デジタル大辞泉
「善く」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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よく【善・能】
- 〘 副詞 〙 ( 形容詞「よい」の連用形から )
- ① 十分に。念を入れて。また、巧みに。うまく。
- [初出の実例]「いひね与久(ヨク)かそへてたまふへし」(出典:正倉院文書(762頃)万葉仮名文)
- 「淡路、額つきあしく、目尻つり過ぎたり、能(ヨク)人にまはるよし、当世の傾城なり」(出典:評判記・難波物語(1655))
- 「其事情を、お前の知ってる限、熟(ヨ)く悉しく話して遣るが可(い)い」(出典:はやり唄(1902)〈小杉天外〉七)
- ② ひどく。非常に。はなはだしく。大変。
- [初出の実例]「吾が聞きし耳に好(よく)似る葦のうれの足ひく吾が背つとめたぶべし」(出典:万葉集(8C後)二・一二八)
- 「木像の顔が文三の欠伸をした面相に酷(ヨ)く肖(に)てゐるとか昇の云ったのが」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
- ③ たびたび。ともすれば。しばしば。ちょくちょく。まま。
- [初出の実例]「なにとなきことを我も人もいひしをりおもはぬ物のいひはづしをしてそれをよくいはれしも」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前))
- 「この種の印刷物のハガキはよく来る」(出典:負け犬(1953)〈井上友一郎〉)
- ④ 困難なことをなし遂げた時、あたりまえでは考えられないような結果を得た時、喜ばしいことにでくわした時などの感嘆・賞賛・喜悦あるいは羨望の気持を表わす。よくもまあ。本当にまあ。よくぞ。
- [初出の実例]「好(よく)渡る人は年にもありといふを何時の間にそも吾が恋ひにける」(出典:万葉集(8C後)四・五二三)
- 「よく来たノウ。此間うちから、衆人(みな)さんが大案じヨ」(出典:人情本・閑情末摘花(1839‐41)五)
- ⑤ ( ④を否定的な意味でいう ) 常識では考えられないような行為や言説が行なわれた時、それに対して非難・軽蔑・憎悪などの気持を表わす。恥ずかしくもなくまあ。まあぬけぬけと。よくもまあ。
- [初出の実例]「うたての御達や、恥づかしげなるまめ人をさへ、よくこそ、おもなけれと、忍びてのたまふなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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