万万(読み)バンバン

デジタル大辞泉 「万万」の意味・読み・例文・類語

ばん‐ばん【万万】

[形動][文][ナリ]
そうしたい気持ちは十分にあるが、そうできない事情があるさま。やまやま。「お目にかかりたいのは万万ですが」
程度がはなはだしいさま。
「君の友情恋情の深きに勝る―なるを知れり」〈織田訳・花柳春話
[副]
十分に。よくよく。「万万承知している」
(あとに打消しの語を伴って)万が一にも。決して。「失敗することは万万あるまい」
[類語]1やまやま望むらくは望ましい願わしい思わしい良い好ましい好もしい申し分ない程良い好個絶好最適1十分存分に思うさま良くみっちりみっしりとく/(2まさかよもや万一たとえたといもし仮にもしかよしんばよしやもしも万一ばんいち万が一万万一もしやもしかしたらもしかするとひょっとするとひょっとしたらひょっとしてあるいはもしかしてどうかすると下手すると一つ間違えばことによるとあわよくばまかり間違う夢かうつつ図らずもはしなくはしなくも思いがけず思いも寄らない思いのほか心外突然唐突案に相違する意表を突く意表予想外意想外ゆくりなくまぐれひょんなひょっとゆくりなし我にもなく期せずして悪くすると事と次第による事によるとともするとややもすれば何かにつけ何かと言えば折に触れてもしくははたまたないし偶然たまさか時としてかも知れない思わず思わず知らず我知らず知らず知らず折もあろうに折悪しく慮外存外望外

まん‐まん【万万】

[副]
種々さまざま。いろいろ。
「たとひ―の事あるとも」〈幸若和田酒盛
すべて。いっさい。
「―千世めが悪いになされませ」〈浄・宵庚申

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「万万」の意味・読み・例文・類語

ばん‐ばん【万万】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 )
    1. さまざまに数や量が多いこと。十分にその状態であるさま。
      1. [初出の実例]「波濤万万、雲山幾千也」(出典:性霊集‐二(835頃)大唐青龍寺故三朝国師碑)
      2. [その他の文献]〔漢書‐溝洫志〕
    2. 程度がはるかにまさること。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「其後久不面拝、積欝万万候」(出典醍醐寺文書‐(応永三一年)(1424)大僧正増詮書状)
      2. [その他の文献]〔漢書‐外戚伝〕
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 否定表現を伴って ) 判断に間違いのないことを強めていう。万が一にも。全く。決して。
    1. [初出の実例]「大火之跡いまだ万々御心も静なるまじく候」(出典:牧童宛芭蕉書簡‐元祿三年(1690)七月一七日)
    2. [その他の文献]〔韓愈‐与孟尚書書〕

まん‐まん【万万】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 形動 ) 種々さまざまであること。また、そのさま。ばんばん。
      1. [初出の実例]「いかに虎ごせ、たとひまむまむの事有とも」(出典:幸若・和田宴(室町末‐近世初))
    2. すべての事。いっさいの事。
      1. [初出の実例]「まんまん千世めが悪いになされませ」(出典:浄瑠璃・心中宵庚申(1722)下)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙ばんばん(万万)

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普及版 字通 「万万」の読み・字形・画数・意味

【万万】ばんばん

非常に多い数。また、はるかにすぐれる。〔漢書、外戚下、孝成趙皇后伝〕(耿育の上)夫(そ)れ大を論じては、俗に拘せず、大功を立つるには、衆に合せず。此れ乃ち孝の至思、衆臣にたる以(ゆゑん)なり。

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