(読み)ハン

デジタル大辞泉 「判」の意味・読み・例文・類語

はん【判】[漢字項目]

[音]ハン(呉)(漢) バン(慣) [訓]わかる
学習漢字]5年
〈ハン〉
二つに分かれる。「剖判ほうはん
はっきり見分ける。「判断判定判読判別批判評判ひょうばん
区別がはっきりする。「判然判明
疑わしいことに白黒をつける。「判決判事判例公判裁判さいばん審判しんぱん
はんこ印形いんぎょう。「印判いんばん血判けっぱん贋判にせはん連判れんぱん三文判さんもんばん
紙・書籍などの大きさ。「判型はんがた・はんけい
〈バン〉
紙・書籍などの大きさ。「大判菊判
昔の金貨。「判金大判小判
[名のり]さだ・ちか・なか・ゆき
[難読]判官ほうがん判官じょう

はん【判】

文書などに押して、しるしとするもの。印判。印形いんぎょうはんこ。また、そのしるし。「書類にをもらう」
書き判。花押かおう
《「ばん」とも》紙や本などの大きさの規格を示す語。「A5」「新書
物事の優劣・可否などを見分け定めること。判定。
「この―仕うまつり給ふ」〈・絵合〉
判決。さばき。
「国の守の―にいはく」〈沙石集・九〉
[類語](1印章印判印鑑判子ゴム印スタンプ印形いんぎょう印影社印職印役印公印私印実印認め印三文判消印検印烙印拇印

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「判」の意味・読み・例文・類語

はん【判】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 優劣・可否を見分けること。判断。判定。
    1. [初出の実例]「くだし給へる判にいはく」(出典:歌仙本順集(10C後))
  3. さばき。判決。裁判。
    1. [初出の実例]「国の守の判(ハン)に云」(出典:米沢本沙石集(1283)七)
    2. [その他の文献]〔新唐書‐李元紘伝〕
  4. 書判(かきはん)。花押(かおう)
    1. [初出の実例]「この二所みな得給て、かく書かせ奉り給て、御名をし給ふ。右の大殿にも、御はんせさせ奉り給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
  5. 文書などに押した印。印形。印判。
    1. [初出の実例]「Fanuo(ハンヲ) スユル〈訳〉手紙などの印(しるし)をつける。つまり署名する」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  6. 紙や書籍などの大きさ。ばん。

はんじ【判】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「はんずる(判)」の連用形名詞化 ) 判定。判断。また、その結果
    1. [初出の実例]「お腰元より姫ゆりにすいつくと姫君はんじ付給ひ」(出典:浄瑠璃・相模入道千疋犬(1714)三)

ばん【判】

  1. 〘 名詞 〙 紙や書物などの大きさ、また写真フィルム印画紙などの画面の大きさ。多く語素的に用いる。美濃判、菊判、B6判、A4判、セミ判、三五ミリ判など。はん。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「判」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(旧字)
7画

[字音] ハン・バン
[字訓] わかれる・わかつ・さばく

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(半)(はん)。は牛を両分する意。(八)は刀を加えて両分する意とする。〔説文〕四下に「つなり」とあり、(分)は刀でものを両分する意。契約書を両分してその一片を持つことをといい、〔周礼、地官、媒氏〕に「民のを掌る」とは婚約のことをいう。契約の是非を審定することから、裁判の意となる。

[訓義]
1. わかつ、わかれる、両分する。
2. なかば、かたわれ、はなれる、ちる。
3. さばく、わきまえる、ことわる、あきらかにする。
4. 胖(はん)と通じ、ゆたか。

[古辞書の訓]
名義抄 コトワル・ワカツ・ワカル・ワル・サク・サダム・アキラカニ

[語系]
・胖phuanは同声。puanの声義を承け、みな両分の意がある。piun、片phian、辨(弁)bian、別biatも声義近く、両分・分別の意がある。

[熟語]
判案・判陰判押・判花・判解判渙・判決・判語・判合・判妻・判士判詞・判事判釈・判書・判署・判状判審・判正判析・判然・判断判牘・判文判袂・判別・判明判冥判与
[下接語]
印判・区判・誤判・公判・裁判・咨判・試判・書判・審判・談判・通判・批判・評判・分判・剖判離判・連判・論判

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「判」の意味・わかりやすい解説

判 (はん)
pàn

中国では,断罪理由を連ねた判決文をいう。日本の歌合や句合において優劣の判定を述べる判の詞(ことば)とは異なり,かなり長文になるのが通例。唐代に始まるようで,唐の判は,四六駢儷文(べんれいぶん)を用い,荘重に朗誦できるように工夫されたが,宋代になると,古文体で判をしるす人も現れてきた。唐代以降,進士の試験には判が課されることになっていたので,受験参考書としての判の例文集も作られた。《遊仙窟》の作者として知られる張鷟(ちようさく),字は文成の《竜筋鳳髄判》4巻(《判決録》ともいう)などは,それである。唐代における判の名手として知られたのは中唐の白居易(楽天)で,《白氏文集》巻49,巻50には,白居易の作になる判が101例集められている。白居易の判は,以後,判の模範として多くの科挙の受験生たちに愛読されたものであった。宋代には《名公書判清明集》(撰者・巻数ともに不明)なども作られた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【印章】より

…エジプト,ヨーロッパにも伝わり,東アジアでも古くより用いられた。日本では印,判,印判,はんこなどともいう。形体,機能,用途等は多様であり,かつ地域,時代による相違,変遷がある。…

【裁判】より


【裁判の語義と意義】
 広い意味では,二当事者間に対立のある争点について,第三者が判断を示すことによってその争点に最終的な結着を与えること,その過程またはその判断を裁判という。その判断が最終的なものとして通用するためには,当該社会集団でそのような権威を持つものとして公認された機関ないし手続によってなされたものであることが必要である。…

※「判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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