(読み)キ

デジタル大辞泉 「起」の意味・読み・例文・類語

き【起】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]おきる おこる おこす たつ
学習漢字]3年
おきあがる。高くせりあがる。「起居起床起伏起立突起勃起ぼっき躍起隆起
仕事・活動を始める。おこす。「起工起訴起草喚起継起決起惹起じゃっき想起提起奮起発起
物事の始まり。「起因起句起源起点縁起えんぎ
[名のり]おき・かず・ゆき

き【起】

漢詩で最初の句。起句。「承転結」

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精選版 日本国語大辞典 「起」の意味・読み・例文・類語

おこし【起】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おこす(起)」の連用形名詞化 )
  2. 寝ている人の目をさまさせたり、立たせたりなどすること。
  3. 田や畑をたがやすこと。
    1. [初出の実例]「起しせし人は迯けり蕎麦の花」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)秋)
  4. 花札で、めくり札を開いて場札と合わせること。
    1. [初出の実例]「何でもおこしで打ち当てようといふのですよ」(出典:暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉三)

おこり【起】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おこる(起)」の連用形の名詞化 ) 物事の始まり。物事の原因。起源。起因。由来
    1. [初出の実例]「唐土(もろこし)にも、かかる事のおこりにこそ、世も乱れ悪しかりけれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
    2. 「或人云、和琴のおこりは、弓六張をひきならへて、これを神楽にもちゐけるを、わづらはしとて、のちの人のことにつくりうつせると申つたへたるを」(出典:無名抄(1211頃))

き【起】

  1. 〘 名詞 〙
  2. きわめて短い時間。瞬間。刹那(せつな)。〔勝鬘経‐一乗章〕
  3. きく(起句)
    1. [初出の実例]「第一句を起(キ)と云言起すなり」(出典:授業編(1783)七)

おき【起】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おきる(起)」の連用形の名詞化 ) 目がさめること。また、横になっている状態からからだをおこすこと。
    1. [初出の実例]「あひ見てもなごりをじまのあま人はけさのおきにぞ袖ぬらしける〈藤原良平〉」(出典:千五百番歌合(1202‐03頃)一二五八番)

おっき【起】

  1. 〘 名詞 〙 起きることをいう幼児語
    1. [初出の実例]「起(オ)っきしたのとマリアさま」(出典:童謡・イエス・キリスト(1924)〈サトウハチロー〉)

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普及版 字通 「起」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)
10画

[字音]
[字訓] たつ・おきる

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
旧字はに作り、巳(し)声。〔説文〕二上に「能く立つなり」とする。金文・篆文の字形はすべて巳に従っており、それならば蛇が頭をもたげてゆく意である。坐して起(た)つときの動作をいい、それよりすべてことを始める意となる。

[訓義]
1. たつ、たちあがる、おきる。
2. ことをはじめる、つくる、たかまる。

[古辞書の訓]
名義抄 オコス・タツ・ツクル・サラニ・トヲ・ヲカス・オク・オキヌ・イツ 〔字鏡集〕 オキヌ・トシナス・ハジム・ヲカス・サラニ・オク・オコス・オコル・ツクル・イヅ・タツ・ウゴク

[語系]
khi、興xing、煕(熙)xiは声義近く、〔説文〕三上に「興はすなり」、〔爾雅、釈詁〕に「煕は興なり」とあって、みな興起の意がある。興は同(酒器)の酒を土主にいで、地霊を興起させる意。煕は授乳の象である(き)に従って、和楽の象を示す字である。

[熟語]
起案・起意・起因・起運・起家・起臥・起岸・起・起義・起疑・起去・起居・起興・起業・起句・起敬・起見・起元・起原・起工・起更・起稿・起獄・起差・起坐・起債・起算・起死・起事・起謝・起床・起証・起傷・起請・起色・起心・起身・起人・起誓・起旋・起草・起柁・起端・起第・起程・起点・起棟・起頭・起廃・起発・起筆・起仆・起舞・起伏・起復・起服・起滅・起立・起論
[下接語]
晏起・縁起・臥起・喚起・驚起・屈起・群起・継起・決起・蹶起・興起・坐起・再起・起・蹴起・夙起・振起・晨起・塵起・酔起・蚤起・想起・提起・突起・拝起・晩起・紛起・憤起・奮起・蜂起・鋒起起・暴起・発起・勃起・夜起・躍起・隆起

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改訂新版 世界大百科事典 「起」の意味・わかりやすい解説

起 (おこし)

尾張国(愛知県)中島郡木曾川東岸の平地の村で,美濃路七ヵ宿の一つ。地名の初出は1320年(元応2)で〈興郷〉とある。1586年(天正14)の洪水で被害をうけたが,1600年(慶長5)関ヶ原の戦直後に宿駅とされ,08年には木曾川起渡に船頭給として60石を除地,60年(万治3)以後は船頭20人が常置された。72年(寛文12)の人口102戸587人,1867年(慶応3)に246戸1172人。本陣1軒,脇本陣1軒で1845年(弘化2)262軒のうち旅籠屋・茶屋・木賃宿14軒,往還人足・川揚中瀬稼22軒とある。この年織屋職45軒,綛(かせ)賃くり稼18軒など織物業従事者70軒を数えるように,18世紀中ごろ西陣からさんとめ縞の技術が伝わり,菅大臣縞,結城縞へと変遷して幕末ごろには尾西織物の中心地となった。明治以後モスリンフランネルラシャなどを経て毛織物生産に移っていった。96年町制をしき起町,1955年尾西市,2005年一宮市となった。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「起」の意味・わかりやすい解説

起(愛知県)
おこし

愛知県一宮市(いちのみやし)西部の地区。木曽(きそ)川東岸に位置し、美濃路(みのじ)の宿場町、木曽川渡船場を兼ねる河港で、本陣、脇(わき)本陣、問屋場もあった。結城縞(ゆうきじま)、土人形を産し、毛織物工場が多い。濃尾(のうび)大橋で岐阜県羽島市と結ぶ。

[編集部]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「起」の意味・わかりやすい解説


おこし

愛知県北西部,一宮市南西部の旧町域。 1955年朝日村と合体して尾西市となったのち,2005年一宮市に編入。美濃路の宿場町で,本陣,脇本陣,問屋などをもち,近くに美濃路の富田一里塚 (国指定史跡) がある。また木曾川の渡船場としても発展。江戸時代から木曾川の自然堤防上ではワタが栽培され,綿織物や結城縞などの絹織物の産地であった。明治末期から綿毛交織のモスリンなども生産された。一般に中小の家内工業が多い。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【木曾川】より

…後期になると,細目村の黒瀬湊が木曾川遡航(そこう)の終着地として商業の中心地となった。上流には,そのほか小山,川合,取組,犬山,中流には草井,円城寺,笠松,北方,起(おこし)などの港,河岸が発達し,起が美濃路の宿,渡船場として発展した。 中流の尾濃両国の地に南北朝のころから浄土真宗が広まりはじめ,尾張中島郡江吉良の良心が1361年(正平16∥康安1)に覚如から,津島の慶専が91年(元中8∥明徳2)に綽如(しやくによ)から本尊絵像を受けている。…

※「起」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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