ゆくりなし

精選版 日本国語大辞典 「ゆくりなし」の意味・読み・例文・類語

ゆくり‐な・し

〘形ク〙 (「なし」は、接尾語)
予想もしないようなさまである。にわかである。不意である。突然である。思いがけない。ゆくりもなし。
土左(935頃)承平五年二月五日「ゆくりなくかぜふきて、こげどもこげども、しりへしぞきにしぞきて」
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋「縁(ユ)くりなくも〈略〉出会仕候」
思慮をめぐらさずに事をなすさまである。かるはずみである。不注意である。ゆくりもなし。
源氏(1001‐14頃)賢木「あたら思ひやり深うものし給ふ人のゆくりなくかうやうなる事」
ゆくりな‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ゆくりなし」の意味・読み・例文・類語

ゆくり‐な・し

[形ク]《「なし」は意味を強める接尾語》
予想もしない。不意である。思いがけない。
「一年振の―・き邂逅めぐりあいに」〈魯庵社会百面相
軽はずみである。不注意である。
「あたら思ひやり深うものし給ふ人の、―・くかうやうなる事」〈・賢木〉

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