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サロン Salon

翻訳|Salon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

サロン
Salon

フランス語で「客間」の意。
(1) 特にフランスで 17~18世紀に流行した,教養ある上流婦人の客間で催された社交的集会。フランスでは中世以来,サロンが政治や文学で重要な役割を果たしているが,イタリアの影響下にサロン文学が開花するのは 17世紀初め,ランブイエ侯爵夫人のサロンにおいてである。その後これをまねた数多くのサロンが起こり,アカデミー・フランセーズへと発展するものも現れた。サロンでは詩歌や恋愛や道徳が話題となり,文学作品もまずサロンで披露された。17世紀のサロンは当時の文学に優雅さや社交性を与えたが,行き過ぎて虚飾に傾いたことも否めない(→プレシオジテ)。18世紀になると思想的傾向を強く示すようになり,ベルナール・ル・ボビエ・ド・フォントネルボルテール,ドゥニ・ディドロなどが政治,宗教,科学を好んで論じ,啓蒙主義運動(→啓蒙思想)の温床となった。19世紀以後,文学に与える影響は小さくなったが,依然としてフランス文学の一大背景となっている。
(2) 美術分野で 17~18世紀の美術品の披露,鑑賞の場をさし,のち定期的に開催される展覧会をいうようになった。1667年にジャン=バティスト・コルベールの企画によって,パレ・ロワイヤルの中庭で一定期間,生存作家の作品を展観したのがこの意味でのサロンの始まりであり,最初のサロン・カタログは 1673年に出された。ルイ15世治下,1725~73年の間に,ルーブル宮殿のサロン・カレで 25回の展覧会を開催。この展覧会は,アカデミーに所属する作家のみが出品できる官展であった。18世紀後半には,1764年にドイツのライプチヒ,1768年にイギリスのロンドンなどヨーロッパ各地でサロンが開かれた。19世紀になるとほぼ毎年開催され,美術評論もサロン評という形式をとることが多かった。1881年に,ジュール・フェリーがサロンの審査に役所が介入することを廃止し,サロン出品者から選ばれた 90人の審査委員が作品審査をすることになり,サロン・デ・ザルチスト・フランセと称した(→アンデパンダン展)。今日パリで開催されるおもなサロンに,春季はサロン・デ・チュイルリー(1923創立),サロン・ド・メ(1945創立)など,秋季にはサロン・ドートンヌ(1903創立)などがある。(→フランス美術

サロン
saron

インドネシアのガムラン合奏音楽で主要旋律用に使われる楽器。木製の台の上に並べた板状金属,木,あるいは竹を1本の (つち) で打って鳴らす仕組みで,音域は1オクターブ。金属 (青銅) 製が最も一般的。ジャワ島のサロンには大中小3種あり,それぞれサロン・ドムン,サロン・バルン,サロン・リチェと呼ばれる。もっとも狭義のサロンはこのうちの中型のものである。演奏の困難さは右手の打奏を左手が音が変るたびに追いかけて素手で音板をはさんで押えて消音することにある。大中小が同時に奏されるとオクターブ重複になる。バリ島にはサロンはなく,サロンに似たガンサがある。

サロン
sarong

東南アジアのマレー半島からインドネシア諸島に及ぶ地域の民族服で,一種の腰布。幅約 1m,長さ2~4mの矩形の1枚の布を,脇にひだを寄せ,スカート状にウエストに巻きつけて着用する。カイン kainと呼ばれる下ばきが発達して,外衣になったものとされている。用布は多彩な織,染模様のある上質綿布。また日本では,サロン用として東南アジアに輸出する厚地の平織綿布を単にサロンと呼ぶ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

サロン(〈フランス〉salon)

洋風の客間。応接室。また、ホテル・客船などの談話室。サルーン。
ヨーロッパ、特にフランスで、上流階級の婦人が、その邸宅の客間で開いた社交的な集まり。
美術の展覧会。
美容や飲食などの接客を主とする業種・店舗につける語。「ビューティーサロン

サロン(〈インドネシア〉saron)

