(読み)カン

デジタル大辞泉 「閑」の意味・読み・例文・類語

かん【閑】[漢字項目]

常用漢字] [音]カン(漢) [訓]ひま しずか
用事がないとき。ひま。「閑暇閑日月寸閑繁閑有閑農閑期
実用的でない。むだ。「閑事業閑文字
のんびりと落ち着く。ひっそりと静か。「閑居閑散閑寂閑静閑談安閑森閑清閑悠悠閑閑
どうでもよい。いいかげん。「閑却等閑
[名のり]しず・のり・もり・やす・より
難読等閑なおざり長閑のどか

のど【閑/和】

[形動ナリ]
のどか」に同じ。
「明日香川しがらみ渡し塞かませば流るる水も―にかあらまし」〈・一九七〉
平穏無事であるさま。
大君にこそ死なめ―には死なじ」〈続紀・聖武・歌謡

かん【閑】

[名・形動]暇なこと。また、落ち着いてのどかなさま。「忙中あり」
「やさしき鳩、―なる鳩」〈露伴露団々

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精選版 日本国語大辞典 「閑」の意味・読み・例文・類語

かん【閑】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ひまな時間。いとま。また、心静かにすごす時間。閑暇。
    1. [初出の実例]「寂を釣り閑(カン)に耕(たがへ)して歌ふ歌をきけば」(出典太平記(14C後)二〇)
    2. [その他の文献]〔蘇軾‐病中遊祖塔院詩〕
  3. ( 形動 ) ゆったりと落ちついてしずかなさま。ゆったりとしてのどかなさま。
    1. [初出の実例]「処士の閑なる者をば退て、姦雄のかだましい者を進るぞ」(出典:史記抄(1477)三)
    2. [その他の文献]〔許渾‐重遊鬱林寺道玄上人院詩〕
  4. ひっそりとしずかなさま。
    1. [初出の実例]「比院由来人事少、況乎水竹毎成閑」(出典:文華秀麗集(818)上・夏日左大将軍藤原朝臣閑院納涼〈淳和天皇〉)
  5. とどこおり。よどみ。
    1. [初出の実例]「語路逶迱としていささかも閑あらず」(出典:国歌八論(1742)準則)
    2. [その他の文献]〔広雅‐釈詁二〕

のど【閑・和】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. 静かで穏やかなさま。のどか。
    1. [初出の実例]「明日香川しがらみ渡し塞かませば流るる水も能杼爾(ノドニ)かあらまし」(出典:万葉集(8C後)二・一九七)
  3. 平穏、無事なさま。
    1. [初出の実例]「海行かば 水づく屍 山行かば 草むす屍 大君の 辺にこそ死なめ 能杼(ノドニ)は死なじ」(出典:続日本紀‐天平勝宝元年(749)四月一日・宣命)

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普及版 字通 「閑」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音] カン
[字訓] ふせぐ・しずか

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
門+木。〔説文〕十二上に「闌なり」、闌字条に「門のなり」とあり、門にしきりをすることをいう。ゆえに、ふせぐ意となる。また(間)と通じて、間静の意に用いる。

[訓義]
1. もんのしきり。
2. ふせぐ、さえぎる、とじる、かぎる、とめる。
3. 間と通じ、ひま、しずか。
4. 嫺と通じ、みやびやか、ならう。
5. 簡と通じ、大きい。
6. 闌と通じ、うまや。

[古辞書の訓]
名義抄〕閑 シヅカナリ・シヅカニ・ミヤビカナリ・ミヤビヤカニ・ホノカナリ・ウヤヒヤカナリ・ウヤヒヤナリ・ヒラク・トラフ・ウルハシ・ヲシフ・ナラフ・フセク・ノリ・ホノメク・イタヅラ・ヒソカニ・イトマ・ナホシ・ナホナリ

[語系]
閑kean、嫺hean、(簡)keanは声近く、それぞれの字義に通用することがある。語彙は間字条参照。

[熟語]
閑安・閑逸・閑雲・閑役・閑宴・閑・閑・閑暇・閑花・閑雅・閑臥・閑閑・閑官・閑漢・閑緩・閑却・閑客・閑居閑興・閑吟・閑潔・閑語・閑坐・閑雑・閑散・閑肆・閑事閑邪・閑寂閑趣・閑愁・閑習・閑処・閑舒・閑職・閑人・閑清・閑靖・閑静・閑素・閑滞・閑達・閑談・閑地・閑中・閑庭・閑適・閑都・閑独・閑媚・閑靡閑敏・閑物・閑歩・閑望・閑夜・閑遊・閑予・閑麗・閑練
[下接語]
安閑・御閑・小閑・消閑・上閑・森閑・寸閑・清閑・静閑・大閑・長閑・投閑・偸閑・等閑・農閑・馬閑・有閑・幽閑・優閑・余閑

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