寝耳に水(読み)ねみみにみず

ことわざを知る辞典「寝耳に水」の解説

寝耳に水

突然、思いがけない事態が生じたことを知って驚くことのたとえ。なぜ、そんなことになったのか、まるで見当もつかないことを示唆する。

[使用例] 伜が日光へ発つ日、私は所用で京都へ発つことになり、親子はその日東と西とに別れて旅立ったが、思えばこれが私たち親子の永遠の別れの日となった。八月七日、京都の自宅で伜の死の悲報を電話で受けた。〈略〉私には全くの寝耳に水の驚きで、京都から東京、上野から日光と、なにがなにやらわからずにかけつけて行った[大谷竹次郎*私の履歴書|1961]

[使用例] 「精密検査の結果は、今日申しあげることになっていますから、あとでこちらへ見えた時、私からお話いたしましょう」「どうぞ、よろしくお願いいたします、きっと、寝耳に水だろうと思いますので」[平岩弓枝*女の気持|1974]

[解説] 寝ているときに耳に水が入ることは、現実には、まずあり得ないでしょう。そこで、眠っているうちに大水が出て、その水音に驚くことから生じたとする説も出てきます。しかし、太閤記などの古い文献をみると、「寝耳に水の入りたるごとし」あるいは「寝耳に水の入るごとし」とあり、後にこれらを簡略にしたものといえるでしょう。仮にぐっすり眠っているときに、もし耳に水滴が入ってきたとしたら、何がなんだかさっぱりわからず、さぞかしびっくりするに違いありません。ことわざの比喩は、現実そのものである必要はなく、多くの人がなるほどと納得できる説得力があれば、フィクションや極端な誇張でもいっこう差し支えないのです。

[類句] 青天の霹靂/足下から鳥が立つ

〔英語〕A bolt from the blue.(青空から稲妻)

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精選版 日本国語大辞典「寝耳に水」の解説

ねみみ【寝耳】 に=水(みず)[=水(みず)の入(い)るごとし]

まったく思いがけず、突然なできごとをいう。寝耳に擂粉木(すりこぎ)
※太閤記(1625)一三「城中寝耳に水の入たるが如く、驚きあへりつつ」
狂歌吾吟我集(1649)四「夢覚す板屋の時雨もらね共寝耳に水の入心ちする」
[補注]元来は、眠っているうちに、大水が出てその流れの大きな音を耳にしたときのようだという味であった。それが不意の事態にあわてふためくことに使われていくうちに、聞こえる意の「耳に入る」が、実際に耳の中に水が入ると受けとられるようになり、「寝耳にすりこ木」のような表現も現われたと考えられる。「吾吟我集」例なども耳に水が入るという理解にもとづいている。

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デジタル大辞泉「寝耳に水」の解説

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