インドネシアの打楽器。木製の台の上に青銅の板を木琴状に並べたもので、槌(つち)でたたいて奏する。音域により2~4種あり、ガムランの中で主旋律を受け持つ。

サロン(〈マレー〉sarong)

インドネシア・マレーシア・南インドなどで、男女ともに用いる幅広い筒状の腰衣。余った部分をひだに整えて腰にはさんで着用する。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

サロン【salon】


[客間としてのサロン]
 フランスの近世住宅の中心をなす客間をいう。オテル形式の住宅では前庭(中庭)に設けられた入口を入り,前室を経て到達する。ほとんどの場合サロンは庭園に面しており,庭園に向かって張り出している場合も多い。家具調度も接客用に吟味されたものが用いられ,部屋の形は四角だけでなく,円形,多角形楕円形などをなす場合がある。近世の住宅が居ごこちのよさを追求したところに生じた形式ということができ,中世住宅の大きな広間と現代住宅の応接間の中間の形式であり,時代的にも両者の中間期の産物である。

サロン【sarong】

東南アジアのマレー半島からインドネシアにかけて男女に用いられる腰巻衣の一種。語源はマレー語で袋を意味するsārungに由来。長さ2~4m,幅1mの布の両端を縫い合わせ筒状にして体を入れ,あまった布をひだをとったり折り返したりして腰にはさみこんで着用する。同種のものをミャンマーではロンジーlongyi,タイではパーシンphâ sînなどと呼ぶが,素材,文様,着装法など国や民族で異なり,それぞれに特色がある。

サロン【saron[ジヤワ]】

ジャワのガムランの中で用いられる青銅製の旋律打楽器。サルンsarunとも呼ばれる。数枚の肉厚・長方形の青銅板の両端にそれぞれ孔をあけ,共鳴体である箱形の木の台に取り付けた支柱に差し込む。木または水牛の角でできた桴(ばち)で青銅板をたたく。よく通る力強い音色をもつ。中部ジャワの大編成のガムランでは,1オクターブずつ音高の違う大中小のサロンが用いられ,低音のものは定旋律を,高音のものは細かい修飾旋律を奏する。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

サロン【salon】

客間。応接室。
(フランスで)上流婦人がその邸で催す社交的な集まり。
(ホテル・客船などの)談話室。大広間。サルーン。
西洋風の酒場・喫茶店・美容院などの店。
〔ルーブル宮のサロンでフランス-アカデミーの展覧会が開かれたことから〕 現存作家による公式の美術展覧会。

サロン【saron】

インドネシアの打楽器。青銅板を鉄琴のように並べたもの。一セットが一オクターブを受け持ち、四つの異なる音域のものがある。ガムランの高音部の旋律を受け持つ。

サロン【sarong】

〔マレー語から〕
マレー半島からインドネシア諸島の民族服。一枚の布で、スカート風に腰に巻いて装う。男女ともに用いる。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

世界大百科事典内のサロンの言及

【美術展覧会】より

…ギルド主催の美術展覧会の形式は18世紀初めまで残っているが,ギルドの独占的で排他的な形式が束縛となってきて,フランスでは1667年にJ.B.コルベールがパリの王立絵画・彫刻アカデミー創立19周年記念にギルドとは離れた美術展覧会を開催し,その後もつづいて開かれた。ルイ15世(在位1715‐74)時代にルーブル宮殿の〈サロン・カレ(四角の間)〉で定期的に美術展覧会が開催されてからは,この展覧会は〈サロン〉と呼ばれ,現在もそう呼ばれている。ここでは出品はアカデミー会員(または準会員)の特権となっていたが,フランス革命の直後J.L.ダビッドの提案でこの特権は廃止されることになった。…

【ガンサ】より

…複数の男子がおのおの音高の違う楽器を持ってかけ合いで打ち鳴らして用いる。インドネシアのジャワ島とバリ島では,共鳴管を持つもの(グンデル),共鳴管を持たないもの(サロン)の両者を包括する青銅製打楽器の総称である。この種の楽器は,旋律打楽器を中心に編成される器楽合奏ガムランの骨格をなす。…

※「サロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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