月静岡市が政令指定都市となり,駿河区,清水区とともに設置。JR東海道新幹線,東海道本線静岡鉄道,新東名高速道路,国道1号線が通じる。1073.76km2。25万5375人(2010)。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「葵」の解説

葵 (アオイ)

植物。ウマノスズクサ科の多年草,園芸植物,薬用植物。フタバアオイの別称

葵 (アオイ・マキグサ)

植物。アオイ科の越年草,園芸植物,薬用植物。タチアオイの別称

葵 (アオイ)

植物。アオイ科の多年草,薬用植物。フユアオイの別称

葵 (アオイ)

植物。銭葵の別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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