ゆくりなし(読み)ユクリナシ

デジタル大辞泉 「ゆくりなし」の意味・読み・例文・類語

ゆくり‐な・し

[形ク]《「なし」は意味を強める接尾語
予想もしない。不意である。思いがけない。
「一年振の―・き邂逅めぐりあいに」〈魯庵社会百面相
軽はずみである。不注意である。
「あたら思ひやり深うものし給ふ人の、―・くかうやうなる事」〈賢木
[類語]もし仮にたとえもしかよしんばたといよしやもしも万一万一ばんいち万が一万万一もしやもしかしたらもしかするとひょっとするとひょっとしたらひょっとしてあるいはもしかしてどうかすると下手すると一つ間違えばことによるとあわよくばまかり間違うよもやまさか万万ばんばん夢かうつつ図らずもはしなくはしなくも思いがけず思いも寄らない思いのほか心外突然唐突案に相違する意表を突く意表予想外意想外ゆくりなくまぐれひょんなひょっと我にもなく期せずして悪くすると事と次第による事によるとともするとややもすれば何かにつけ何かと言えば折に触れてもしくははたまたないし偶然たまさか時としてかも知れない思わず思わず知らず我知らず知らず知らず折もあろうに折悪しく慮外存外望外

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ゆくりなし」の意味・読み・例文・類語

ゆくり‐な・し

〘形ク〙 (「なし」は、接尾語)
① 予想もしないようなさまである。にわかである。不意である。突然である。思いがけない。ゆくりもなし。
土左(935頃)承平五年二月五日「ゆくりなくかぜふきて、こげどもこげども、しりへしぞきにしぞきて」
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋「縁(ユ)くりなくも〈略〉出会仕候」
思慮をめぐらさずに事をなすさまである。かるはずみである。不注意である。ゆくりもなし。
源氏(1001‐14頃)賢木「あたら思ひやり深うものし給ふ人のゆくりなくかうやうなる事」
ゆくりな‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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