由(漢字)

普及版 字通 「由(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ユ・ユウ(イウ)・ヨウ(エウ)
[字訓] よる・よし・もちいる

[字形] 象形
初形は(ゆう)。(ひさご)の類で、実が熟して中が油化したものの形。油の初文とみてよい。〔説文〕にみえないが、〔説文〕に由声の字十九字を収めているから、字を脱したものであろう。いまの訓義はみな仮借。〔詩、小雅、小弁(せうはん)〕「君子易(かろかろ)しく言を由(もち)ふること無(なか)れ」は用・庸の仮借。〔論語、為政〕「其の由るる」は(よう)の字義。それより由来・由縁の意となる。

[訓義]
1. あぶら、油の初文。
2. と通じ、よる、その由るところ、経歴する、よし。
3. 用・庸と通じ、もちいる。
4. 猶と通じ、「なほ~のごとし」とよむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕由 ヨル・ヨシ・モチヰル・ナホシ・ゴトク・ユク・シタガフ・ミチ・ヰル・ホシイママ・ヨロシ/由 ユヱ 〔字鏡〕由 サダム・ヨロシ・ゴトシ・ムカシ・ナホシ・タガフ・イハク・シゲシ・モトム・セラル・モチヰル・ホシイママ・ヰル・ヨル・ヨリ・ミナ・ナル・ヨシ・ユク・ミチ・ゴトク・シタガフ・ハジメテ

[声系]
〔説文〕に由声として(迪)・笛・宙・冑・岫・油・軸など十九字を収める。油は由の繁文で、その音を本音とすべく、笛(てき)・宙(ちゆう)・軸(じく)はその転音であろう。笛・宙は中の空虚なるものの意をとり、軸はそれによって回転するものの意。みな由の声義をとる字である。

[語系]
由・油・jiuは同声。〔段注〕十二下を「以切」とし、通用する。融jium、鎔jiongは声義近く、融は鬲釜(れきふ)中のものが腐敗融解して油状となり、虫を生ずる意、鎔は金属質のものが高温で鎔解することをいう。

[熟語]
由緒由委由繹由衍・由由獄由趣由迪由裕・由由由予・由歴・由縁由敖・由旬・由状・由中・由来
[下接語]
夷由因由・遠由・縁由・解由・経由・原由・自由・事由・準由・遵由・所由・蹤由・端由・憑由・冶由・来由・理由

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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