つと(読み)ツト

デジタル大辞泉 「つと」の意味・読み・例文・類語

つ‐と

[副]
1 ある動作をすばやく、または、いきなりするさま。さっと。急に。不意に。「つと立ち止まる」
「瀬川は―席を立って降りると」〈荷風・腕くらべ〉
2 動かないである状態を続けるさま。じっと。
「面影に―添ひておぼさるるにも」〈源・桐壺〉
3 いちだんと力をこめるさま。ぐっと。
「例はことに鎖さし固めなどもせぬを―鎖して人の音もせず」〈源・少女〉
[類語]がばと・がばっと・むっくと・むっくり・むくり・すっく・しゃんと・しゃっきり・ついと・すいと・すっと・さっと・ぱっと・ふと・ふっと・不意・にわか・ふいと・急・ひょっこり・打ち付け・ぶっつけ・出し抜け・突然・唐突・短兵急・急遽きゅうきょ・忽然こつぜん・俄然・突如・いきなり・つい・ついつい・ひょっと・ひょい・はた・思わず・思わず知らず・思いがけず・はしなく・はしなくも・図らず・図らずも・やにわに・時ならず・忽たちまち・卒然・突発的・発作的・反射的・藪やぶから棒・青天の霹靂へきれき・寝耳に水・はた・身軽い・身軽・軽軽かるがる・軽快・軽かろやか・簡捷かんしょう・はしこい・すばしこい・素早い・手早い・敏速・敏活・迅速・敏捷びんしょう・手ばしこい・手早・速やか・速い・足早・早足・小走り・機敏・一瀉いっしゃ千里・急ピッチ・矢の如し・はかばかしい・目にも留まらぬ・ひらり・ひょいひょい・ぴょん・ぴょんぴょん・てきぱき・しゃきしゃき・きびきび・ずんずん・クイック・スピーディー・ハイペース・ちゃちゃと・ちゃちゃっと・さっさ・とっとと・つっと・すたすた・あっと言う間・見る見る・あれよあれよ・とっさ・とっさに・すぐさま・即座・すかさず・抜き打ち・頓とみに・忽焉こつえん・勃然ぼつぜん・翻然・卒爾そつじ・ばったり・ぱたり・ぱたっと・一足飛び・彗星すいせいの如く・不意打ち・急転・急変・急展開・どきん・がらっと・まさか・ぬっと・意外・不測

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精選版 日本国語大辞典 「つと」の意味・読み・例文・類語

つ‐と

  1. 〘 副詞 〙
  2. ① 動かないで、ある状態をずっと続けるさまを表わす語。じっと。
    1. [初出の実例]「誰と聞えし人の子ぞ。もし心ならで参り来ずとも、つと思ひとりてなむあるべき」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  3. ② 勢いよくすばやいさまを表わす語。さっと。ふと。急に。つっと。
    1. [初出の実例]「むつかり給ふを、宮きこしめして、女ぎみをつとかきよせて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
  4. ③ すきまなく密着したさまを表わす語。ぴたっと。ぴったりと。ひたと。
    1. [初出の実例]「御胸つとふたがりて、つゆまどろまれず、明かしかねさせたまふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)

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世界大百科事典(旧版)内のつとの言及

【髪形】より

…貞享(1684‐88)のころに髱刺(たぼさし)というものが生まれ,これによって技巧的な髱が結われ,優美なカーブを描く洗練された髱として,セキレイの長い尾の形をした〈せきれい髱〉,カモメの舞い飛ぶ姿からとった〈かもめ髱〉などの名で呼ばれた。関西では髱を〈つと〉と呼んだ。髷は前期からの兵庫髷をはじめとして島田髷系統,笄(こうがい)髷系統が発達した。…

【包み】より

…〈包む〉という語は〈苞(つと)〉と語源を同じくするが,〈苞〉とはわらなどを束ねてその両端を縛り,中間部で物をくるむもの(藁苞(わらづと))であり,後には贈物や土産品の意味(家苞(いえづと))にも使われるようになった。また心理的方面においては〈包む〉は〈慎しむ〉に通じて〈隠す〉〈秘める〉〈はばかる〉といった意味合いを含み,ことに儀礼的局面におけるさまざまな〈包み〉の技法の心理的背景となってきた。…

【土産】より

…旅先や外出先でその土地の産物を求めて帰り,家族や餞別(せんべつ)をくれた者などに配る品,また人を訪問する際に持参するいわゆる手みやげをもいう。古くはつと(苞)と称し,〈家づと〉〈都のつと〉などと用いた。つとは納豆を包んだりするわらづとなどにその名をとどめているように,元は持ち運びに便利な包物のことを指した。…

※「つと」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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