(読み)ホウ

デジタル大辞泉 「宝」の意味・読み・例文・類語

ほう【宝〔寶〕】[漢字項目]

[音]ホウ(呉)(漢) [訓]たから
学習漢字]6年
ホウ
貴重な物。たから。「宝玉宝庫宝石宝物家宝国宝財宝三宝至宝七宝珍宝通宝秘宝仏宝名宝
宝物として大切にする。尊い。「宝鑑宝剣宝典重宝ちょうほう
天子に関する物事を尊んでいう語。「宝算宝祚ほうそ
〈たから(だから)〉「宝船宝物子宝
[補説]「寳」は異体字。
[名のり]かね・たか・たかし・たけ・とみ・とも・みち・よし
難読擬宝珠ぎぼし

たから【宝/財/貨】

世の中に数少なく、特に貴重なもの。宝物。財宝。「家に伝わる―」
財産金銭
さかって来る―の悖って出るに任せ」〈露伴・寝耳鉄砲〉
ほかのものと取り替えることのできない、特に大切なもの。また、かけがえのない人。「国の―ともいうべき人材」「子―」→御宝おたから
[類語]宝物財宝財物財貨家宝至宝秘宝国宝

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精選版 日本国語大辞典 「宝」の意味・読み・例文・類語

たから【宝・財・貨】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 金銀・珠玉などの貴重な品。大切な財物。宝物。
    1. [初出の実例]「銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる多可良(タカラ)子にしかめやも」(出典:万葉集(8C後)五・八〇三)
  3. かね。金銭。財貨。おたから。
    1. [初出の実例]「たからゆたかに家ひろき人」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. 穀物を尊んでいう語。
    1. [初出の実例]「農時に農夫(つくりひと)の終日(ひねもす)に作りて一日の価(タカラ)を獲(え)」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
  5. 大切に扱うべきもの。主君、子どもなどにいう。
    1. [初出の実例]「それぞいはゆるこのおきながたからの君貞信公におはします」(出典:大鏡(12C前)二)

ほう【宝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. たからもの。また、おかね。金銀。
    1. [初出の実例]「兔角宝(ホウ)をまきらす豪客(だいじん)がすくなきゆへなり」(出典:洒落本・浪花花街今今八卦(1784))
    2. [その他の文献]〔国語‐魯語上〕
  3. ( 形動 ) 金持。富豪。また、裕福なさま。
    1. [初出の実例]「宝(ホウ)なお客と悦びいさんで」(出典:浮世草子・世間旦那気質(1773)三)
  4. ほうじつ(保日)淮南子‐天文訓〕

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普及版 字通 「宝」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)寶
20画

(異体字)
10画

[字音] ホウ(ハウ)
[字訓] たから

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
旧字は寶に作り、缶(ふ)声。宀(べん)は所。所に玉や貝を供薦する形。〔説文〕七下に「珍なり」と訓する。彝器の銘文に「寶彝(はうそんい)を作る」というように、祭器をいう。のち財宝、また尊称として宝位・宝祚(ほうそ)のように用いる。字はまたに作り、〔説文〕上文の字条に〔書、顧命〕の「陳赤刀」の文を引く。今本は「陳寶」に作る。保・寶は通用、金文の〔(ほうせいき)〕に「寶」を「保」に作る。またを「亀(ほうき)」のように用い、も通用の字である。

[訓義]
1. たから、たからもの。
2. 神聖なもの。神・天子のことに用いる。宝命、宝駕。
3. 大切なもの、重要なこと。
4. 保・と通用する。

[古辞書の訓]
名義抄〕寶 タカラ・タフトブ・オコル・ミチ・シルシ

[語系]
寶・保puは同声。金文において寶に保を用いる例がある。缶piuを寶の声符とするのは、かつて陶製の祭器を用いたなごりであろう。金文に寶をとしるす例がある。(福)・富piukも声義に関係のある語と思われる。

[熟語]
宝愛・宝衣・宝位・宝意・宝宇・宝運・宝貨・宝駕・宝鑑・宝函・宝冠・宝玩・宝器・宝亀・宝弓・宝・宝鏡・宝業・宝訓・宝髻・宝・宝訣・宝剣・宝眷・宝庫・宝匣・宝座・宝釵・宝財・宝冊・宝札・宝刹・宝盞・宝算・宝笥・宝璽・宝珠・宝綬・宝書・宝章・宝勝・宝粧・宝鈔・宝仗・宝色・宝刃・宝瑞・宝性・宝石・宝蹟・宝籍・宝釧・宝像・宝蔵・宝鐸・宝地・宝重・宝珍・宝鼎・宝典・宝篆・宝鈿・宝図・宝刀・宝灯・宝塔・宝纛・宝・宝貝・宝煤・宝舶・宝璞・宝飯・宝幡・宝秘・宝府・宝符・宝幤・宝璧・宝墨・宝命・宝物・宝用・宝輦・宝鏤・宝・宝
[下接語]
愛宝・異宝・遺宝・佳宝・家宝・貨宝・懐宝・宝・奇宝・貴宝・器宝・拱宝・玉宝・元宝・洪宝・国宝・財宝・三宝・至宝・七宝・什宝・重宝・神宝・蔵宝・大宝・珍宝・陳宝・宝・通宝・天宝・典宝・万宝・秘宝・符宝・墨宝・名宝・良宝・霊宝

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「宝」の意味・わかりやすい解説

宝 (ほう)

朝鮮新羅高麗・李朝初期に存在した公的な高利貸機関。寺院,学校,地方官などが主体となって設置した財団で,穀物,銭,布を元本として長期貸付を行い,利息を各種公共事業の資金に充当した。文献上の初見は613年(新羅の真平王35)に設置された〈占察宝〉だが,最も盛行したのは高麗時代であり,仏教の影響も強い。寺院維持用の〈寺宝〉,八関会(はちかんえ)用の〈八関宝〉,学校維持用の〈学宝〉,救荒用の〈常平宝〉,老人扶養用の〈泉宝〉などがあり,利殖のみを目的に設置したものはないという。15世紀以降,文献からは姿を消すが,機能の一部は李朝後期に発達する民間の〈契〉が継受した。

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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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